飛騨高山は最高の日本酒旅スポット! 名古屋から日帰りで楽しめる「飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」参加レポート
風情溢れる高山の「古い町並」エリアを散策しながら酒蔵巡り&飲み歩きを楽しめる「飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」が5月30日よりスタート。日本酒どころ・高山で個性溢れる日本酒満喫できる、日本酒好きにはたまらないイベントです。
今回は、「飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」の初日の様子を遠征取材。現地を訪問して分かった飛騨高山の日本酒の魅力と、高山での飲み歩きを一層楽しむポイントを徹底レポートします。
まずは「御酒印帳セット」をゲット!
名古屋から朝一番7時43分発の「特急ひだ」に乗車すると10時過ぎに高山駅へ到着。高山駅の改札正面では大きなタペストリーが出迎えてくれました。
「飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」に参加するために必要となるのが「飛騨高山御酒印帳セット」(税込3,000円、限定2,000セット)。今回は古い町並エリアのすぐ近くにある「中橋観光案内所」にて購入しました。
「中橋観光案内所」は高山駅から徒歩で15分程度。高山の街並みを楽しみながらお散歩すればあっと言う間に到着です。
「飛騨高山御酒印帳セット」を購入すると、「飛騨高山御酒印帳」とエコバック、おちょこの3点がもらえます。
エコバックはたっぷりお土産が入りそうなビックサイズ。肩からかけられるので酒蔵巡りの間でも楽々持ち運びできます。
また、セットにつくおちょこも5勺相当の大きめサイズ。こちらは参加記念品という位置づけで、各酒蔵ではカップでお酒をいただく形となっていました。
酒蔵巡りの際には「飛騨高山御酒印帳」を各蔵の受付で提示。受付で専用スタンプを押してもらうと、各蔵自慢の日本酒を2種類試飲することができます。蔵のマークが入った特製スタンプもビッグサイズです。
なお、「飛騨高山御酒印帳セット」は、古い町並エリアのすぐ近くにある「中橋観光案内所」の他、参加する6つの酒蔵やJR高山駅すぐの場所にある「高山濃飛バスセンター」でも購入することができます。
飛騨高山の「古い町並み」で酒蔵巡り!
「飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」には高山観光地としても有名な「古い町並」界隈にある6つの酒蔵が参加。平日の午前中にもかかわらず、高山観光を楽しむ大勢の観光客で大変賑わっていました。
今回は「御酒印帳」の順番に従って酒蔵巡り。まずは「平瀬酒造店」を目指します。
平瀬酒造店「久寿玉」
中橋観光案内所を出発し、徒歩6分程度で到着したのが「久寿玉」の銘柄で知られる「平瀬酒造店」。約400年の歴史を持つ高山で最も老舗の酒蔵です。
現在の建物は大正年間に建てられたものとのこと。大きな土間に設けられた試飲スペースで日本酒を楽しむことができます。試飲スペースは直売所も兼ねており、蔵で造られた日本酒がズラリと並んでいました。
平瀬酒造店「久寿玉」2種類を試飲
久寿玉 創業400年記念酒(純米大吟醸生貯蔵酒)
大吟醸らしい華やかさがありつつも、派手すぎることがない日本酒。お米由来の甘味を感じさせながらも、透明感があって後口がすーっと静かに消えていく上品な美味しさを楽しめました。軽めの口当たりの白ワインにも通じる味わいです。
久寿玉 手造り純米(特別純米酒)
ほんのり色がついたお酒は、グッと力強さを感じる辛口の味わい。とはいえ、決して強すぎることはなく、嫌みがない美味しさとなっています。味噌や醤油を使った味の濃いおつまみがよく合いそうな雰囲気。個人的には、高山のみたらしだんごと合わせてみたくなりました。
「平瀬酒造店」のここにも注目
平瀬酒造店では「飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」の期間中以外も有料試飲を実施。500円で最大26種類の日本酒を試飲することができます(1種類につき1杯のみ、30分まで)。
二木酒造「玉の井」
平瀬酒造店を出発し、古い町並の風情を楽しみながら3分ほど歩くと到着するのが2軒目の酒蔵「二木酒造」。300年以上続く伝統の技を受け継ぎながら、「吟醸造り」のみで酒を醸す飛騨高山で唯一の吟醸蔵です。
「二木酒造」でも通常営業時の有料試飲を行っており、蔵の中には専用の試飲スペースを設置。酒蔵の歴史を感じながら日本酒を頂くことができます。
二木酒造「玉乃井」「氷室」を試飲
「玉乃井 吟醸 上撰」(吟醸酒)
すっきりしていてほのかな吟醸香が心地よい、穏やかですっと飲むことができる日本酒。後口にほんのわずかに残る余韻がたまりません。飲み進めていくと米の旨味も感じられます。淡麗という言葉がぴったりと当てはまる、絶妙なバランスの日本酒でした。
「氷室 大吟醸 生酒」(大吟醸酒、生酒)
まさに「澄んだ酒」という言葉がぴったりな日本酒。「玉乃井 吟醸 上撰」よりもしっかりとした辛口の味わいで、シュッとした切れ口は日本酒好きならきっと気に入る美味しさとなっています。日本海の荒海に揉まれた魚介類の刺身と合わせてみたくなりました。
「二木酒造」のここにも注目
二木酒造でも通常営業時の有料試飲を行っており、蔵の中には専用の試飲スペースを設置。酒蔵の歴史を感じながら日本酒を頂くことができます。銘柄ごとに1杯100円から試飲可能です。
平田酒造場「飛騨の華」
二木酒造を出るとすぐ隣に見えるのが明治28年から酒造りを行っている「平田酒造場」。現在は伊勢から杜氏を迎え、飛騨と伊勢の地元米と清流宮川の地下水で日本酒造りを行っています。
「飛騨高山のん兵衛まつり」開催初日の5月30日は新店舗の開店準備のため臨時休業。その代わりとして、中橋観光案内所で試飲が行われていました。
平田酒造場「飛騨の華」「夏生純米吟醸」を試飲
「飛騨の華白 純米吟醸」(純米吟醸酒)
純米吟醸酒ながらどっしりとした重厚感のある味わいの日本酒。香りは穏やかで、吟醸香が苦手な人でも楽しめるお酒となっています。心地よい余韻もあり、ロックでも飲んでみたくなる味わいでした。
「夏生純米吟醸 花火瓶」(純米吟醸酒、無濾過生原酒)
花火という言葉がよく似合う華やかさを感じる日本酒。甘さを感じつつも切れがよく、飲みやすいお酒でした。単体でも美味しく頂ける味わい。夏のシーズンに宮川のほとりで川のせせらぎをおつまみに飲んだら、最高の旅情を感じられそうです。
「平田酒造場」のここにも注目
平田酒造場の新店舗は6月1日から営業がスタート。店頭販売はもちろん、試飲向けのコインサーバーも新たに導入するなど、従来からパワーアップして行われるとのことでした。
老田酒造店「鬼ころし」
平田酒造店から歩いて2~3分、上三之町にあるのが「老田(おいた)酒造店」。“鬼が殺せるくらい辛口”である「鬼ころし」が代表銘柄で、全国にある「鬼ころし」の元祖の酒蔵とも言われています。
「古い町並」の中心エリアにあることもあり、老田酒造店では観光客向けに蔵内を広く開放。試飲スペースもお祭りのような賑やかな雰囲気となっていました。
老田酒造店「鬼ころし」2種類を試飲
「飛騨自慢鬼ころし しぼりたて 無濾過生原酒」(無濾過生原酒)
濃厚で旨味たっぷりの日本酒。辛口ながら甘味もきちんと感じられ、日本酒の美味しさをギュッと凝縮したような味わいになっていました。冬の寒い時期に、朴葉味噌などのしっかりとしたおつまみと合わせて一杯頂けば最高の体験ができそうです。
「飛騨自慢鬼ころし 怒髪衝天」(純米原酒)
「これぞ辛口」という言葉が思わず口から飛び出す、キリリっとしまった味わい。酒精感あふれるドライな飲み口と後ろから追いかけてくる旨味、そしてしっかりとした余韻を楽しめる日本酒らしさ満点のお酒です。飛騨牛の脂をぶつけてみたくなる味わいでした。
「老田酒造店」のここにも注目
老田酒造店では、試飲・販売スペース以外にも蔵の中に様々なショップやカフェが入居。歴史ある建物の中を巡りながら、お土産を選んだり、カフェで一服したりすることもできます。
舩坂酒造店「深山菊」
老田酒造店から古い町並を抜け、5分ほどの場所にあるのが「深山菊(みやまぎく)」の銘柄で知られる「舩坂酒造店」。200年以上の伝統を受け継ぐ酒蔵です。
舩坂酒造店は「日本酒のテーマパーク」を掲げ、蔵内の広いエリアを一般に開放。訪問した際も多くの観光客で大賑わいとなっていました。
船坂酒造店「深山菊」「四ツ星」を試飲
「純米吟醸 深山菊」(純米吟醸酒)
さらっとした甘さとふわっとした香りが特徴的な日本酒。上品な味わいながらも、日本酒らしさもしっかりと感じられます。余韻は長引くことなくすーっと静かに消えていき、後味の心地よさが見事。辛口の白ワインにも通じるような味わいでした。
「大吟醸 四ツ星」(大吟醸酒)
すっきりとした辛口で、清水のようにすっと流れていく味わい。吟醸香は控えめで、飲み進めると甘味も感じられます。「磨き抜かれた味」という言葉がぴったり当てはまる、純度の高い美味しさ。後口もさーっと消えていくため、すぐに次の一口を飲みたくなりました。
「船坂酒造店」のここにも注目
「日本酒のテーマパーク」を掲げ、高山ではいち早くコインサーバーを設置するなど観光客の受け入れに取り組んできた舩坂酒造店。特に「のんべぇー横丁」と名付けられた試飲スペースはセルフスタイルで様々な日本酒を楽しめると、国内外の観光客で大変賑わっていました。
原田酒造場「山車」
舩坂酒造店を出ると正面にあるのが「原田酒造場」。芳醇辛口の日本酒で地元高山の人たちから愛され続けている酒蔵です。
他の酒蔵と同様、原田酒造場も酒蔵内部を広く開放。特に入口を入ってすぐ右手には、昔ながらの形のまま残された帳場もあり、まるで時代劇のような雰囲気も感じられます。
原田酒造場「山車」2種類を試飲
「氷温貯蔵 無濾過生貯蔵酒 氷神」(無濾過生貯蔵酒)
“ドライ”という言葉がよく似合う日本酒。それでいて、舌の上で転がしていくと米の旨味や甘味もしっかりと感じられます。爽やかな味わいの中にも日本酒らしさがしっかりあるお酒でした。
「山車 夏吟醸 蔵出し一番」(吟醸酒)
花酵母を用いて仕込まれた日本酒は蜜感を思わせる甘味があり、口当たりの良さが特徴。飲み進めると酒精感がたなびき、余韻もしっかり感じられます。「夏吟醸」の名のとおり、夏の暑い時期に飲むと元気をもらえそうな印象でした。
「原田酒造場」のここにも注目
原田酒造場では試飲スペース以外にも蔵内の一部を自由に見学可能。大きなタンクがズラリとならんだ景色は圧巻の一言です。
徒歩で酒蔵巡りができる高山は最高の日本酒旅スポット!
「飛騨高山・のん兵衛まつり」に参加する6つの酒蔵を巡るのに要した時間はおよそ4時間。途中で昼食休憩を入れていますので、実質3時間程度で全ての酒蔵を訪問することができました。
全6蔵をコンプリートして頂いた酒蔵達成記念プレゼントは、飛騨のお漬物。これもまた日本酒がはかどりそうです。
実際に訪問してみて感じたことは、なんといっても「酒蔵同士が非常に近い」ということ。離れているところでも徒歩数分程度の距離に次の酒蔵があるので、自分のペースで楽しく巡ることができます。
また、「飛騨高山・のん兵衛まつり」以外の時期でも全ての酒蔵で試飲が楽しめるのも日本酒好きにはたまらないポイントの一つ。これだけ近いエリアに酒蔵が集まり、さらに日本酒の飲み歩きまで楽しめるのは、他の地域ではない高山ならではの魅力です。
もう一つ印象的だったのが、平日にも関わらず多くの方が「飛騨高山・のん兵衛まつり」に参加されていたこと。酒蔵巡りの間にも特製エコバッグを肩からかけた方々がいっぱい!今回の取材で出会った参加者の中にはなんと博多からやってきたという方もいらっしゃいました。観光客ばかりでなく、地元高山の皆さんにも「のん兵衛まつり」の開催を心待ちにしていた方が多く、「仕事が休みの時に2~3軒ずつゆっくり回ります」との地元ならではの楽しみ方をうれしそうに話す声も聞かれました。
6軒の酒蔵をぐるりと巡り、さらに古い町並の散策やお土産選びなどを心ゆくまで満喫。飛騨高山の日本酒と風情溢れる町並を1日まるっと楽しんだ思い出を胸に、名古屋へ最終の特急となる18時48分発特急ひだで帰路につきました。
名古屋からなら日帰りでも十分楽しめる「飛騨高山・のん兵衛まつり」。旅気分と日本酒の楽しさを同時に楽しめる素敵なイベントは6月30日まで開催中です。
「飛騨高山・のん兵衛まつり」と一緒に回りたい飛騨高山のおすすめ日本酒スポット2選
手打ち蕎麦 みやび庵
「手打ち蕎麦 みやび庵」は地元の人にも人気のそば店。しっかりとコシのある飛騨伝統の十割蕎麦や飛騨牛の丼、天ぷらなど美味しい飛騨グルメが楽しめます。
そんな「みやび庵」で日本酒好きなら思わず頼みたくなるのが「飛騨全12蔵 地酒のみくらべ」。「飛騨高山 のん兵衛まつり」に参加する6蔵を含む、飛騨地域で酒造りを行う全12蔵のお酒を1杯ずつ飲み比べできるとのことです。
思わず全蔵コンプリートしたくなりますが、1杯50mlとそこそこの量があるので飲みすぎにはくれぐれもご注意ください。
Sakedokoro Tamotsu(酒処 保)
「Sakedokoro Tamotsu」は2024年3月に本格オープンしたばかりのスタンドバー。気さくなマスターとの会話を楽しみながら日本酒やカクテルなど美味しいお酒をいただくことができます。
中でも注目なのが地元・高山の日本酒を使った「Sake Caipirinha with Meyer Lemon」。ベースに舩坂酒造店の深山菊を用い、晩柑や柚子、ビターズ、トニックなどで仕上げたマスターオリジナルのカクテルです。
柑橘がしっかり効いた「Sake Caipirinha」は甘酸っぱさとほろ苦さが同居した味わい。ストローで飲むとさわやかで飲みやすく、グラスに口をつけて頂くとビターズの苦味がしっかりと感じられるのも面白さ満点です。新感覚の日本酒カクテル、高山の新しい味わいが楽しめます。
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