日本酒と料理、どう組み合わせる? 日本酒がもっと美味しくなる「ペアリング」のコツをご紹介!
日本酒は、組み合わせる料理によって味の印象がガラリと変わるお酒です。飲み方や組み合わせに決まりはなく、好きな食べもの組み合わせてOKですが、ペアリングのコツを知ることで、さらに日本酒の楽しみ方が広がります。
今回は、日本酒のタイプや飲みたいシーンに合わせたペアリングのコツを、毎晩のように日本酒を楽しむ唎酒師ライターが、分かりやすく解説します。
そもそも、ペアリングってなに?
「ペアリング」とは、料理と飲み物の相性を考えて組み合わせること。よく似た言葉で「マリアージュ」もあり、こちらは料理と飲み物を合わせることによる相乗効果を指します。こういった言葉は主にワインの世界でよく耳にしますが、実は日本酒でもペアリングを考えることで、より楽しさが広がるのです。日本酒は種類やタイプによって味わいや香りが異なるお酒であり、どんな料理と合わせるか次第で味の感じ方も変化します。
まずはこの組み合わせを試してみよう!基本の法則を解説
日本酒と料理の組み合わせに決まりはなく、好きな料理と合わせて自由に楽しめます。しかし、ペアリングのコツを覚えておくと「なにと合わせようかな?」と迷ったときにも、ぴったりのおつまみを選ぶことができるでしょう。ここでは、基本のペアリングの法則を解説します。
似た味や香りで合わせる「同調」
まずテッパンなのが、似た味や香り同士を合わせる「同調」という方法です。たとえば、以下のような例が挙げられます。
・スッキリと軽い飲み口の日本酒 × あっさりした味付けの料理
・華やかでフルーティーな日本酒 × フルーツの盛り合わせ
このように「軽い×軽い」「甘い×甘い」など、似た味で合わせるペアリングが味全体が馴染みやすく、日本酒ビギナーの方やペアリングに慣れていない方でも失敗しにくくおすすめです。また、日本酒と料理の温度も「冷たい×冷たい」「温かい×温かい」で合わせると、違和感なくいただけます。
真逆の個性で引き立て合う「対比」
あえて日本酒と料理を相反する味わいで合わせる「対比」という方法もあります。対比には、以下のような例が挙げられます。
・淡麗な日本酒 × 味の濃い料理
・濃醇な味の深い日本酒 × 素朴な味わいの料理
お互いの個性を引き立て合うことで、新たな味わいが生まれます。上記のほかにも、辛味のある韓国料理に甘口の日本酒を合わせて辛さを和らげたり、ピザやグラタンなどのこってり系の料理にさっぱりとした日本酒を合わせて、後味をすっきり感じさせる方法も定番です。
日本酒の種類を知ると、ペアリングがもっと自由に。香味タイプ別ペアリングのコツ
日本酒は、味や香りによって4つのタイプに分かれることをご存知でしょうか?
・薫酒(くんしゅ)
・爽酒(そうしゅ)
・醇酒(じゅんしゅ)
・熟酒(じゅくしゅ)
それぞれのお酒の特徴は、過去の記事でも紹介しています。
4タイプを解説した記事はコチラ
ここでは、どの日本酒にどんな料理を合わせるとよいのか、タイプ別にペアリングのコツを紹介します。
フルーティーな香りが魅力の「薫酒」
「薫酒」は大吟醸酒や吟醸酒に多く、華やかでフルーティーな香りが特徴。軽めな味わいのお酒が多く、日本酒ビギナーの方にも飲みやすいお酒だといえます。そんな薫酒には、以下のようなおつまみがおすすめです。
同調 | 白身魚の刺身、カルパッチョ、フルーツ入りのサラダ など |
対比 | スモークサーモン、カマンベールチーズ など |
同調であればあっさりとした前菜系と合わせて、対比であれば少しクセのある料理と合わせて日本酒のフルーティーさを強調してみるとよいでしょう。
軽快でスッキリと飲める「爽酒」
「爽酒」に該当するのは、主に本醸造酒、生酒、淡麗辛口の純米酒など。サラッとしていて飲みやすく、透明感のある飲み口で食中酒として特におすすめです。クセがないものも多く、薫酒同様に日本酒ビギナーにも手に取りやすいお酒といえます。爽酒には、以下のようなおつまみを合わせてみるのがよいでしょう。
同調 | 冷奴、酢の物、サラダ など |
対比 | 唐揚げ、塩辛、ピザ など |
「さっぱり×さっぱり」の同調であれば、食べ飽き・飲み飽きすることなく気軽にいただけます。揚げ物や濃い味の料理と合わせる対比のペアリングであれば、お酒のキレが料理のこってり感をほどよく洗い流してくれ、バランスのよい組み合わせになるのがメリットです。
お米のコクと旨味を感じる「醇酒」
「醇酒」には、純米酒や山廃仕込み、生酛造りのお酒が挙げられます。お米の旨味やコクが感じられ、厚みのあるまろやかな飲み心地が特徴です。そんな醇酒におすすめのペアリングは、以下のとおりです。
同調 | きのこの炊き込みごはん、焼き魚、味噌田楽 など |
対比 | さっぱり系の冷製パスタ、さっぱりした刺身 など |
お出汁やお味噌の味がしっかり楽しめる料理と合わせると、料理の旨味と相まってお酒のコクがより深くなります。対して、さっぱり系の料理と合わせると、日本酒のお米らしい旨味・コクがより強調されます。
熟成された深い香りと味わいの「熟酒」
古酒、貴醸酒などが該当する「熟酒」。ナッツやカラメルのような香りと複雑な味わいが特徴で、クセはあるものの根強いファンも多いお酒の一種です。そんな熟酒に合わせるのは、以下のような食べ物がおすすめ。
同調 | ブルーチーズ、フォアグラ、レバーの煮込み など |
対比 | バニラアイス など |
もともと味がしっかりしている熟酒にあえてクセのある食べ物を合わせることで、濃厚さ・旨味が混ざり合い、より重厚な印象になります。
対比としておすすめなのが、バニラアイス。「味わいが濃厚」という視点では「同調」にも分類されますが、熟酒は通常、常温からお燗で飲むことが多いため、冷たいバニラアイスと合わせることで温度の対比となります。味わいの方向性としてはよく似ているので、味がバラつくことなく、違和感なくいただけるでしょう。
これを真似ればOK! シーン別おすすめペアリング方法3選
ここまでに、日本酒のタイプによるペアリングのコツをご紹介しました。とはいえ「薫酒とか爽酒とか言われても、よく分からない!」という人も多いはず。ここからは、ただ真似すればOKの、お手軽ペアリング方法をシーン別でご紹介します。「こんなシーンで日本酒を飲むには、どうすればいい?」と迷った際のヒントにしてくれると嬉しいです。
疲れた日にガツンと食べたい!「淡麗辛口×スタミナ料理」
ドッと疲れが出る週末などに食べたくなるのが、唐揚げやハンバーグ、にんにくをたっぷり使った濃い味付けの料理。ガツンとした味わいが恋しくなりますよね。そんなスタミナ系の料理におすすめなのが、淡麗辛口な日本酒です。ラベルやお店のPOPに「本醸造」や「淡麗」「辛口」と書かれたものを選んでみましょう。しっかりした味の料理と爽やかな飲み口の日本酒が、お互いを引き立て合います。
ほかには「生酒」と書かれたものもおすすめです。しっかり冷やして飲むことでキレが増し、より美味しくいただけますよ。
ホームパーティーでおしゃれに飲むなら「スパークリング×スナック系」
友人や親族と集まるホームパーティー。パーティーシーンでは、味だけではなく見た目にもこだわりたいですよね。そんなときにおすすめなのが、スパークリング日本酒です。しゅわしゅわと泡が立ち上る様子がとても華やかで、見ているだけでも気分が上がります。シャンパン代わりに、スパークリング日本酒をいただくのもよいでしょう。
スパークリング日本酒は甘酸っぱい味わいのものが多く、日本酒を飲み慣れていない人にもおすすめ。ポテトチップスやピザなどのスナック系、ケーキやフルーツなどのスイーツ系にもよく合うので、パーティーのお供にもってこいなお酒です。
日本酒ビギナーさんなら「フルーティー×前菜メニュー」
「日本酒を飲んでみたいけれど、よく分からない……」 そんな人におすすめなのが、フルーティーな香りの日本酒です。ぜひ、ラベルに「純米吟醸」「純米大吟醸」と書かれているものを選んでみてください。「吟醸」とつくお酒は華やかでフルーティーな「吟醸香」を楽しめるお酒が多く、日本酒に慣れていない方でも飲みやすいものが多いです。
ペアリングにおすすめなのは、カルパッチョやカプレーゼなど素材の味わいを楽しむ料理。冒険しすぎず、前菜系のシンプルなメニューを合わせると「なんか組み合わせ、微妙かも?」といった失敗をしにくくなります。
いろいろな組み合わせを試して、お気に入りを見つけてみて
今回紹介したもののほかにも、スイーツと合わせたり中華料理と合わせたり……。日本酒のペアリングは自由自在であり、組み合わせは無限大です。同じ日本酒でも、合わせる料理によってまったく別のお酒のように感じられます。一度「これはちょっと苦手かも?」と感じたことがあるお酒でも、おつまみを変えるだけでとたんに飲みやすく感じることも。ぜひお気に入りの組み合わせを見つけて、日本酒の世界をもっと楽しんでみてくださいね。
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