なぜ「磯自慢」は日本一に輝いたのか? 蔵元が語る哲学と、その答えに近づく限定ペアリング【現地レポート】
「日本一うまい市販酒」を決める日本最高峰のコンペティション「SAKE COMPETITION」。実は2025年6月、その舞台となった高輪ゲートウェイシティ(東京都港区)で、数多の銘酒の中から頂点に輝いたのが、静岡が誇る「磯自慢」でした。
先日、その栄誉を祝うイベントで蔵元が語った言葉の中に、その強さの秘密が隠されていました。その蔵元の哲学に迫るとともに、その味わいの神髄に触れることができる特別な企画を詳しくレポートします。
なぜ磯自慢は日本一に輝いたのか? 蔵元親子が語る酒造りの哲学
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磯自慢酒造 代表取締役社長の寺岡陽司さん
今回の受賞を祝うイベントで、磯自慢酒造株式会社 代表取締役社長で8代目蔵元の寺岡陽司(てらおか ようじ)氏は、その歴史を静かに、しかし力強く語りました。
「私どもの蔵は40数年前、まだ吟醸酒という言葉すらない時代から、高品質な酒造りを一歩一歩進めてきました。長年の積み重ねが評価されたのだとすれば、大変光栄です」
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JR東日本、SAKE COMPETITION、磯自慢酒造のそれぞれのロゴが配された升で、振る舞い酒が無料で提供された。
その言葉を裏付けるように、磯自慢の酒は、完熟したメロンのような上品な香りと、水のように透明感のある口当たり、そして飲んだ後にすっと消えていくキレの良さが特徴です。今回の新酒も、その片鱗を存分に感じさせるものでした。
流行を追うのではなく、ひたすらに品質を追求してきたパイオニアとしての自負。その言葉に、磯自慢が持つ凛とした酒質の理由が垣間見えます。その新酒が振る舞われると、駅を通りがかった人々も足を止め、日本一の蔵元が醸す、生まれたての清らかな味わいに酔いしれました。
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磯自慢酒造 専務取締役 寺岡智之さん
その哲学は、次世代にも確かに受け継がれています。囲み取材で、ご子息で専務取締役の寺岡智之(てらおか ともゆき)氏は、若い世代に向けてこう語りました。
「近年、日本酒の味わいは本当に多様化し、若い蔵元もたくさんチャレンジしている。食わず嫌いせず、様々な入り口から気軽に楽しんでほしいですね」
伝統を守りながら、未来を見据える。この揺るぎない姿勢こそが、磯自慢を日本一の座へと導いた原動力なのでしょう。
高輪ゲートウェイシティという特別な舞台
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SAKE COMPETITION2025の会場の様子
磯自慢が日本一に輝いた「SAKE COMPETITION2025」は、JR東日本などが特別協賛に加わったことで、例年以上に特別な大会となりました。
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東日本旅客鉄道株式会社 マーケティング本部 まちづくり部門 品川ユニット ユニットリーダーの河合秀俊さん
東日本旅客鉄道株式会社の河合秀俊(かわい ひでとし)氏は、「この街のコンセプトは『グローバルゲートウェイ』。日本酒に代表される和の食文化を、未来に向けて世界に発信していく拠点です」と、高輪で開催する意義を語ります。
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株式会社はせがわ酒店 代表取締役社長の長谷川浩一さん
また、コンペの実行委員長であり、運営を担う株式会社はせがわ酒店 代表取締役社長の長谷川浩一(はせがわ こういち)氏も、「JR東日本さんと連携することで、東京のど真ん中から日本酒の魅力を広く発信できる。非常に画期的だ」と、その手応えを口にしました。
未来へ日本の文化を発信する場所で、最高の栄誉を得た磯自慢。まさに、その品質と哲学が、時代を代表するものとして認められた瞬間でした。
ここからが本番! 「磯自慢」の神髄を味わう限定ペアリング
11月21日の振る舞い酒に続き、22日から24日にはオリジナルラベル酒の限定販売会も行われ、いずれも大きな賑わいを見せました。これらのイベントは終了しましたが、磯自慢の真髄に触れる本番は、むしろこれからです。
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「はこビュン」(※)を活用して運ばれた「磯自慢」を販売する寺岡智之さんと智美さん夫妻の姿 ※新幹線などの列車を活用した荷物輸送サービス
12月15日まで! 東日本の逸品と奏でるフードペアリング
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今回数量限定発売された「磯自慢」。寺岡社長がデザインしたラベルは、鉄道発祥の地・高輪と、当時の明治らしい雰囲気を重ね、かつて海だった土地の記憶、月へ向かう列車、静岡らしい富士山をあしらった特別仕様です。
会場となった高輪ゲートウェイ駅の「MAISON CLASSIC SALON」では、12月15日(月)までの期間限定で、「磯自慢」2種と、東日本の選りすぐりの食材を使った特別なフードペアリングメニューを提供中です。
提供されるのは、華やかな香りの「磯自慢 純米吟醸」と、オリジナルラベルの「特別純米」。この二つのお酒が、考え抜かれた料理たちと出会うことで、そのポテンシャルを最大限に発揮します。
- 三陸産ホヤの大根添え 青柚子の香り: 磯自慢の持つ透明感のある綺麗な味わいが、ホヤの繊細な海の香りと旨味を優しく包み込みます。
- 蔵王酪農チーズ「KURA」と干し柿: チーズの深いコクと干し柿の自然な甘みが、お酒の持つ米のふくよかな味わいを引き出し、豊かな余韻を生み出します。
- 笹蒲鉾 春菊 なめこ 菊花の和え物: 上品な蒲鉾の味わいを、磯自慢のキレの良さが引き締め、春菊や菊の香りが爽やかに鼻を抜けます。
これらは単なるおつまみではありません。「磯自慢」という銘酒が、いかに食中酒として優れているかを体感できる、計算され尽くしたペアリングなのです。
見逃せない!SAKE COMPETITION 2026も高輪で開催決定
日本酒ファンにとって最大のニュースは、2026年の「SAKE COMPETITION 2026」も、引き続きこの高輪ゲートウェイシティで開催されることが発表されました。
2年連続の開催となり、この場所が日本酒文化の新たな発信拠点として、ますます注目を集めることになりそうです。まずはこの貴重なフードペアリングを体験しに、足を運んでみてはいかがでしょうか。日本一の酒が持つ、本当の魅力を知る絶好の機会です。
イベント情報
- 企画: 「磯自慢」の魅力を引き立てる特別なフードペアリング
- 提供期間: 2025年12月15日(月)まで開催
- 提供場所: 高輪ゲートウェイ駅改札外3F MAISON CLASSIC SALON
- メニュー: 2種の「磯自慢」と東日本の逸品セット
<参考>
高輪ゲートウェイシティ イベント情報
https://www.takanawagateway-city.com/news/detail.php?page=urn_ngsi-ld_EventInfo_8882
SAKE COMPETITION オフィシャルインスタグラム
https://www.instagram.com/sake_competition/
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