日本酒の文化や歴史を学びながら飲める! 「日本の酒情報館」の楽しみ方をご紹介
これまで、さまざまな日本酒バーやアンテナショップを取材し、各地域の日本酒を紹介してきました。今までは日本酒を“楽しむ”ことにフォーカスしてお店を巡ってきましたが、今回は少し趣向を変えて、日本酒を楽しみながら“学べる”施設、東京・虎ノ門の「日本の酒情報館」を訪問してみました。館内の様子や見どころをたっぷりお届けするので、ぜひ最後までお楽しみください!
「日本の酒情報館」って、どんな場所?
「日本の酒情報館」は、日本酒造組合中央会が運営する、日本のお酒の情報が集まる施設。日本酒をはじめ、本格焼酎・泡盛・みりんなど日本の國酒すべての魅力を「見て・触れて・体験する」ことを通じ、世界中の人に知ってもらうことを目的に運営されています。
館内には約70種の日本酒、約30種類の焼酎など、常時100種類ほどのお酒を用意しており、有料試飲や購入も可能。お酒にまつわる映像コンテンツが放映されていたり、実際にお酒造りに使われていた道具の一部を手に取ることができたり、お酒について気軽に学ぶこともできます。展示されているお酒は定期的に入れ替わり、どのシーズンに行っても楽しめる施設です。
「日本の酒情報館」に実際に行ってみた! 見どころをご紹介
酒屋でも飲食店でもない、日本のお酒の「情報館」。これまでもさまざまな施設に足を運んできましたが、「日本の酒情報館」には、いったいどんな見どころがあるのか、まだイメージがあまり湧きません。
実際に足を運び、館長の今田周三さん、アドバイザーの児島麻理子さんにお話を聞きながら、施設を見学してきました。
カフェのような開放的な空間
館内は清潔感があり、木を基調とした棚やテーブルからは、温かみを感じます。「情報館」という名前からもう少し堅めな雰囲気を想像していましたが、実際はそんなことはなく、カフェのように気軽に立ち寄れる開放的な空間です。
団体の場合は事前連絡が必要ですが、個人で行くなら予約も必要なく、ふらっと立ち寄れるのが嬉しいポイント。天井には大きな木桶が飾られていたり、酒造りに使う櫂棒や半切り桶などの道具も展示されたりしていました。
気になるお酒を飲み比べ!
「日本の酒情報館」の最大の魅力は、なんといっても日本中から集まった種類豊富なお酒を試飲できること。飲み比べセットのほかに、各銘柄を単品で試飲することもできます。
飲み比べセットも1種類ではなく、複数のメニューが用意されているのが面白いポイント。日本酒の基本タイプ5種を飲み比べる「SAKE 101 Set」(1,000円税込)、大吟醸酒もしくはバラエティタイプの2種から選べる「本日のおすすめセット」(大醸酒:600円税込/バラエティ:500円税込)、館長がそのときの気分でセレクトした「館長の気まぐれセット」(800円税込)、季節限定の「自然派日本酒セット」(600円税込)など、ひとくちに”飲み比べ”といっても、バリエーション豊富です。
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銘柄は不定期で変更
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銘柄は毎週変更
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この日は、1番人気の「SAKE 101 Set」と、「館長の気まぐれセット」を注文しました。
まずは、「SAKE 101 Set」から。銘柄はそのときどきで変わるそうですが、この日は以下の5種の飲み比べでした。
- 香りの高いタイプ(大吟醸):澤乃井(東京都)
- さっぱりとしたタイプ(淡麗辛口):麒麟山(新潟県)
- 米の甘味や旨味を楽しむタイプ(芳醇甘口):蓬莱泉(愛知県)
- コクのあるタイプ(生酛純米):惣誉(栃木県)
- 熟成タイプ(純米5年熟成):剣菱(兵庫県)
それぞれ飲み比べてみると、味や香りの違いがよく分かります。特に、さっぱりタイプの麒麟山と甘味のある蓬莱泉は、続けて飲むと口当たりや後味の違いがよりハッキリと感じられました。剣菱の熟成酒は、まるでハチミツのように透き通っていて、見た目も抜群にきれいです。
「日本の酒情報館」は海外からのお客さんも多く、「まずは自分の好みの傾向を知りたい」との理由から5種の飲み比べが人気なのだとか。日本酒をまだあまり飲み慣れていない、これから詳しくなりたい人には、ぴったりのセットですね。
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「SAKE 101 Set」の剣菱の熟成酒
続いて、「館長の気まぐれセット」をいただきます。こちらも毎週銘柄が入れ替わるとのことですが、この日は以下の3種でした。
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館長の気まぐれセット
- 発泡性 真澄/宮坂醸造株式会社(長野県)
- 純米 作田/株式会社盛田庄兵衛(青森県)
- 純米bio つなぐ/有限会 仁井田本家(福島県)
館長選りすぐりの3種のうち、私は真澄以外は飲んだことがありません。特にビオサケ(オーガニック酒)は初めて飲みましたが、これまで飲んできた日本酒とはまた違った味わい。辛口のお酒とはまた違った心地よい酸味を感じました。
このように新たな日本酒を知れることも、全国のお酒が集まる施設ならではの魅力ですね。
お酒にまつわる最新の情報をキャッチ
「日本の酒情報館」ではお酒にまつわるイベント情報もキャッチできます。店内奥には、各都道府県のパンフレットが並ぶ棚が設置されていました。「日本酒の定義」や「日本酒ができるまで」などを解説したチラシも、自由に持ち帰ることができます。
さらに、「日本の酒情報館」にはお酒の専門知識を持ったコンシェルジュがおり、さまざまな質問に答えてもらえます。実際に訪れるお客さんは「今の季節におすすめのお酒は?」など、気軽に尋ねているのだとか。ほかにも、お酒が買えるお店の情報なども教えてもらえるようです。
日本酒について、楽しく学ぶ
試飲や情報収集のほかに、日本のお酒について楽しく学ぶこともできます。
館内では日本酒や焼酎の造り方や種類を解説する映像が流れているほか、富山県の高岡銅器、埼玉県の武州飯能焼など、各地方の焼き物でできた酒器も展示されています。館内で過ごすことで自然とお酒にまつわる日本の文化にも触れられる点に、まるで博物館のような楽しさを感じました。
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富山・高岡銅器の酒器
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埼玉・武州飯能焼の酒器
「日本の酒情報館」には、ソムリエや唎酒師などのお酒の資格を勉強をしている人も、多く訪れるとのこと。館内にはたくさんのお酒があるので、数種類を飲み比べるテイスティングの練習にもうってつけなのです。
さらに、事前に相談をすることで、館長による特別レクチャーを受けることも可能なのだとか!(※有料)
お酒の知識をさらに深めたい人は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
そのほか、趣味としてお酒を楽しみたい人が気軽に参加できるイベントも多数開催されています。歌舞伎をはじめとする伝統芸能とお酒を絡めた企画や、ジャズとコラボした催しなどさまざまなイベントがあるので、ぜひホームページからチェックしてみてくださいね。
<施設情報>
住所: 東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F
アクセス:東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」9番出口より徒歩3分
東京メトロ千代田線「霞ケ関駅」C3出口より徒歩4分
都営三田線「内幸町駅」A4出口より徒歩3分
JR「新橋駅」日比谷口より徒歩8分
営業時間:平日 10:00〜18:00
定休日:土曜・日曜・祝日・年末年始
※イベントなどにより、通常営業日でも臨時休業する場合あり
Web:https://japansake.or.jp/JSScenter/
電話番号:03-3519-2091
まさに大人の社会科見学! 日本の酒情報館に足を運んでみて
各酒蔵を巡って見学するのは大変ですが、「日本の酒情報館」なら、東京の真ん中でお酒について楽しく学べます。まるで大人の社会科見学のようで、ただ日本酒を飲んだり買ったりするのとは、また違った楽しみがありました。各駅からのアクセスもよいので、ぜひ東京出張や旅行のついでに遊びに行ってみてはいかがでしょうか。
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