日本酒のトレンドを牽引する 世界最大級の「SAKE COMPETITION 2025」~"世界一美味しい市販日本酒"が決定!
世界最大級の日本酒コンペティション『SAKE COMPETITION 2025』の表彰式が、6月10日、東京都港区のTAKANAWA GATEWAY CITYで開催されました。
東京の酒販店「はせがわ酒店」が中心となり、2012年にスタートした本コンペは、「銘柄にとらわれず、真においしい酒を見つけたい」という理念のもと続けられ、今年で11回目。市販酒のみを対象に、全銘柄を伏せて審査するブラインド方式を貫き、国内外のバイヤーや日本酒ファンからも高い注目と信頼を集めています。さらに新設された「モダンナチュラル部門」にも関心が集まりました。伝統を受け継ぎ、革新へ。SAKE COMPETITIONは、新しい時代の指標として確かな存在感を放っています。
サケコンペティションとは
世界一美味しい市販の日本酒を決定するコンペティション。「ブランドによらず消費者が本当に美味しい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい」という理念のもとに、2012年から始まりました。そのため、審査対象は“市販酒のみ”となっており、審査方法は、銘柄を完全に隠し、日本酒の品質のみで競うことを徹底。審査員がブランドや銘柄に左右されることなく、どんなブランドでも1位をとるチャンスがある品評会です。
評価基準は、お米でできたお酒らしい香りや味わいから逸脱していないかを問う「清酒としての品格」、飲んで楽しむお酒として優れているかを問う「飲用酒としての適性」の2点を基準として総合的に評価。各部門の上位10位は「GOLD」とその順位が授与され、GOLD以下の部門上位10%には「SILVER」が授与されます。
公式HP:https://sakecompetition.com/sake_competition.html
総出品数 1163本から選ばれた、各部門 入賞酒を紹介
今回は全国から350超の酒蔵が参加し、出品数は1000本以上の中から「純米酒部門」、「純米吟醸部門」、「純米大吟醸部門」、「SUPER PREMIUM 部門」、「海外出品酒 部門」、「モダンナチュラル部門」の全6部門で審査を実施。また「ダイナースクラブ若手奨励賞」、「JAL空飛ぶSAKE賞」、JR東日本が開発を手がけた高輪ゲートウェイの街びらきを記念して設立された「TAKANAWA GATEWAY CITY まちびらき記念 最優秀賞」、「実行委員賞」も、司会のフリーアナウンサー・宇賀なつみさん、ラジオDJ・サッシャさんから発表されました 。
-
各部門1位に輝いた酒蔵のみなさん(左からDASSAI USA、寒紅梅酒造、磯自慢酒造、西田酒造店、宮下酒造)
純米酒 部門(出品数286本)
- 磯自慢酒造株式会社「磯自慢雄町特別純米53」(静岡)
- 株式会社中勇酒造店「天上夢幻 旨口 特別純米」(宮城)
- 松屋酒造株式会社「流輝 純米ドライ」(群馬)
- 株式会社廣木酒造本店「飛露喜 特別純米」(福島)
- 赤武酒造株式会社「AKABU 純米酒」(岩手)
- 今西酒造株式会社「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita」(奈良)
- 合名会社大木代吉本店「自然郷 円融純米」(福島)
- 高木酒造株式会社「土佐金蔵 特別純米」(高知)
- 福禄寿酒造株式会社「一白水成 特別純米酒 良心」(秋田)
- 牧野酒造株式会社「大盃 特別純米」(群馬)
純米吟醸 部門(出品数340本)
- 寒紅梅酒造株式会社「寒紅梅純米吟醸山田錦50%」(三重)
- 木屋正酒造株式会社「而今 純米吟醸 山田錦」(三重)
- 株式会社澄川酒造場「東洋美人 限定純米吟醸 愛山 醇道一途」(山口)
- 大嶺酒造株式会社「大嶺 3粒ひやおろし山田錦」(山口)
- 合名会社大木代吉本店「楽器正宗 雄町 中取り」(福島)
- 清水清三郎商店株式会社「作 奏乃智」(三重)
- 磯自慢酒造株式会社「磯自慢 純米吟醸」(静岡)
- 株式会社町田酒造店「町田酒造 純米吟醸 山田錦」(群馬)
- 株式会社中島屋酒造場「中島屋 純米吟醸」(山口)
- 赤武酒造株式会社「AKABU 純米吟醸 愛山」(岩手)
純米大吟醸 部門(出品数341本)
- 黄金井酒造株式会社「盛升 純米大吟醸」(神奈川)
- 株式会社外池酒造店「望bo: 純米大吟醸 雄町」(栃木)
- 株式会社南部美人「南部美人 純米大吟醸」(岩手)
- 天鷹酒造株式会社「有機純米大吟醸 天鷹 槽搾り原酒」(栃木)
- 石鎚酒造株式会社「石鎚 純米大吟醸」(愛媛)
- 株式会社外池酒造店「燦爛 純米大吟醸 夢ささら」(栃木)
- 株式会社南部美人「南部美人 純米大吟醸 結の香」(岩手)
- 赤武酒造株式会社「AKABU 極上ノ斬 純米大吟醸」(岩手)
- 白鶴酒造株式会社「白鶴 Alternative 純米大吟醸 白鶴錦」(兵庫)
- 天吹酒造合資会社「天吹 純米大吟醸 愛山」(佐賀)
Super Premium 部門(出品数71本)
- 宮下酒造株式会社「極聖 純米大吟醸 天下至聖」(岡山)
- 株式会社西田酒造店「田酒 純米大吟醸 PREMIUM」(青森)
- 亀の井酒造株式会社「くどき上手 命」(山形)
海外出品酒 部門(出品数10本)
- DASSAI USA Inc.「DASSAI BLUE Type 23 NY」
モダンナチュラル 部門(出品数115本)
- 株式会社西田酒造店「田酒 純米大吟醸 山廃」(青森)
- 吉川醸造株式会社「雨降 水酛 愛山 “MIZUMOTO”」(神奈川)
- 松瀬酒造株式会社「松の司 純米大吟醸 AZOLLA50」(滋賀)
- 越銘醸株式会社「山城屋 STANDARD CLASS」(新潟)
- 株式会社せんきん「仙禽 モダン 壱式」(栃木)
特別賞など
- ダイナースクラブ若手奨励賞:株式会社南部美人 杜氏 林敬宏(岩手)
- TAKANAWA GATEWAY CITY まちびらき記念 最優秀酒蔵賞:磯自慢酒造株式会社(静岡)
- JAL 空飛ぶSAKE賞:松瀬酒造株式会社「松の司 純米大吟醸 AZOLLA50」(滋賀)
- 実行委員長賞:青木酒造株式会社「御慶事 純米吟醸 ひたち錦」(茨城)
喜びの声~受賞者インタビュー
純米部門1位(純米吟醸部門7位) 磯自慢酒造
-
磯自慢酒造 八代目蔵元 寺岡洋司さん
「純米酒部門で第1位という評価をいただき、大変ありがたく思っています。サケコンペティションの第1回でも受賞しており、久しぶりに壇上に上がらせていただきました。純米は日本酒の原点。その基礎となる部門で受賞できたことは、造り酒屋としての誇りです。受賞酒に使用しているのは、岡山県の酒造好適米『雄町』の最高峰・赤磐地区の特等“赤磐雄町”。精米歩合53%で、米質に適した静岡酵母を数年かけて選び抜きました。製麹から搾りまで妥協せず、『Sublime Transparency /崇高なる透明感(商標登録) 』透明感と丸みを両立させた味わいを目指した“作品”です。
酒造りで大切にしているのは、15人からなる“チーム磯自慢”の力。年齢や立場を超えて協力し、真剣に取り組む一方、和気あいあいとした雰囲気も忘れません。毎年異なる米質への対応は苦労もありますが、それもまた酒造りの醍醐味です。
今回ロサンゼルスでのサケコンペティションお披露目会にご招待をいただきました。磯自慢は、海外に向けて、現代の市場に合わせて…ということは意識していません。純粋に美味しさを追求。日本料理だけでなく、日本酒はイタリアンやフレンチなど多様な料理にも合いますから、丁寧に伝える体制づくりが必要だと感じています。」
純米吟醸部門1位 寒紅梅酒造
-
寒紅梅酒造・専務の増田涼さん
「まさか自分たちが呼ばれるとは思っていなかったので、発表の瞬間は本当に驚きました。表彰が終わってから、じわじわと嬉しさが込み上げてきて……今は感謝の気持ちでいっぱいです。
実は、昨年も同じ銘柄でゴールドをいただいていたので、今年も自信を持って取り組みました。ただ、今年はお米の状態があまり良くないと言われていたので、そこはかなり工夫しながら、社長や従業員みんなと力を合わせて造ってきました。やはりまず感謝を伝えたいのは、取引先の皆さま、そして社長をはじめとする従業員のみんなです。普段から応援し続けてくださっていることが、本当に励みになっています。
今年使った酒米は、ややクセがあって扱いが難しく、最初の1〜2本はなかなか納得のいく仕上がりにはなりませんでした。正直、苦戦も多かったです。仲間の酒蔵に横のつながりを通じて相談させてもらったり、助けていただいた場面もありました。そうやって試行錯誤できたことが、結果につながったのかなと感じています。」
Super Premium 部門1位 宮下酒造
-
受賞の知らせを受けた宮下酒造株式会社 東京営業所 所長・山野万里子さん(代表取締役社長 宮下晃一さんの姉)は、晴れやかな表情で語った。
「大変うれしく、心より感謝しております。このお酒を造るにあたり、ご支援くださった皆さま、そして日々酒造りに携わっている全てのスタッフの努力に、改めて感謝の気持ちを伝えたいです。
本日は社長の代理で出席しておりましたので、まさかこのような華やかな舞台で賞をいただけるとは思っておらず、本当に驚きました。これまで積み重ねてきた取り組みが、ひとつの形として認めていただけたことが、何よりも嬉しく感じています。」
海外出品酒 部門1位 DASSAI USA Inc.
-
旭酒造 代表取締役社長、四代目蔵元 桜井一宏さん
「とにかく嬉しいです。半分は本当にびっくりしているというのが正直なところです。今回の酒造りでは、ニューヨークの硬水ならではの難しさを改めて実感しています。発酵が進みやすく、味の輪郭が際立ちやすい特性があります。その中でも“獺祭らしさ”は守らなければいけない。アメリカでの醸造環境と向き合い、改善を重ねている最中です。
哲学はシンプルで、“美味しくなきゃ意味がない”。その一点に尽きます。味や品質の向上はもちろん、今後はその先にある“伝える”部分も重要になると考えています。ニューヨークの酒蔵から、もう一度世界に日本酒を発信したい。米国で造ったとしても、日本文化を背負い、根っこは変わらない。“日本から来た酒”“日本の精神と技が宿る酒”として、世界に紹介していきたいと思っています。
『獺祭ブルー』が国内の獺祭を超えるか?と問われれば、まだまだ、というのが率直な気持ちです。たとえば『獺祭23』を飲んだときに“これは本当にすごい”と感じるような、あの完成度には、正直あと10点足りない。それでも、その10点を埋めるために、チーム一丸となって日々全力で挑んでいます。必ず、もっと良くなると信じています。」
モダンナチュラル部門1位 西田酒造店
-
西田酒造店 代表取締役社長 西田司さん
「山廃というと“重い”“クセがある”といった印象を持たれる方が多いかもしれませんが、今回出品した純米大吟醸は、むしろすっきりとした綺麗な酸が特徴です。雑味のない、清らかな味わいを目指しました。昨年、田酒発売50周年という節目を迎えました。田酒における山廃の歴史は古く、フラッグシップの特別純米と並んで、長くブランドを支えてきたのがこの山廃純米です。うちの山廃は癖がない、きちんと山を出した綺麗な山廃”――それを証明したくて、敢えてこの新部門に出品し、賞をいただけたことはとても意味のあることだと思っています。
SAKE COMPETITIONには今回が初出品です。「はせがわ酒店の扱う銘柄ばかり上位に入っているんじゃないか」と、正直少し疑っていた部分もありました。でもここ数年の結果を見て、本当に公正な審査をしているんだとわかり、だったらうちも堂々と出そうと。きちんと評価していただけたことが、本当にうれしいですね。私は社員を“家族”だと思っています。共に働くすべての仲間に、心から感謝しています。酒造りは毎年が挑戦。去年より今年、今年より来年、さらに美味しい酒をつくっていきたい。そんな気持ちで、これからも挑み続けます。
この酒は、自由に楽しんでいただいて構いません。山廃や生酛はお燗にすると旨みが増しますし、どちらの温度帯でも魅力があります。ただ、この純米大吟醸に関しては、香りを生かしたいので冷やの方がおすすめです。」
ダイナースクラブ若手奨励賞 南部美人 杜氏 林敬宏(岩手)
-
左:南部美人 杜氏 林敬宏さん、右:常務取締役 久慈雄三さん
杜氏 林敬宏さん
「今回の受賞を聞いたとき、まず浮かんだのは「嬉しい」という気持ちよりも「安心した」という感情でした。私は杜氏になってまだ四造り目。正直なところ、今の自分に満足しているかと聞かれれば、そうではない。ただ、それは決して否定的な意味ではなく、その時々で自分が出せる“最高”の酒をつくってきた、という自負はあります。もっと評価されるように、僕自身も歩みを止めず、挑戦し続けていきたいと思っています。」
常務取締役 久慈雄三さん
「今回の受賞は驚きました。まさか受賞できるとは思ってもみなかったです。林はまだ正式な南部杜氏としての資格は持っておらず、今年7月に初めて受験する予定です。一歩踏み出すタイミングだと感じています。おなじ岩手県酒造組合には、林の1歳下にAKABUの古舘龍之介という名杜氏がいます。私は岩手県酒造組合の需要開発委員長もやっているので、若手のなかでも切磋琢磨して、より一層岩手県の酒が成長していけば、と思っています。」
イベント概要
名称 :SAKE COMPETITION 2025 表彰式&受賞パーティー
日時 :2025年6月10日(火)18:30〜
会場 :TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR 1 SOUTH B2 階 LINKPILLAR Hall A・B
主催者 :SAKE COMPETITION 実行委員会
特別協賛 :ダイナースクラブ、東日本旅客鉄道株式会社
協賛 :日本航空株式会社、リーデル、有限会社キクプランドゥー、株式会社 JALUX
ホテルパートナー :ザ・ペニンシュラ東京
協力 :JA 全農おかやま、新中野工業株式会社
メディアパートナー :株式会社 BS-TBS
後援 :国税庁、農林水産省、内閣府知的財産戦略推進事務局
運営 :株式会社はせがわ酒店、株式会社サニーサイドアップ
受賞酒、受賞蔵のその他の日本酒もぜひチェックしてみて!
受賞した酒は毎年、日本国内はもちろん海外からも注目され、販売店やECサイトで品薄になることもあります。出品できるのは「購入できる市販酒」のみ。これは他のコンペにはあまりない、SAKE COMPETITIONならではの大きな特長です。
銘柄を伏せた審査によって、時に無名の酒蔵が上位に入賞し、業界で話題になることも。ぜひランキングだけでなく、幅広く上位入賞の他のお酒にも目を向けてみてください。思いがけない一本との出会いが、きっとあるはずです。
2023年の表彰式の様子はこちら
2023年 決審の様子、審査員コメントはこちら
関連記事