甘口の日本酒おすすめ12選 「本当に美味しい!」年間360日日本酒を飲み尽くす唎酒師ライターが厳選
日本酒に興味が出てきて、「いざ飲んでみよう」という時、何を選んでいいのか迷ってしまう人が多いです。「できれば甘口のお酒がいいな」という人のために、日本酒の甘い、辛いとは何なのか? 「めちゃくちゃうまい」と思うおすすめの美味しい甘口の日本酒はどれなのか? 年間2000種類以上の日本酒を飲んできて、日本酒バーの女将も経験した、日本酒ライター・関友美が「本当に美味しい辛口の日本酒」をご紹介します。
甘口と辛口、その差は日本酒の造り方に関係している
味わいの違いは製造過程に関係しています。すべての酒は、糖を酵母が消費する過程でアルコールと二酸化炭素が発生し、完成します。日本酒の場合、原料である米のデンプンが麹菌の酵素によってブドウ糖に分解され、その後酵母がブドウ糖を消費してアルコールと二酸化炭素を生成することで醸造されます。発酵を途中で止めると糖度が高くアルコール度数が低い「甘口の日本酒」となり、発酵を進めると糖度が低くアルコール度数が高い「辛口の日本酒」になります。
ただし、酸を感じやすい人やアルコールに敏感な人、甘さに慣れている人など、個々の「味覚」によって感じ方が異なるため、数値では測れない部分が大きいという点も特筆すべきです。
おすすめの辛口の日本酒はこちらの記事をチェック
日本酒タイプの見分け方
日本酒度~残糖が多いかどうか
日本酒の製造現場で使用する指標のひとつに「日本酒度」があります。醸造家は発酵中の残糖を確認することで、発酵の進行具合を把握します。日本酒度は、日本酒の甘辛を示す指標で、数値が大きい(プラス)ほど辛口、小さい(マイナス)ほど甘口を表します。ただし、数値に表れない糖や、数値に表れても人間が甘さを感じにくい糖も存在します。また、酸やアミノ酸とのバランスなども影響するため、日本酒度だけで味覚の感じ方を一概に説明することはできません。
酸度が高く、アミノ酸度が高い
日本酒の酸度とは、日本酒に含まれる有機酸の総量を示す指標です。主に乳酸やコハク酸を指し、時にはリンゴ酸、クエン酸、酢酸が多く含まれるものもあります。これらの酸が多いと、甘口に感じやすくなります。また、日本酒が辛口に感じられるためには、酸度が1.5~2.0、アミノ酸度が0.8~1.2程度であることが多いですが、これはあくまで目安であり、酒蔵や商品、その他のバランスによって異なります。
どぶろく・にごり酒・うすにごり
「どぶろく」は、日本の伝統的な酒のうち、米と米麹と水を原料として発酵させただけで、漉す工程を経ていない酒のこと。そのため厳密には、酒税法上「日本酒」と呼ぶことはできませんが、同じ米を原料とする酒としてご紹介します。米と米麹の栄養がそのまま詰まっているので、アミノ酸やコウジ酸など肌に嬉しい成分も豊富だと言われています。とろりとした口当たりで、米のうまみや甘みがそのまま残された甘口のものも多いです。
粗く濾した「にごり酒」や「うすにごり」は、麹や米の柔らかい風合いを残すために『澱(おり)』を残しているため、甘口につくられている商品も多いです。雪のように沈み、振るとふわっと浮き上がる様子は、見た目にも美しいです。
スパークリング日本酒
「スパークリング日本酒」は、乾杯時や気軽に楽しんでもらうことを目的に造られた商品が多く、フレッシュでフルーティーで軽やかな味わいのものが多いです。低アルコールのものもあり、製法としてはシャンパンと似た「瓶内二次発酵」によるものと、安定したガス感が得られる「炭酸ガス注入」の2タイプがあります。
貴醸酒
貴醸酒(きじょうしゅ)は、甘く濃厚な味わいが特徴の高級酒です。通常の日本酒の仕込みでは、水を使って原料を発酵させますが、貴醸酒の場合は、その水の一部または全てを日本酒で置き換えて仕込むことで、独特の甘さとコクを生み出します。豊かな風味ととろみのある舌触りが楽しめます。デザート酒として飲まれることが多く、チーズやチョコレート、フルーツなどの甘味の強い食べ物と相性が良いです。また、冷やして飲むことが一般的ですが、温めても風味が際立ちます。
おすすめの甘口日本酒~初心者向け7選
一ノ蔵 すず音 (日本酒度 -90.0~-70.0)
私が思う、スパークリング日本酒のパイオニア的存在の「一ノ蔵 すず音」。1998年にリリースされました。日本酒業界では珍しいスパークリングタイプの日本酒として登場し、その新しいスタイルが多くの人々に支持され、人気を集めました。その繊細な泡立ちと爽やかな味わいが特徴です。日本酒度だけ見ると、かなり甘そうなのですが、程よい酸と炭酸ガスがあることで、バランスが取れており、軽やかに飲むことができます。
瓶内発酵という製法で自然に発生したガスが、滑らかでやわらかな泡を生み出し、甘さと酸味のバランスが絶妙です。
■(株)一ノ蔵 宮城県大崎市
■アルコール度数 5度
■日本酒度 -90.0~-70.0
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松竹梅白壁蔵 澪 (日本酒度 -70)
コンビニで手軽に買えるスパークリング日本酒です。食前酒としても、またデザート酒としても適しています。デザインも特徴的で、青いボトルに白い文字が描かれ、見た目の美しさも印象的です。マスカットのようなフルーティーな香りとやさしい甘みが特長です。
■宝酒造 京都府京都市
■アルコール分 5%
■日本酒度 -70
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白鶴ブラン (日本酒度 -50)
ワイン用酵母と日本酒用酵母を掛け合わせた(交配した)ハイブリッド酵母により、通常の日本酒にはないフルーティーな香りがあります。まるで白ワインのよう!目隠して飲めば、なんのジャンルのお酒かわからないことでしょう。滑らかな舌触りで、お酒単体で飲むのはもちろんのこと、カプレーゼなど前菜と合わせてもよく合います。
■白鶴酒造 兵庫県神戸市
■アルコール分 8%
■日本酒度 -50
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月桂冠 アルゴ 日本酒5.0 (日本酒度 非公開)
2024年10月に発売されたばかりのお酒です。商品名の「アルゴ」は、アルコール度数が5%であることに由来しています。月桂冠がこれまで培ってきた伝統と最新技術を組み合わせて開発され、軽やかでフレッシュな味わいが特徴です。実際に飲んでみた私の感想としては、「爽やかな味付きのいろ○す」のような印象で、乳酸菌飲料のようなまろやかさも感じられました。軽やかな甘口で、すっきりとした飲み心地があり、さまざまなシーンで楽しめる日本酒です。日本酒の新しいスタイルを提案するお酒として注目されています。
■月桂冠㈱ 京都府京都市
■アルコール分 5%
■日本酒度 非公開
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川鶴 讃岐くらうでぃ (日本酒度 -70)
川鶴酒造が製造するユニークな日本酒で、「にごり酒」として知られています。伝統的な日本酒の技法を用いながらも、まるでヨーグルト飲料のように甘く濃厚で、独特な味わいを楽しめるお酒です。このお酒は、讃岐の伝統料理であるひね鳥(産卵後の実が締まった母鳥)の「骨付鳥」と一緒に、ごくごく飲めるようにと開発されました。氷を浮かべてロックで飲んだり、ソーダで割ったりしても美味しく楽しめます。
■川鶴酒造 香川県観音寺
■アルコール分 6%
■日本酒度 -70
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黒松仙醸 どぶろくDOBUROKU (日本酒度 -100前後)
どぶろく特有の濃厚でクリーミーな食感が特徴で、米の旨味がそのまま活かされた力強い味わいを楽しめます。「どぶろく」は、日本酒と異なり、もろみをこさずにそのまま瓶詰めするため、発酵中の米の粒が残っているのが特徴です。これにより、米の甘味と酵母の風味が凝縮され、濃厚ながらもスッキリとした後味が感じられるお酒となっています。定番のプレーンの他にも、「どぶとみかん」「どぶといちご」「どぶとゆず」など季節ごとのフルーツどぶろくが発売されるので、目が離せません。
■㈱仙醸 長野県伊那市
■アルコール分 6%前後
■日本酒度 -100前後
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十二六 (日本酒度 -100前後)
長野県の酒蔵でつくられる人気商品です。酒屋さんからの受注分限定製造商品で、年に数回あるリリースのタイミングを待っている人が大勢います。公式ホームページでは、【十二六 甘酸泡楽(じゅうにろくかんさんほうらく)略して「どぶろく」】と紹介されています。加熱処理をしていないため、酵母が生きたまま中に閉じ込められています。刻々と状態が変化しています。そのため5℃以下の保管で製造日より20日間が賞味期限とされており、酵母が生み出す炭酸ガスによってピチピチとした食感も味わえます。甘めでサラサラ、軽めの「十二六ライト」という商品も人気です。
■武重本家酒造 長野県佐久市
■アルコール分 6%前後
■日本酒度 -100前後
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おすすめの甘口日本酒~通向け5選
亀泉 純米吟醸原酒 CEL-24 生酒 (日本酒度 -16 ~ -8)
CEL-24(セルにじゅうよん)は、高知県工業技術センターが開発した日本酒用の酵母です。この酵母は、特にカプロン酸エチルという香り成分を豊富に生成することで知られており、リンゴや洋ナシ、メロンのようなフルーティーで華やかな香りを生み出します。この個性的な酵母を最も効果的に使用しているお酒の一つがこちらです。味わいのバランスが絶妙で、香りが強すぎると飲み疲れることもありますが、このお酒は心地よい甘さと香りを楽しめます。冷蔵庫でよく冷やして飲んでください。
■亀泉酒造 高知県土佐市
■アルコール分 14%前後
■日本酒度 -16 ~ -8(ロット・タンクによる)
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黒龍 貴醸酒 (日本酒度 非公開)
「黒龍 純吟」で贅沢に仕込んだ貴醸酒です。貴醸酒(きじょうしゅ)は、通常の仕込みで使う水の代わりに、すでに醸造された日本酒を一部使用して作られる特別な方法で仕込まれます。これにより、通常の日本酒よりもさらに濃厚で、甘さとコクが引き立つまろやかな味わいが生まれます。甘く上品な香りと滑らかな舌触りが特徴で、デザート酒や特別な場面での飲用に最適です。チーズやチョコレートなど、甘みのある食べ物とも相性が良いです。冷やして飲んでも美味しく、意外にも温めて飲むとさらに風味が広がります。リッチな味わいの日本酒で、150mlの小瓶もあり、気軽に試しやすいのも魅力です。
■黒龍酒造 福井県吉田郡
■アルコール分 12%
■日本酒度 非公開
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獺祭 純米大吟醸 スパークリング45 (日本酒度 非公開)
あの「獺祭」がリリースしているスパークリング日本酒。シックで高級感のあるボトルデザインは、どんなシーンにもマッチします。甘すぎない味わいで、パーティーの乾杯やデザート酒としてはもちろん、食事中にもぴったりです。幅広い料理との相性が抜群です。瓶内二次発酵によって自然に生まれる炭酸が特徴で、シャンパンのような細かい泡が軽やかな口当たりを演出します。この炭酸が、日本酒特有の甘みや旨味を引き立て、フルーティーな香りと純米大吟醸ならではの柔らかく上品な甘さを楽しめます。
■旭酒造 山口県岩国市
■アルコール分 14%
■日本酒度 非公開
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MIZUBASHO PURE (日本酒度 非公開)
MIZUBASHO PURE(ミズバショウ ピュア)は、群馬県の永井酒造が製造するスパークリング日本酒で、「世界に通じる日本酒」として高い評価を受けています。MIZUBASHO PUREは、伝統的な日本酒の技法と、シャンパーニュ製法(瓶内二次発酵)を融合させた製品で、非常に繊細な泡立ちと華やかな香りが特徴です。フランスのトップソムリエ達が審査を行う国際日本酒コンクール「Kura Master2024」でプラチナ賞および、スパークリング部門のトップである「審査員賞」を受賞しました。すごく甘いお酒というわけではないですが、きめ細かい泡とフレッシュな酸味と、甘みがバランスよく調和する上品な日本酒です。
■永井酒造 群馬県利根郡
■アルコール分 13%
■日本酒度 非公開
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鳩正宗 純米酒 りんご酸酵母仕込み (日本酒度 -11~-12)
味わいを感じ取る際に、香りは非常に大きな影響を及ぼします。実際、味覚の70〜80%は嗅覚に依存しているとも言われています。このお酒は、リンゴ酸高生産性酵母を使用することで、爽やかな酸味とフレッシュな味わいの純米酒に仕上がっています。『リンゴ酸』は、リンゴや柑橘系フルーツに含まれる有機酸で、フルーティーで爽やかな酸味を生み出す成分です。『リンゴ酸』が多いと、フルーティーな香りが漂い、バランスの取れた甘酸っぱさを感じ、爽やかに飲むことができます。特別に甘いわけではありませんが、日本酒初心者から熟練の愛好家まで、さっぱりとした甘さがクセになる魅力的なお酒です。
■鳩正宗(株)青森県十和田市
■アルコール分 15%
■日本酒度 -11
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いろいろ試して自分好みの日本酒を見つけてください!
日本酒には甘口から辛口までさまざまなタイプがあり、造り方によってその味わいが大きく変わります。甘口は発酵を途中で止めて糖度を残し、辛口は発酵を進めて糖度を低くすることで作られますが、酸度やアミノ酸度も味に影響を与えます。また、日本酒の甘辛を示す「日本酒度」という指標もありますが、数値だけではわからない部分もあり、個人の味覚によって感じ方が異なることもあります。自分の好みを見つけるために、いろいろな日本酒を試してみてください!
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