あんこは日本酒に合う!? 「日本酒とあんこの会」に行ってみたら驚きの連続だった!
日本酒とあんこをペアリング!? 謎多き「日本酒とあんこの会」に潜入!
日本酒に合わせるおつまみといえば、魚や肉を使った料理や乾き物などが定番。しかし、和食に限らず、イタリアンやフレンチ、中華、さらにはエスニック系のものまで幅広く合わせることができるのが日本酒の魅力の一つです。
そんな懐の深い日本酒なら「あんこ」とも相性がいいはず! と考えたのが、「認定あんこ女子あんバサダー」である高野仁美さん。「小倉トースト普及委員会」の委員長を務め、「愛する小倉トーストの日」の制定にも尽力するほどの無類のあんこ好きである高野さんの呼びかけにより、2023年11月に「日本酒とあんこの会」が開催されました。
今回の「日本酒とあんこの会」の会場となったのは、名古屋・大曽根商店街内にある高野さんのお店「喫茶はじまり」。会場のすぐ近くで酒造りを行っている金虎酒造株式会社の日本酒とあんこマニアの高野さんが作る「あんこのフルコース」でのペアリングが行われました。
「甘党・辛党」という言葉にも現れている通り、あんこと日本酒を合わせるというのはどちらかといえばこれまで避けられてきた組み合わせ。そもそも本当に合わせることができるのか、疑問はつきません。
そこで今回は、名古屋で活動する「もぐもぐYoutuber」のずいみーさんにも協力いただき「日本酒とあんこの会」に参加して日本酒とあんこのペアリングを実食検証しました。
名古屋城に最も近い酒蔵・金虎酒造で醸される様々なタイプと日本酒と、高野さん渾身の「あんこのフルコース」によって行われたペアリング。驚きの連続だった検証結果を、ずいみーさんの感想を交えながらレポートします。
「生ハムあんこチーズ」×大吟醸 虎変 山田錦
トップバッターとして提供したのはあんことクリームチーズを生ハムで包んだ「生ハムあんこチーズ」。最初からパンチの効いたメニューが登場したと思いきや、実はあんバサダーに認定も行っている「日本あんこ協会」の公式レシピの一つだそうです。
これに合わせる金虎酒造の日本酒は「大吟醸 虎変 山田錦」。華やかで品格のある香りと、柔らかな甘味&控え目な酸味で透明感がありながらもスッキリとしたキレのある味わいが特徴の「大吟醸 虎変」は金虎酒造の日本酒の中でもあんことの相性が良く、水野社長によるときんつばや豆大福と言った和菓子ともペアリングしてきた実績があるとのことでした。
ずいみーさん: 「生ハム×フルーツ」はよくありますが、「生ハム×あんこ」の発想は新鮮で初めての感覚でした。生ハムの塩気とあんこの優しい甘み、クリームチーズのまろやかさは絶妙なバランスを保っており一切ケンカしません。甘じょっぱいものが大好きな私にとっては革命的な組み合わせでした。大吟醸のすっきりとしながらも包容力のあるまろみが見事に溶け合います。
小豆かぼちゃサラダ×本醸造 無濾過生原酒 「大曽根ばやし」
2品目に登場したのは「小豆かぼちゃサラダ」。ポテトサラダと日本酒の相性がいいことから、「いとこ煮」に着想を得て考案したあんこ女子・高野さんオリジナルのメニューです。
塩味とコクのある味わいの「小豆かぼちゃサラダ」に合わせるのは、金虎酒造が大曽根界隈限定で提供している本醸造の無濾過生原酒「大曽根ばやし」。パンチがあり、米の旨味もしっかりと感じられる力強い日本酒でペアリングを行います。
ずいみーさん: みずみずしく滑らかなかぼちゃに混ぜ込まれている小豆は、歯応えがしっかりと残っており、よいアクセントになっていました。細かくスライスされた玉ねぎの旨みがかぼちゃの甘み・塩気・コクとよく合います。喉がカッと熱くなるような、「大曽根ばやし」のパンチがありキレのよい味わいに負けないのが、まさにこのかぼちゃサラダ。ほどよい塩気との相性が抜群でした。
つぶあんぜんざい×特別純米 虎変 秋上がり 夢吟香
「スープ枠です」と3番目に提供されたのは、なんと「ぜんざい」。お餅や白玉の代わりにクルトンが入ったつぶあんのぜんざいを日本酒とどのように合わせるかと思っていたら、高野さんからまさかの「日本酒を入れて飲んでみて下さい」という提案が飛び出します。
ぜんざいに入れる日本酒として用意されたのは「特別純米 虎変 秋上がり 夢吟香」。地元愛知県で作られた酒米・夢吟香を使い、金虎酒造が理想とする淡麗辛口に仕上げた日本酒です。また、日本酒による違いを確かめるため、「大曽根ばやし」でも試してみてほしいとの話がありました。
とはいえ、ぜんざいに日本酒を注ぐというのはもちろん初めての体験。果たしてどのような味わいとなるのか、恐る恐る試します。
ずいみーさん: 衝撃が一際大きかったのがこの組み合わせでした。普段はホッとするような優しい味わいのぜんざいに辛口の日本酒が合わさることで、不思議とフルーティーな甘さやコクが生まれたように感じます。一段と深みを帯びた風味は病みつきになる魅力があり、今後ぜんざいを食べるときは日本酒が欠かせなくなりそうです。
塩こうじあんのチーズのせ×特別純米 虎変 秋上がり 夢吟香
4品目に提供されたのが「塩こうじあんのチーズのせ」。塩こうじで炊いた甘くないあんこにハチミツとチーズを載せ、仕上げにブラックペッパーをぱらりとまぶしたおつまみ感のある「甘くないあんこメニュー」です。
小豆の「豆」としての良さが分かるメニューに合わせる日本酒は、ぜんざいともペアリングした「特別純米 虎変 秋上がり 夢吟香」。他の日本酒とも比べながらペアリングにチャレンジします。
ずいみーさん: 活かし方が少し難しい印象がある塩こうじあんを最大限に楽しめるおつまみでした。甘くないあんこと強い甘みを持つハチミツにチーズの塩気とミルキーさが加わり、スパイシーなブラックペッパーで締める。あんこ上級者の成せる技です。つぶあんぜんざいとの組み合わせとはまた違う表情を見せるのが、「虎変秋上がり」。熱燗で合わせることでパンチを効かせながらもまろやかで上品な味わいが楽しめます。
あんこの味噌だれ田楽×燗酒 「金虎 純米」
続いて登場したのは、一見するとあんこが使われていないように見える豆腐田楽、実は焼き豆腐にのっているのが「あんこの味噌だれ」。名古屋の味である豆味噌とつぶあんを合わせ、さらに中華料理の調味料である五香粉で風味を整えたという、独創的なあんこメニューです。
水野社長が「あんこの味噌だれ田楽」とのペアリングに選んだのは燗酒。金虎酒造のレギュラー酒である「金虎 純米」をじっくりと温め、お酒が持つ旨味を引き出します。
ずいみーさん: 「あんこ×味噌」という名古屋が極まったおつまみは、五香粉が持つよい意味でのクセが隠し味になっているインパクト抜群な味わいでした。「あんこは甘味」という固定概念を覆すマイルドな旨味は、燗酒をよく引き立たせます。なんとなく敷居が高く感じて燗酒をあまり飲んだことがなかった私ですが、ふわりと滑り込んでくるような「金虎 純米」の柔らかい風味にとろけました。
あんこのライスコロッケ×燗酒「金虎 純米」
ご飯ものとして提供されたのが「あんこのライスコロッケ」。あんこをご飯で包み、衣をまぶしてあげた「揚げおはぎ」という趣も感じさせるあんこメニューです。
「温かい料理には温かいお酒」という法則に従って、揚げたてアツアツな「あんこのライスコロッケ」の相手に選ばれたのは「あんこの味噌だれ田楽」とも合わせた「金虎 純米」の燗酒。他のお酒とも比較しながらペアリングに挑みます。
ずいみーさん: まさに「揚げおはぎ」のような一品は、あんこのホクホク感をダイレクトに感じられる新感覚のメニューでした。一見するとくどくなりそうな重量感ですが、「金虎 純米」の包容力とキリッとした後口のおかげでぺろりと平らげられるのもよかったです。
小倉トースト×???
締めのデザートとして用意されたのは、「喫茶はじまり」の看板メニューでもある定番名古屋めし「小倉トースト」。今では全国的にもすっかり定番になったあんことバターとパンの組み合わせですが、日本酒と合わせるのはもちろん初めての体験です。
小倉トーストを前に「これは何をペアリングさせるのか相当悩みました」と話す水野社長。「あんこではじまりパンで終わる」という小倉トーストとペアリングさせるには、あんこだけではなくパンにも合う日本酒である必要があると話します。
苦心の末に水野社長がセレクトしたのは「特別純米 虎変 秋上がり 夢吟香」の燗酒。定番あんこ系名古屋めしは本当に日本酒に合うのか……? 最後まで気を抜くことができません(笑)。
ずいみーさん: コーヒー以外と合わせる発想がなかった小倉トースト。しかし、蜜漬けあんこのしっかりとした甘さとバターのしょっぱさが意外なほど燗酒とよく合いました。「喫茶はじまり」さんで使用している小倉トースト用の食パンにもち米粉が多く入っていることも、日本酒そのものに馴染みやすくなっているのかもしれません。
結論! 日本酒とあんこは間違い無く合う!
無類のあんこ好きである高野さんの呼びかけで開催された「日本酒とあんこの会」。「本当に合うのかな?」と半信半疑で参加されていた方もいらっしゃいましたが、バラエティに富んだ美味しいあんこのおつまみと金虎酒造の日本酒とのペアリングはどれも素晴らしいものばかりで、参加者の皆さんが「へー!」と驚きの声を上げながら心から楽しんでいたのがとても印象的でした。
ずいみーさん: 同じ銘柄でも、合わせるおつまみや飲み方によって表情が変わるところが日本酒の面白さだと感じました。今まで日本酒のお供にはお刺身やしょっぱいものしか選んできませんでしたが、甘いもの、しかもあんことの親和性の高さを実感することで、日本酒をより楽しみたくなりました。
今回の中でのお気に入りは「塩こうじあんのチーズのせ×特別純米」。無限ループできそうなクセになる組み合わせでした。塩こうじあんさえあれば自宅でも気軽に楽しめそうなところも魅力です。
日本酒の懐の深さを改めて感じるとともに、「甘呑み」という新しい日本酒の楽しみ方も見つかる素敵な試み。あんこは間違い無く日本酒に合いました!
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