日本酒の頼み方、どう伝えればいい? 初心者の悩みを、日本酒専門店スタッフに相談してみた
日本酒に少し興味が出てきて、飲食店で頼んでみようと思った際「でも、どんなふうに注文すればいいの?」「どうやって聞けばいい?」と困った経験がある人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本酒ビギナーさんのお悩みにお答えすべく、日本酒の頼み方について解説します。さらに、実際に日本酒専門店に足を運び、ちょっと人には聞きづらい初心者の素朴な悩みを店長さんに相談してみました。
これから日本酒を楽しみたい人は、ぜひ実際に飲みに行く前に目を通してみてくださいね。
飲食店で日本酒を頼む際に、押さえておきたい3つのポイント
飲食店で日本酒を頼むのは少し緊張しますが、実はそれほど難しくありません。基本的には以下の3点を伝えればOKです。
- 飲みたい銘柄を決める
- サイズを決める
- 温度を決める
飲みたい銘柄を決める
すでにお目当ての日本酒が決まっているなら、銘柄を伝えてみましょう。具体的な銘柄が分からないときは、注文した食事に合わせて「これに合うお酒をください」と店員さんにお願いするのもおすすめです。「日本酒が初めてでも飲みやすいお酒」や「今の季節におすすめのお酒」などと伝えると理想の日本酒に出会えるかもしれません。
サイズを決める
飲みたい日本酒が決まったら、サイズを選びます。ビールのジョッキであれば大・中などと記載されますが、日本酒の場合は「一合(180ml)」などと独特の表現で記載されることが多いです。
また、同じ「一合」でも徳利&おちょこのセットで提供される場合と、グラスに一合分のお酒が注がれている場合があります。大人数で少しずつシェアしたいなら徳利&おちょこがおすすめ。ひとりで少しだけ飲みたいなら、半合(90ml)での提供は可能かと聞いてみるのもよいでしょう。
日本酒の量や単位については、過去の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
日本酒の量や単位について写真付きで解説!
温度を決める
お店によっては、注文の際に温度も指定できることがあります。日本酒は、温度によって味わいが変わるお酒です。温度帯によって呼び方も異なりますが、具体的な呼び方は詳しく覚えていなくても問題はありません。
ただし「冷や」という表現には注意しましょう。冷たいお水のことを「お冷や」と呼ぶため、「冷や=冷たい日本酒」のイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、日本酒の「冷や」とは冷えたお酒ではなく、常温を指します。蔵庫がまだなかった時代、そもそも日本酒の飲み方は常温か熱燗の2種類しかありませんでした。そのため熱燗以外を「冷や」と呼んでいたことが由来です。これだけでも覚えておくと「思ってたのと違う」という事態を防げます。
温度の決め方は「暑い日は冷たいものを飲みたい」「今日は寒いから温かいものがよい」など、普通の飲み物を選ぶときと同じでOK。日本酒は、冷酒に向くお酒と熱燗に向くお酒がそれぞれ異なるので、分からない場合は「熱燗にすると美味しいのはどれですか?」などと店員さんに聞いてみるのがおすすめです。
温度による違いについては、過去の記事でも詳しく解説しています。
温度による違いについて詳しく解説!
こんなときはどうすればいい? 日本酒の頼み方にまつわる悩みを、専門家に相談してみた
ここまで日本酒の頼み方のコツを解説してきましたが「そうはいっても、こういう場合はどうすれば…?」と、あれこれ疑問が湧いてくるものです。日本酒を飲み始めたばかりの人は特に「こんなこと聞いていいの?」「どんなふうに聞けばいいの?」と感じることも多く、注文を断念してしまった人もいるのではないでしょうか。
今回は東京・門前仲町の日本酒専門店・ぽんしゅビルヂングの店長・クリタさんにご協力いただき、日本酒ビギナーのお悩みに答えてもらいました。
【ぽんしゅビルヂングとは】
「ぽんしゅビルヂング」とは、東京メトロ東西線・門前仲町駅の2番出口から徒歩3分にある日本酒居酒屋。ビル一棟全てが飲食店になっており、1階は立ち飲み、2階はテーブル席、3〜4階はキッチンスタジオや個室があります。屋上にはバーベキューができるスペースが広がっているなど、バラエティに富んだ空間です。
【ぽんしゅビルヂング店長・クリタヨウイチ】
門前仲町ぽんしゅビルヂング、清澄白河ぽんしゅホールの店長。酒系同人誌即売会『酒の本』を主宰するなど、日本酒愛好家でもある。
Q:日本酒って種類が多くて難しい。初心者はまずどこに着目して頼んだらいいですか?
クリタさん:
「難しいのですが、やっぱりまず注目すべきは銘柄だと思います。実はラベルに書いてある特定名称(吟醸、純米などの造り方)や地域などの表記は、味に直結しない場合があります。
正直、作り手によって味が違ったり、使っているお米が同じであっても一律同じ味ではないこともあります。特に最近は、特定名称の表示は義務ではないこともあり、書かない蔵も増えてきています。純米、純米吟醸などの言葉で日本酒を覚える方も多く『純米吟醸はなにがありますか?』と聞かれることが多いのですが、一番大事なのは『何の日本酒(銘柄)だったか?』だと思うんです。
そのため、銘柄に着目してみると参考になると思いますね。蔵にもよりますが、同じ銘柄でも純米酒、吟醸酒などいろいろな種類があるものの、同じ銘柄なら味にもひとつの方向性が決まっていることが多いです。」
気に入った銘柄が見つかったら覚えておき、お店で注文する際にも「この前飲んだ〇〇が美味しかった」などの伝え方をすると、好みの日本酒に出会いやすくなります。また、日本酒の味わいのタイプも知っておくと今後の日本酒選びにも役に立つかもしれません。日本酒の味わいを示す4タイプについては、過去の記事もご参考ください。
日本酒を味わいと香りで4タイプに分類
Q:漢字が難しくて銘柄の読み方もわからないのですが、どうすればいいですか?
クリタさん:
「銘柄の読み方、難しいですよね。私も読めない日本酒はたくさんあります。読めないときは勘に頼るよりも、まず店員に『これは、なんて読むんですか?』と気軽に聞くと思います。それを機に店員から日本酒のいろいろな情報を聞くことができたり、会話のきっかけになったりもしますよね。
独特の読み方をする銘柄も多く、お客様が微妙に間違った読み方していても、店員としては指摘するのも申し訳ないので、意図さえ汲めれば訂正せずにそのまま注文を受けてしまうこともあります。でも、そうすると、お客様はずっと読み方を間違えたまま覚えてしまうんですよね。そのため、わからないことは気軽にプロの店員に聞くのがおすすめです。写真検索機能を使用して、スマートフォンで調べてみるのもいいと思います。
ただ、日本酒の種類は本当に膨大な数があるので、店員でも時には読めない、知らない場合もあることは、知っておいていただけると嬉しいです。その際は一緒に調べたり確認したりしながら、お客様とコミュニケーションが取れるといいな、と思っています。」
Q:自分の好みの日本酒を知るには、まず何をすればいいですか?
クリタさん:
「正直、飲んでみないと自分の好みがわからないと思います。よくWebや雑誌でいろいろな説明が書いてありますよね。例えば『甘い』といってもその度合いや味の感じ方は、一人ひとり違うと思うんです。
最近はラベル表記にも味わいが書かれている日本酒も多くありますが、あくまで目安であり実際は飲んでみないとわかりません。まず一歩目は、気軽に飲むところから。美味しいと感じたら、写真を撮って銘柄を記録しておくといいと思います。
人の味覚は日々変わり続けるものなので、その日に美味しいと感じても、次に飲んだときはあまり美味しいと感じないかもしれません。食前食後に飲んでも味が変わることもあります。その時には自分に合わないと感じても、次飲んだら合うかもしれないので一度の経験で『もう飲まない』と完全に決めてしまうのはもったいないな、と思いますね。
そのときどきで印象が変わることに、自分の味覚への自信をなくしてしまう人もいるのですが、それもあまり気にしなくていいと思います。『味覚というのは、変わるものだ』と捉えて、いろいろな日本酒を楽しんでいただきたいですね。
Q:どの日本酒とどの料理が合うかは、どうやって見極めればいいですか?
クリタさん:
「日本酒はもともと食中酒として楽しまれてきた文化があるので、基本的に何でも合うと思っています。正直、『合う』か『すごく合う』だと思っているので、あまり難しく考えない方がいいかもしれません。
料理との相性を意識する『ペアリング』は素晴らしいものですし、新たな発見があってとても楽しいです。私自身、ペアリングを通じて日本酒をより好きなった経緯もあります。とはいえ、ビギナーの方には少し難しく感じてしまうかもしれないですよね。
その時の気分で飲んで『これは合う』『これは普通』ぐらい気軽な方が日本酒を楽しく飲めるのではないかと思いますね。あんまり難しく考えてしまう自由に頼めなくなりますし、まずは気軽に楽しむことが一番大切ではないでしょうか。」
ペアリングにも、さまざまな考え方があるということが分かりました。ちなみに「ペアリングってなに?」という方は、過去の記事も参考にしてみてください。
ペアリングのコツをご紹介!
Q:ある程度勉強してから行かないとダメでしょうか? なにも知らなさ過ぎて、「こんなこと聞いていいの?」と不安です
クリタさん:
「ぜひ、わからないことはどんどん質問していただきたいです。例えば『純米酒ってなに?』というような質問でも全然問題ないと思っています。
正直、我々スタッフはお客様が『どこまでわからないか』がわかりません。お客様自身が日本酒に詳しくなってくれるのも嬉しいですが、無理に本を読んだり勉強したりする必要もないと思っています。たとえば、『普段飲んでいるビールの種類がなにか』を知らなくても美味しく飲めるのと同じように、日本酒も知識がなくても楽しめます。日本酒に詳しい方もそうではない方も、スタッフとしては大歓迎です!
そして私たちスタッフとしては、一方的に日本酒の知識をお客様に伝えるのではなく、やはりお客様が欲している情報を提供したいです。躊躇する気持ちもあると思いますが、遠慮はせず、わからないことは気軽に聞いていただきたいですね。そのほうが、スタッフ側としてもお客様のことを知れるので嬉しいです。」
日本酒のオーダーは怖くない! 頼み方を覚えて、気軽に日本酒を楽しもう!
日本酒と聞くと「知識がないと楽しめないのでは?」「勉強してから飲みにいかないといけないのでは」と不安になる方も多いと思います。でも自らハードルを高くする必要はなく、わからないことはまずは店員さんに聞いてみるのはいかがでしょうか。少しずついろいろな日本酒を楽しみながら、自分の好みのお酒を見つけてみてください。
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