全国54蔵の「純米酒」が名古屋に集結!「JUNMAI SAKE WEEK NAGOYA 2025」で日本全国の純米酒を満喫!【参加レポート】

  • 名古屋のテレビ塔とイベント看板

全国各地の風土に育まれたとびっきりの「純米酒」が集まる「JUNMAI SAKE WEEK NAGOYA 2025」が2025年11月22日(土)~24日(月・振休)の3日間、ヒサヤオオドオリパーク・中部電力 MIRAI TOWER下の特設会場にて開催。今年で2回目となる純米酒オンリーの日本酒フェスティバルは、好天にも恵まれて初日から大勢の日本酒ファンでにぎわいました。 

  • イベント会場で飲食する人々

    初日から会場は大賑わい!

この記事では、純米酒ウィーク初日の模様と、各地の風土に育まれたおいしい純米酒の数々をレポートします。

日本でも珍しい「純米酒」オンリーの日本酒フェスティバル

  • イベントロゴが入った青色の暖簾

「JUNMAI SAKE WEEK NAGOYA 2025(以下、純米酒ウィーク)」は、その名の通り純米酒オンリーの日本酒イベント。日本酒の原点とも言える米と水のみで作られた「純米酒」で酒蔵や米農家、小売店・飲食店、消費者と日本酒にかかわる人たち全てを繋ぎたいという思いを込めて2024年から開催されています。 

2回目となる今回は、日本全国から50蔵以上の酒蔵が参加。各地の気候風土に育まれた200種類以上の純米酒が名古屋に集結しました。

 

  • イベント会場でミーティングをする人々

    開場直前には蔵元の皆さんが集合

純米酒ウィークをプロデュースするのは、純米酒をスタイリッシュに楽しめる『純米酒専門YATA』を手がける株式会社マグネティックフィールドの山本将守さん。「愛知・名古屋から日本酒を広げるイベントを作りたかった」と話す山本さんは、「米と水だけで造られる純米酒のカッコいいイメージを若い世代の人たちにも知ってもらい、ハレの日や祝いの場に日本酒を選んでもらえるきっかけにしてほしい」と純米酒ウィークへの意気込みを話していました。

  • 女性と男性する登壇にステージ

開催初日の11月22日(土)は、この時期としては穏やかな好天にも恵まれたこともありスタート直後から会場は大賑わい!ステージではDJが会場を盛り上げ、来場者たちが素敵な音楽とともに純米酒を楽しんでいました。

  • ステージ上のDJ

“地元の米と水”で作られた純米酒を飲み比べ!

もちろん、筆者も開場直後から純米酒を堪能。全国各地の“純米酒”が集まっている純米酒ウィークですので、今回は“地元の米と水”で育まれた純米酒を6種飲み比べしました。

上川大雪 十勝 特別純米 彗星(上川大雪酒造/北海道)

  • 日本酒の瓶を持つ男性

上川大雪酒造」は、北海道の屋根・大雪山の麓で地の恵みを生かした酒造りを行っている蔵元。北海道産の酒造好適米と良質な天然水を用い、北の大地を体現した「飲まさる」日本酒を醸しています。 

今回いただいた上川大雪 十勝 特別純米 彗星」は、上川大雪酒造の2号蔵となる、十勝・帯広畜産大学キャンパス内に設けられた「碧雲蔵」で醸造された特別純米酒です。原料米には北海道生まれの酒米「彗星」を60%精米で使用。「彗星」はタンパク質の含有量が低く、すっきりとしたクリアな味わいの日本酒になるそうです。 

口元にお酒を近づけると、バナナを思わせるような甘くふんわりとした香りに思わずうっとり。口当たりも柔らかで、澄んだ味わいの中に米の甘味がしっかりと感じられます。しばらく飲み進めていくと、少しビターな部分も顔を覗かせ、すっと消えそうになりながらも細く長くただよう余韻が心地よさを演出。北海道らしい広大なおおらかさを楽しめる一杯でした。

  • 日本酒の瓶とプラカップ

Four Seasons 冬 しぼりたて 直汲み(飛良泉本舗/秋田県)

  • 日本酒の瓶を持つ男性

2杯目には、東北地方で最も古い歴史を持つ酒蔵「飛良泉本舗」をチョイス。昔ながらの山廃仕込みで造られた日本酒のおいしさは非常に高く評価されており、地元秋田のみならず全国に多くのファンを有しています。 

今回頂いた「Four Seasons 冬 しぼりたて 直汲み」は、蔵のある秋田県にかほ市の四季を「山廃づくり」で表現した ”FOUR SEASONS”シリーズの一本。麹米には秋田県が開発した酒米「秋田酒こまち」を、掛米には秋田県で盛んに作られている酒米「美山錦」が使われています。蔵元の方によると、秋田の酒蔵では「秋田酒こまち」と「美山錦」を合わせて使われることも多いとのこと。ややビターな味わいをもたらす「美山錦」と、甘さを醸し出す「秋田酒こまち」の相乗効果でおいしい日本酒が出来るそうです。

 ほんのりと甘さを感じる穏やかな香りの日本酒は、口に含むだけですーっと喉を伝っていきます。味わいのバランスが非常に良く、“淡麗”という言葉をそのまま形にしたようなおいしさに思わずニッコリ。しぼりたてを直汲みしたフレッシュな味わいに、杯を傾けるペースがついつい速くなってしまいました。

  • 日本酒の瓶とプラカップ

小左衛門 純米吟醸ひだほまれ~化石ラベル~(中島醸造/岐阜県)

  • 日本酒の瓶を持つ男性

3杯目に選んだのは、岐阜県瑞浪市にて300年以上にわたり酒造りを続ける「中島醸造」。「始禄」「小左衛門」の銘柄で知られる老舗の酒蔵です。

 今回頂いたのは、岐阜県が開発した酒米「ひだほまれ」を全量用いた「小左衛門 純米吟醸ひだほまれ~化石ラベル~」。標高が高く寒冷な飛騨地方の気候に合わせて開発された「ひだほまれ」は、透明感と旨味が両立した味わいが生まれることから、岐阜県の多くの酒蔵が使っています。

口当たりはふわっと柔らかく、丸みのあるなめらかさ。それでいて飲み進めていくと日本酒らしさがしっかりと現れてきて、米の旨味と心地良いビターな味わいが口の中に膨らみます。長くゆるやかに消えていく余韻も魅力の一つ。秋の夜長にのんびりと読書をしながら飲みたくなるようなおいしさでした。

  • 日本酒の瓶とプラカップ

奥播磨 純米しぼりたて(下村酒造店/兵庫県)

  • 日本酒の瓶とプラカップ

4杯目は、兵庫県姫路市からやってきた「下村酒造店」。明治17年の創業時から受け継がれた「手作りに秀でる技はなし」の家訓を守り、純米酒のみを造る酒蔵です。 

頂いた「奥播磨 純米しぼりたて」は、2日前に絞ったばかりというこの時期しか味わえない超フレッシュな一杯。使用している「兵庫夢錦」は、日本で最も多く使われている酒米の代表格「山田錦」の孫にあたる酒米で、兵庫県のみで作付けされています。しっかり旨味が出るのが特徴で、味の濃いお酒造りに向いているそうです。 

そんな「兵庫夢錦」を使った日本酒は、ビターさが前に出た辛口の味わいが特徴。しぼりたてならではのシャープさと米の“芯の旨味”が合わさることで、しっかりとした力強さが感じられます。それでいて後口がすっと消えて後残りしないため、また一口、また一口といきたくなる印象も。飲むだけでぐっと力が入るような、エネルギーをもらえる一杯でした。

  • 日本酒の瓶とプラカップ

三冠雄町純米吟醸(三冠酒造/岡山県)

  • 日本酒の瓶を持つ男性

5杯目に選んだ「三冠酒造」は、岡山県倉敷市・児島で創業210年を数える老舗酒蔵。備中杜氏の伝統的な手法を引き継ぎながら、地元の酒米と水を用いた「芳醇辛口」の日本酒を造っています。 

頂いたのは、三冠酒造を代表する「三冠雄町純米吟醸」。「雄町」は江戸時代に現在の岡山市中区雄町の農家が発見した酒米であり、岡山県を代表する酒米として長年使われているだけでなく、現在広く普及している「山田錦」「五百万石」のルーツにもなっています。昔ながらの酒米である「雄町」は、ふくよかさとボリュームのある味わいが特徴で、野性味も備えているそうです。 

そうした「雄町」で醸した一杯は、口元に近づけるだけでしっかりと感じられるバニラを思わせる甘い香りが魅力的。口当たりはキリッとした鋭さがありながらも、後からすぐにふっくらとふくよかな味わいが追いかけてきます。米の酒ならではの甘味と旨味がしっかりと感じられ、丸く残る心地よい余韻も素敵な一杯。一般的な純米吟醸のイメージとはひと味違った、力強く複雑な味わいが見事でした。

  • 日本酒の瓶とプラカップ

千代むすび 純米大吟醸 強力50(千代むすび酒造/鳥取県)

  • 日本酒の瓶を持つ男性

6つ目に選んだのは、鳥取県境港市で160年続く歴史のある酒蔵「千代むすび酒造」。「千代に八千代に幸せを結ぶ」という願いを込めてつけられた「千代むすび」は、様々なコンテストや鑑評会で受賞するなど高く評価されています。 

今回頂いた「千代むすび 純米大吟醸 強力50」は、鳥取県で育まれた酒米「強力」を用いた純米大吟醸酒。もともと明治時代に選抜採取された「強力」は、戦後に一時栽培が途絶えていたものの、昭和末期から平成前期にかけて地元の努力で復活。現在は農家や酒蔵などにより結成された「強力をはぐくむ会」により、鳥取県ならではの酒米として大切に育てられています。 

そうした「強力」を使って醸された純米大吟醸は、穏やかながらも華やかさのある花のような香りが特徴。口当たりは柔らかで甘味があり、飲み進めていくとほどよい酸味が感じられます。静かにきれいに消えていく後口も印象的で、口の中でまるで珠のように転がっていくようなおいしさが楽しめる一杯でした。

  • 日本酒の瓶とプラカップ

日本酒の原点を味わえる!「JUNMAI SAKE WEEK NAGOYA」

  • おつまみ

2回目の開催となった「JUNMAI SAKE WEEK NAGOYA」。今回は「米」の違いに注目して6つの酒蔵の純米酒を飲み比べてみましたが、各地の気候風土に育まれた個性あふれる味わいの豊かさに、名古屋にいながら全国を旅しているような気分を楽しむことができました。 

「JUNMAI SAKE WEEK NAGOYA 2025」は11月24日(日)まで開催です。

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