【日本酒初心者向け】原酒や生酒ってなに? 違いを知って、日本酒の魅力をもっと楽しもう

  • グラスに順番に日本酒を注ぐ手元

日本酒の種類というと大吟醸や純米といった言葉をよく耳にしますが、実はそれ以外にも日本酒にはさまざまな種類があるのです!

今回は、ちょっと上級者向けの日本酒豆知識として「原酒」「生酒」について解説します。「いろいろな日本酒について知りたい」「日本酒についてもう少し詳しくなりたい!」という人は、ぜひ最後まで楽しみながら読んでみてくださいね。

「原酒」「生酒」ってどんなお酒? それぞれの違いを解説

  • 蛇の目のお猪口に日本酒を注ぐ様子

日本酒について知っていくと耳にする機会のある「原酒」や「生酒」という言葉。文字からなんとなくのイメージは湧くものの、具体的な定義や特徴は知らないという人も多いのではないでしょうか。まずは、原酒・生酒のそれぞれの違いについて解説します。

原酒

原酒とは、割り水をおこなわない日本酒のこと。

一般的に、日本酒を造る過程では「割り水(加水)」といった仕込み水を加える作業をおこなうことで、アルコール度数のバランスを調整しています。しかし、原酒の場合は割り水を行っていないため、通常の日本酒と比べるとアルコール度数が高くなるのが特徴であり、濃厚な味わいが魅力です。「そのまま飲むとちょっとパンチが強すぎる」と感じる際には、氷を入れたり炭酸で割ったりすると飲みやすい印象に変化します。

生酒

生酒とは、火入れをおこなっていない日本酒のことです。

日本酒造りの工程では、もろみを搾って貯蔵する前と、瓶詰めをして出荷する前の2回にわたって日本酒を60℃前後の火にかける「火入れ」をおこないます。これは日本酒の中に残っている酵母の活性を止めたり、日本酒を劣化させる原因のひとつである「火落ち菌」を殺菌したりするのが目的です。火入れをおこなわない生酒は、まさに搾ったままのフレッシュな日本酒。フルーティーな味わいを感じられ、ほかの日本酒にはない新鮮さを感じられます。しっかり冷やして飲むことで、さらに美味しくいただけますよ。
しかし、生酒は火入れをおこなわないぶん、酒質が変化しやすいという特徴も。生酒をできるだけ長く美味しく楽しむ方法は、後ほど詳しく解説します。

原酒・生酒だけじゃない! ほかにもたくさんある、日本酒の種類

  • さまざまなお猪口に注がれた日本酒で乾杯する人たちの手元

ここまでに原酒・生酒の違いを解説してきましたが、実は日本酒の種類はほかにもたくさんあります。生貯蔵酒、無濾過……など、よく似た名前や見慣れない漢字が並ぶので難しく感じるかもしれませんが、それぞれに違った魅力・味わいがあるので、ぜひ日本酒を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

生原酒

生原酒とは、加水も火入れもしない日本酒のこと。

ここまでの解説から、なんとなく想像がついた人も多いかもしれませんね。生原酒はフレッシュかつ濃厚で、日本酒本来の旨味をダイレクトに感じられます。インパクトのある飲み口・味わいであることから、日本酒ファンから根強い人気のある種類のひとつです。まずはそのまま飲んでじっくり味わい、その後は氷を入れたり炭酸で割ったりして、味わいの違いを楽しむのもおすすめですよ。

生詰酒

日本酒をタンクで貯蔵する前に、一度だけ火入れを行う日本酒が、生詰酒

1回とはいえ火入れをしているのに「生詰」というのが少々ややこしいですが、瓶詰めのあとは火入れしない=生の状態で詰めているというのが、名前の由来です。生詰酒は生酒に比べると長期保存がしやすく、時間の経過とともに少しずつ変化する味わいを楽しめるのが魅力。
9月頃から見かける機会が増える「ひやおろし」も生詰酒に該当し、同じひやおろしでも出荷時期によって呼び名や味わいが変わります。

無濾過生原酒

無濾過原酒(むろかなまげんしゅ)とは、加水や火入れをおこなっていないだけでなく、濾過もおこなっていない日本酒です。

日本酒を造る過程では、もろみを搾ったあとに濾過をおこない、濁りのない透明なお酒に仕上げていくのが一般的。しかし「無濾過」とつく名前の日本酒は、濾過の過程をおこなっていません。無濾過のお酒は品質管理が難しいため、昔は市場に出回ることはほとんどなく、酒蔵のなかだけで飲めるお酒でした。しかし、近年は品質管理の技術が向上したことにより、商品として市場でも販売されるように。生原酒の力強い味わいに加え、お米本来の旨味や深みを感じられるのが無濾過生原酒の魅力です。

少しでも長く美味しく楽しむには? 生酒の適切な保存方法

  • 透明な徳利と陶器のお猪口

生酒のラベルには「要冷蔵」と記載されていることが多く、冷蔵庫での保存が必須です。

生酒をはじめ「生」とつくものは、どれも新鮮なお酒。特に一度も火入れをしていない生酒は、お酒のなかに酵母や微生物がまだ残っています。常温で放置してしまうと酵母・微生物の動きが活発になり、どんどん味わいや品質が変化してしまうのです。そのため生酒は、未開栓・開栓済みに関わらず必ず冷蔵庫で保管しましょう。日本酒は温度だけでなく紫外線にも敏感なお酒なので、新聞紙で包んだり化粧箱に入れたりして、直射日光が当たらないようにするのもおすすめです。生酒は非常にデリケートなお酒なので、搾りたての美味しさを楽しむためにも、開栓後は早めに飲み切るようにしましょう。

気になるお酒はどれ? 愛知・岐阜のおすすめ原酒・生酒5選

日本酒にもさまざまな種類があることが分かりましたが、いざ選ぶとなると迷ってしまうもの。そこで、最後に愛知・岐阜のおすすめの原酒・生酒をご紹介します!
味の特徴で選ぶもよし、ラベルの色やデザインなどの見た目で選ぶもよし。気になるものはあるか、ぜひチェックしてみてくださいね。

長珍 阿波山田65 純米無濾過生原酒/長珍酒造株式会社

  • 新聞紙にくるまれた日本酒の瓶

新聞紙に包まれた姿が印象的な日本酒。過去にもSAKETOMOで紹介したことがある1本です。徳島県産の山田錦「阿波山田」を使用しており、お米のポテンシャルを引き出せるようあえて磨きすぎず65%までの精米歩合に留めています。濃厚でどっしりとした味わいであり、生原酒でありながらあえて熱燗にしても美味しくいただけます。

長珍酒造Instagramはコチラ

國盛 彩華 春大吟 大吟醸生貯蔵酒/中埜酒造株式会社

  • 日本酒の瓶

季節限定の大吟醸生貯蔵酒。酒造好適米を50%まで磨いており、春を感じさせる華やかな香り、そよ風のように爽やかな味わいが魅力です。パッケージにも風に揺れる緑の葉が描かれており、ラベルを見ているだけでも心が安らぎます。春限定のお酒なので手に入る時期は限られていますが、チャンスがあればぜひゲットしてみてくださいね。

中埜酒造ホームページはコチラ 

蓬莱泉 特別純米酒 生酒/関谷醸造株式会社

  • 日本酒の瓶

季節限定の生酒。蔵出しの時期は毎年3月〜9月であり、2025年は3月4日にリリースされました。冬に搾ったお酒を3ヶ月ほどタンクで貯蔵し、味が落ち着いたところで瓶詰めをおこなっています。軽快な味わいなので、だんだん暖かくなるこれからの時期にキリッと冷やして飲むのがおすすめ。薄いブルーのボトルとシンプルなラベルデザインで、見た目からも清涼感を感じられます。

関谷醸造ホームページはコチラ

純米吟醸無濾過生原酒 ふなくちとり/日本泉酒造株式会社

  • 日本酒の瓶

搾ったままの日本酒をそのまま詰めた、フレッシュな日本酒。名水100撰のひとつである清流長良川の伏流水を使用し、低温で丁寧に仕込んだもろみを昔ながらの木槽でゆっくりと搾っています。吟醸酒らしい上品でフルーティーな香りを楽しめるだけでなく、無濾過生原酒ならではの芳醇な味わいをしっかりと感じられますよ。

日本泉酒造ホームページはコチラ 

日野屋 純米大吟醸 生貯蔵低アルコール酒/天領酒造株式会社

  • 日本酒の瓶

ピンクの可愛らしいラベルが特徴的な、低アルコールの日本酒。日本酒を飲み慣れていない人や、アルコール度数の高いお酒が苦手な人にもおすすめの1本です。香りと味わいのバランスがよく、ほどよいキレもあるので食中酒にぴったり。タレや味噌などの濃厚な味付けだけでなく、おでんや天ぷらなどの素朴な味わいのお料理とも相性バツグンです!

天領酒造ホームページはコチラ 

奥深い日本酒の世界を、もっと楽しんでみて

  • 透明な酒器に入った日本酒

日本酒の種類はたくさんあり、少々難解に感じるかもしれませんが、すべての種類を完璧に覚える必要はありません。まずは試しに飲んでみて「美味しい!」と感じたお酒の種類や名前を押さえておくと、好みの傾向が分かり、好きな味の日本酒に出会いやすくなっていきます。ぜひ気軽に日本酒の世界を楽しんでみてくださいね。

関連記事