【酒米の田植え】「地元の農業を盛り上げたい!」農家インフルエンサーと地元の酒蔵との取り組みに密着!
酒米の田植えの現場に行ってきました!
6月初旬、愛知県阿久比町。農家インフルエンサーとしても活躍する農業者・近藤匠(KT)さんが酒米の田植えをすると聞き、その現場にSAKETOMO編集部がお邪魔しました!
近藤さんは、SNSの総フォロワーが15万人を超える「農家インフルエンサー」。愛知県半田市で稲作を中心に農業を営みながら、「日本の農業界を盛り上げたい!」とTikTokなどSNSで精力的に情報発信を行っています。
今回田植えをしたのは、酒米「山田錦」と「夢吟香」です。近藤さんは酒米栽培をコロナ前は数年やっていたそうですがコロナ禍で需要が減り一度やめていました。ですが、2022年から再チャレンジ。「夢吟香」には今年初めて挑戦するそうです。半田市と阿久比町にある5ヘクタール(5万平方メートル)の田んぼで2種類の酒米を作ります。
酒米とは
酒米とは、日本酒の原料になるお米で「酒造好適米」といいます。兵庫県などで採れる「山田錦」や新潟県などで採れる「五百万石」などが有名で、愛知県にも「夢山水」「夢吟香」「若水」などの酒米があります。
酒米は、ご飯としていただく通常のお米よりも稲穂の背丈が高く、台風などで倒れやすいリスクがあり、栽培には技術が必要なのだとか。
近藤さん「品質が高いお米を作ることを心がけてます。タンパクのところはすごく気を遣いますし、選別もしっかりして、収穫し終わった後の乾燥調整のところもしっかりやる、ところがすごく気を付けるポイントです」
この日は近藤さんと同じ半田市の酒蔵、「敷嶋」伊東株式会社の伊東優社長と蔵人さんたちも田植えの手伝いに訪れていました。近藤さんが育てた山田錦と夢吟香を次年度の酒造りで使用するのです。
伊東さん「(伊東は復活した蔵ですが)昔から地元・半田市で作られたお米を使っていたはずなんですよ。昔ながらの酒の味が出せるのではと期待しています。」
「敷嶋」伊東株式会社の復活の道のりについてはこちらから
そして、近藤さんが田植え機に乗り込み、田植えがスタート!
水が張られた広い田んぼを田植え機が往復していくと、苗がきれいに並んで植えられていきます。近藤さんが操るこの田植え機は1列に8株の苗を植えられるそう。田んぼを往復しながら、約30分かけて1枚分の田植えが完成!機械で植えられない田んぼの隅などは、人の手で1株ずつ植えていきます。
SAKETOMO編集部も体験させてもらいましたが、ズブズブと足が埋まり思うように動けずまったくお役に立てませんでした(笑) そんな中、田んぼの反対側を見ると、伊東の蔵人さんがもうすっかり慣れた感じでヒョイヒョイと植え進めていらっしゃいました。
作業の合間には、近藤さんら農家の皆さんと伊東さんら酒蔵の方が、米作りや酒造りについてそれぞれ質問しながら、お互いの理解を深める場面も見られました。
地元の農家×酒蔵のプロジェクトが始動!
伊東さんが4月に開催した蔵開きイベント「亀崎酒蔵祭」の際に、一つのプロジェクトが発表されました。近藤さんの作る酒米を利用して、山忠本家酒造(義侠)、丸石醸造(二兎)、伊東(敷嶋)の3酒蔵が同じ精米歩合で日本酒を醸造・販売するというものです。昨今、米農家は値上げラッシュや後継者問題などで苦境にたたされています。酒造りには欠かせないお米。そんな農家にいまいちどスポットをあてて盛り上げたい、と企画されました。
伊東さん「義侠の山田さんの発信で、農家にフォーカスをあてることを第一に考えた企画です。こんな素敵な農家が半田にいる、こんな素敵なことをやっている、ということをまずは知ってもらうことで、次世代の担い手を育てていきたいと思っています。お米農家さんがいなかったら、我々酒蔵はお酒を造ることができないので、そこを飲み手の人たちにもいまいちど知ってほしいです。我々自身もそれを再認識することでもっといいお酒を造ることができると思っています。」
近藤さん「地元の米と、地元の酒蔵がコラボレーションすることで、新しい可能性を見出したいです。農業をやりたい、という人を少しでも勇気づけるような、農業界を盛り上げられるような発信をしていきたいと思います。」
この日すっかり泥だらけになったSAKETOMO編集部でしたが、「この苗が秋になると稲穂となり、伊東さんたちの手で美味しい日本酒になる」と想像しただけでワクワクが止まりません。
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