年に1度しか味わえない「生のどぶろく」を堪能! 「半田運河 どぶろくまつり」で日本酒の発展の道のりを再発見!【参加レポート】
できたばかりの“生のどぶろく”を味わえる「半田運河 どぶろくまつり 2025」が、2025年12月13日(土)・14日(日)の2日間にわたり、愛知県半田市にある「國盛 酒の文化館」・「半六庭園」一帯にて開催。年に一度しか飲めない貴重なお酒を味わおうと、大勢の来場者で賑わっていました。
この記事では、日本酒好きが集まった「半田運河 どぶろくまつり 2025」の模様と、実際に“生のどぶろく”と様々な日本酒を飲み比べてみたからこそ分かった日本酒の楽しさをレポートします。
年に1度しか飲めない“生のどぶろく”を楽しめる「半田運河 どぶろくまつり」
「半田運河 どぶろくまつり」は、「國盛」等で知られる中埜酒造株式会社(愛知県半田市)と特定非営利活動法人半田市観光協会が共同で開催する毎年恒例の日本酒イベント。会場となった「國盛 酒の文化館」と隣接する「半六庭園」には、多くの日本酒ファンが足を運んでいました。
「半田運河 どぶろくまつり」の目玉となっているのが、中埜酒造が醸したできたての“生のどぶろく”です。
-
会場でしか飲めない“生のどぶろく”
会場で楽しめる“生のどぶろく”は、中埜酒造が一般発売する「純米造り どぶろく」を火入れする前のもの。2025年の新米からできたばかりの “生のどぶろく”が飲めるのは、年に1度の「どぶろくまつり」だけということもあり、これを目当てに毎年日本酒ファンたちが半田へと足を運んでいます。
初めて2日間開催となった今回の「半田運河 どぶろくまつり」では、“生どぶろく”が500杯限定で用意されました。会場でしか飲めない蔵元ならではの味を楽しめるとあって、事前予約の時点で完売となってしまうほどの人気ぶりでした。
どぶろくを“生”と“火入れ”で飲み比べ!
筆者も会場へと足を運び、“生のどぶろく”を体験! 火入れした「純米造り どぶろく」も会場で有料試飲することができたので、味を比較してみました。
“生のどぶろく”は、愛知県産の酒米・若水を65%精米したものを使用。口当たりは甘めで、シュワッとはじける微発泡感が何ともいえない心地よさです。飲み進めていくと米ならではの旨味とほどよいアルコール感が口の中に広がり、溶け残った酒米のつぶつぶ感も官能的。どぶろくというと重たい印象がありましたが、後残りすることなくすっと消えていき、次の一口をすぐに飲みたくなるようなおいしさでした。
続いて、火入れした「純米造り どぶろく」をいただいてみると、味わいの差にびっくり! 口当たりの甘さが少し抑えられており、より日本酒らしい味わいになっていました。火入れすることにより発泡感はなくなっていますが、その分とろっとした舌触りと味わいを楽しめるのが魅力。味の余韻が長く続き、ストーブの前でゆったりと楽しみたくなるような味わいになっていました。
何より一番驚いたのが、同じ造りの“どぶろく”にも関わらず、火入れする前後で大きく味が変化していたこと。来場していた日本酒ファンの方にも話を聞いてみたところ、火入れ前後での味の差を感じながら「生の方がしゅわっとした泡感があり好き」「自分は火入れした方が飲みやすい」とそれぞれに好みを見つけていらっしゃいました。
どぶろくと日本酒&甘酒も飲み比べ!
火入れの前後でここまで味が違うのなら、 どぶろく≒もろみを搾ることで造られる「日本酒」の味わいも気になるところです。そこで今度は、中埜酒造をはじめとした知多の酒蔵7蔵のお酒が有料試飲できる「with Chita-Shu 有料試飲コーナー」へと場所を移し、日本酒との味わいの違いを確かめてみました。
今回は、中埜酒造が醸した「國盛 にごり酒」「上撰國盛 半田郷 純米 辛口」「特撰國盛 純米吟醸 半田郷 酵母1801」の3種類の日本酒と「國盛 酒蔵のあまざけ」の合計4杯をセレクトしました。
最初にいただいたのは「國盛 にごり酒」。白く濁ってはいますが、どぶろくとは異なりもろみを搾った日本酒です。口当たりは甘味があってまろやか。ふわっとふくらみのある味わいを感じたかと思うと、次の瞬間にはすっと消えていきます。
どぶろくと飲み比べてみて感じたのが、にごり酒はより“日本酒らしく”なっていること。米ならではの味わいはあるものの、どぶろくとは違って米粒感やとろみがなく、しっかりと澄んだ酒の味わいになっていたのが印象的でした。どぶろくとにごり酒は味わいが近いイメージがありましたが、実際に飲み比べてみると、搾りの工程を経ることによる差が思った以上に大きいことを感じました。
続けて「上撰國盛 半田郷 純米 辛口」をいただくと、味わいの透明感がさらにアップ。どぶろくと同じく若水が麹米に使われていることもあって基本的な味わいは近しいものがありながら、よりすっきりとしていて、するっと飲めてしまいました。日本酒らしさあふれるクリアな味わいです。
「特撰國盛 純米吟醸 半田郷 酵母1801」は、いっそう研ぎ澄まされた味わい。同じ若水を使いながらも、55%まで精米することにより、より雑味が少ない純度の高いおいしさが演出されていました。ほどよい吟醸香も心地よいお酒でした。
どぶろく、にごり酒、純米酒、純米吟醸酒と4種類のお酒を飲み比べて感じたのが、味わいの透明感の違い。スープに例えるなら、どぶろくはしっかりと具材が溶け込んだポタージュやシチュー、にごり酒は素材から出た旨味をしっかりと堪能できる白湯スープ、そして純米酒や純米吟醸酒は手間暇かけて味わいの芯の部分を磨き抜いたコンソメスープのよう。それぞれにおいしさはありますが、どぶろくからにごり酒、そして清酒へと進むにつれてより純度の高い味わいになっていたのが大変印象的でした。
また、「國盛 酒蔵のあまざけ」も試飲。どぶろくや日本酒をいただいた後で飲んだ甘酒は、普段飲んでいる以上に甘さを感じてびっくりしました。米と米麹によってこれだけしっかりとした糖分が生まれるからこそ、醸造酒としては非常に高いアルコール度数を誇る日本酒ができることを改めて舌で感じ取ることができたと思います。
「半田運河 どぶろくまつり」を味わい尽くして、日本酒の発展の道のりと魅力を再発見
「半田運河 どぶろくまつり」には初めて訪問しましたが、どぶろくや様々な日本酒を心ゆくまで堪能し、日本酒の新たな側面を見つけることができました。特に強く感じたのが「日本酒の発展の道のり」。より透明で純度の高い味わいを求め、どぶろくからにごり酒、そして清酒へと発展させてきた先人たちの努力の道筋を改めて感じました。
「半田運河 どぶろくまつり」では、他にも知多半島7蔵の日本酒が勢揃い。新酒のシーズンを迎え、各蔵から『初しぼり』が集まる中、知多の新酒を堪能することができました。
また、イベントの開催にあわせ、会場となった「国盛 酒の文化館」も一般開放を実施。中埜酒造が培ってきた酒造りの歴史はもちろん、「婚礼祝いの角樽は『一生仲良く添いとげられますように』の想いを込めて、一升の日本酒を入れる」「商売ごとのお祝いには二升五合の日本酒で『益々繁盛』を願う」といった日本酒にまつわる風習も道具立てとともに楽しく学ぶことができました。
-
國盛 酒の文化館
「國盛 酒の文化館」は通常は事前予約が必要となりますが、一人からでも見学OKとのこと。日本酒の試飲や購入もできますので、日本酒好きの方はぜひ一度足を運んでみてください。
國盛 酒の文化館
https://www.nakanoshuzou.jp/museum/
2日間開催となり、ますますパワーアップした「半田運河どぶろくまつり」。日本酒の新たな側面を発見できる大変楽しいイベントでした。
関連記事


