日本酒の種類が知りたい!純米酒、吟醸酒ってどういうこと?わかりやすく解説します!

みなさんは「日本酒」と聞くとどのようなイメージが浮かびますか?おじさんの飲み物?悪酔いする?・・・そんなことはありません!日本酒はバリエーションが豊かで、様々な飲み方があるステキな飲み物なんですよ。

とは言え、初心者には「どんな種類があるのか」、「どういう日本酒を選んだらよいか」など、なかなかとっつきにくいですよね。この記事では国際唎酒師の資格を持つ筆者が、日本酒のラベルに書かれた情報を読み解きながら、日本酒の『種類』をわかりやすく解説していきます! これを理解することで、酒屋さんや飲食店さんで相談しやすくなりますし、より早く自分好みのお酒を見つけられるかも? 日本酒の種類というと、味わいや造り方等、分類の観点はいろいろありますが、今回はその中でもポピュラーな「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」について解説します!

日本酒の種類「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」について

「最初からこんなに難しい言葉、よくわからない・・・!」と思ったあなた。大丈夫です!
この言葉は聞いたことが無くても、その種類を表す言葉は見聞きしたことあるはず。日本酒の表ラベルや飲食店メニュー等で見かける「純米吟醸」や「大吟醸」、「本醸造」などをまとめて「特定名称酒」と呼んでいるんです。これは法律(酒税法)で定められた日本酒の原料や製法による分類方法のこと。この分類パターンがわかると、日本酒の種類の基本が理解しやすくなります。

  • 日本酒のラベルの解説イラスト

特定名称酒の分類は2つの条件で大別されています。1つ目が米と水、麹だけで作られたお酒かどうか(純米酒かどうか/醸造アルコールの添加有無)、2つ目が原料である米を削って残った割合(精米歩合)。この2つを軸として整理すると、下図のように6種類に分類できるんです。イメージで見るとわかりやすいですね!

  • 日本酒の精米歩合の解説イラスト

①米と水、麹だけで作られたお酒かどうか(純米酒かどうか/醸造アルコールの添加有無)

1つ目のポイントは「純米酒かどうか」、すなわち「醸造アルコールの添加有無」で判断します。
日本酒は米と水、麹を作って醸造しますが、他の材料を使わず純粋に米と水、麹だけて作ったお酒は文字通り「純米酒」と呼ばれます。反対に、醸造アルコールを添加した場合はいわゆる“アル添”(アルコール添加の意味)と呼ばれ、名称が変わるルールになっています。

「せっかくの純米酒になぜ醸造アルコールを入れるのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。醸造アルコールを添加することで香りや味わいに変化を与えるだけでなく、保存に適した状態にしてくれる、というメリットがあるんです。味わいのバリエーションを増やしながら、長く楽しめるようにしてくれる先人たちの知恵でもありますね!
一方で、体質的に醸造酒が合わない、という方もいるでしょう。そういう方は、純米酒を選ぶことでこれまで苦手意識のあった日本酒が楽しめるようになるかもしれません。(筆者の上司もこのタイプでした!)

②原料である米を削った割合(精米歩合)

2つ目のポイントは「精米歩合(せいまいぶあい)」。これは日本酒を造る原料である米を、どのくらい削ったか、その残っている割合を示しています。つまり玄米の状態に対する残った重量、ということ。(削った割合ではないので注意!)

  • 精米歩合60%とはの解説イラスト

例えば精米歩合が60%の場合、残っている白米が60%(酒造りに使わない削った部分が40%)ということになります。たくさん米を削る(磨く)ということは、その分 酒造りに使える部分が減るということ。純米大吟醸や大吟醸の値段が、純米や本醸造よりも高価格になる理由は原材料である米も影響している、ということがわかりますね。

なぜ米を削るかというと、米の表面にタンパク質や脂質等、日本酒の雑味につながる成分が多くあるので、それらを取り除くためです。米の真ん中に近い部分だけを使うほど、雑味が減って香りが良く整った味わいのお酒になると言われています。
「じゃあ米をたくさん削ったほうがいいの?」というと、それも違います。あえて精米をあまりせず、この雑味を味わいとして生かす酒造りをするスタイルもあるので、違いを試してみるといいかもしれないですね。

特定名称酒を理解して、自分好みの味わいを探してみよう!

「醸造アルコールの添加有無」「精米歩合」の2つのポイントを押さえておけば、日本酒の種類を簡単に理解できます!
まとめるとこちらの表のようになります。

特定名称酒醸造アルコール添加有無精米歩合
純米大吟醸(じゅんまいだいぎんじょう) × 50%以下
純米吟醸(じゅんまいぎんじょう) × 60%以下
純米酒(じゅんまいしゅ) × 規定なし
大吟醸(だいぎんじょう) 50%以下
吟醸(ぎんじょう) 60%以下
本醸造(ほんじょうぞう) 70%以下

精米歩合が50%の場合、純粋に米と水、麹だけで作られた日本酒は「純米吟醸」、醸造アルコールが添加されていれば“純米”だけの造りではないので「吟醸」と名前が変わるだけ。酒蔵さんによっては、意図的に独自の名称で「特別純米」などと名称を変えている場合もありますが、基本はこちらの2つのポイントによって6種類のどのあたりかな?と考えるとわかりやすいでしょう。

同じ銘柄の日本酒なのに「ん?前に飲んだ時とちょっと味が違うかも・・・?」と思う時は、この特定名称酒の違いが影響していたかもしれません。銘柄と特定名称酒を組み合わせて覚えておくと、自分好みの味わいや傾向に気づきやすくなるので、酒屋さんや居酒屋さんで好みのお酒を探しやすくなりますよ。

その他にも、米(酒米)や作り方、味わいの特徴等、日本酒の種類はさらに細分化していくことも出来ますが、それは次回のお楽しみに。

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