日本酒の賞味期限はいつまで? 開封後も美味しさを保つ適切な保存方法や、古くなった日本酒の見分け方を解説!
一般的に、食品や飲料には賞味期限・消費期限が記載されているものですが、日本酒の場合はどうなのでしょうか? 酒屋さんなどでは冷蔵庫ではなく、普通の店に常温で並べてあることも多く「悪くなったりしないのかな?」と気になりますよね。
今回は、日本酒の賞味期限について、詳しく解説します。適切な保存方法や、開封後に古くなった日本酒の見分け方も紹介しているので、ぜひ参考にしながら自宅にある日本酒をチェックしてみてください!
そもそも、日本酒に賞味期限ってあるの?
日本酒のラベルやボトルをよく見てみると、実は賞味期限の表記がないことにお気づきでしょうか?
日本酒はアルコール度数が高いため腐敗しにくく、長期保存が可能であることから法律による賞味期限の表示義務がありません。日本酒だけでなく、ワインやウイスキー、焼酎など、酒類全般において賞味期限の記載は不要とされています。
ボトルやラベルに日付が記載されていることがありますが、これは賞味期限ではなく製造時期であり、日本酒を容器に詰めた月や日にちを記載しています。以前は製造時期の記載は必須でしたが、2023年1月の「清酒の製法品質表示基準」の一部改正により、製造時期の記載も任意となりました。明確な賞味期限はないとはいえ、「美味しく飲める期間」の目安は存在します。こちらについては、このあと詳しく解説します。
いつまで飲んでOK? 日本酒を美味しく飲める期間とは
前述のとおり、日本酒をはじめとする酒類には明確な賞味期限はないため、製造年月から年数が経過したお酒を飲んでも、身体に害を与える心配はほぼないと考えられます。しかし、味わいは時間の経過とともに少しずつ変化していくため「美味しく飲める期間」は存在します。
日本酒の場合は、未開封なら製造から1年が目安。火入れを一切おこなわない生酒や、一度だけ火入れをする生詰酒・生貯蔵酒は製造から約9ヶ月が目安とされています。
上記はあくまで未開封の場合であり、開封後はお酒が空気に触れることで味わいがどんどん変化していきます。どの種類の日本酒においても、開封後は適切な方法で保管をし、約2週間以内を目安に飲み切るのがおすすめです。
生酒や生詰酒・生貯蔵酒は特にデリケートなため、なるべく早く飲み切るようにしましょう。「なんで生酒は変化が早いの?」という疑問については、以下の記事で解説しているので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
生酒などについて解説した記事はコチラ
日本酒をなるべく長く美味しく楽しむために。日本酒の正しい保管方法を紹介
開栓後の日本酒はどんどん味わいが変わっていくものであり、その“変化”を感じるのも楽しみのひとつ。とはいえせっかく美味しい日本酒を見つけたら劣化させてしまうのではなく、なるべく長く大切に楽しみたいですよね。ここでは、日本酒をなるべく長く美味しく保つための、保管方法を紹介します。
冷暗所で保管する
日本酒は、紫外線や温度の影響を非常に受けやすいお酒です。直射日光が当たったり、高温な場所に置いておいたりすると、日光臭・ひね香と呼ばれる独特の匂いがしはじめます。基本的には冷暗所で保存するのがよく、特に冷蔵庫や野菜室での保管がおすすめです。
生酒・生詰酒・生貯蔵酒は火入れをおこなっていなかったり、火入れの回数が少ないぶん、デリケートなお酒です。まだ酵母が活発に活動していることから酒質が変化しやすいので、冷蔵庫で保管しましょう。ボトルやラベルにも「要冷蔵」と記載されていることが多いです。紫外線が気になる場合には、ボトルを箱に入れたり新聞紙に包んだりするのもおすすめですよ。
縦置きで保存する
ワインボトルは横に寝かせて保存しているのをよく見かけますが、日本酒は縦置きが基本です。
ワインは栓がコルクでできていることが多いですが、日本酒の場合はほとんどがアルミのキャップです。横に寝かせて置いておくと、お酒が常時アルミキャップに触れることになり、味わいに影響を及ぼしやすくなります。また、横に置くことでお酒が空気に触れる表面積が広くなります。日本酒は空気に触れることで酸化が進むため、縦に置いて空気に触れる面積をなるべく少なくしましょう。冷蔵庫の野菜室は深さがあるものが多く、日本酒の保管にもぴったりですよ。
この日本酒、まだ美味しく飲める? 古くなった日本酒の見分け方
高アルコールな日本酒が腐敗することはまず考えられず、古くなった日本酒を飲んでも健康に害を及ぼす心配は、ほとんどありません。しかし、味わいや酒質は確実に変化していき、適切に保存されていなかったり、あまりにも日数が経ちすぎていたりすると「劣化」が見られます。
ここでは、古くなった日本酒の見分け方について紹介します。長年眠っている日本酒がある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
色の変化
透明だった日本酒が黄色っぽくなったり、薄茶色に変化していたりしたら、劣化のサインです。日本酒に含まれているアミノ酸の影響で、色が変化してきます。白い酒器に入れたり、透明なグラスにお酒を入れて白い紙をかざしたりすると、色の変化がよく分かります。飲んでも害はありませんが「美味しくないかも?」と感じたら、無理に飲むのは控えましょう。
香りの変化
日本酒が古くなってくると、ツンと鼻を突くような酸っぱい匂いを感じることがあります。「ひね香」と呼ばれる、玉ねぎや穀物が腐ったような匂いがすることも。紫外線に当たりすぎた日本酒からは「日光臭」と呼ばれる焦げ臭や、獣のような匂いがします。栓を開けたりグラスに注いでみたりしてイヤな匂いがした際には、無理して飲む必要はありません。
味の変化
日本酒は、時間の経過とともに味わいが変化するもの。あえて長期間熟成させて、コクや旨味を楽しむ方法もあります。時間が経ってお酒が美味しくなれば「熟成」、飲みにくくなったり美味しくなくなったりすれば「劣化」です。熟成と劣化の違いは曖昧であり、「心地よいと感じるかどうか」がその違いといえます。劣化した日本酒は酸味が強くなったり、イヤな苦みが口に残ることがあります。
飲みきれなかったらどうすればいい? 古くなった日本酒の活用方法
時間が経って、味が変わってしまった日本酒。「ちょっと美味しくないかも……」と思っても、賞味期限がないと聞くと、そのまま捨ててしまうのはもったいなく感じてしまいますよね。実は、日本酒は「飲む」以外にも活用方法があるのです!古くなった日本酒の消費に困っている人は、捨ててしまう前にぜひ以下を参考にしてみてください。
料理酒として活用
日本酒を多く消費でき、気軽に試せるおすすめな方法が、料理酒として使用すること。日本酒にはうまみ成分のひとつであるアミノ酸が多く含まれており、料理に使用するとコクや旨味がアップします。お肉や魚の臭みを取り除いたり、柔らかくしたりする作用もあるのだとか。特に、お水を使わずに日本酒だけで具材を煮込む「美酒鍋」は絶品! また、ご飯を炊く際に、少量の日本酒を混ぜるとふっくら美味しく仕上がります。
入浴剤代わりにお風呂に入れる
日本酒は、実は美容にもよい作用をもたらすといわれています。SAKETOMOでは、過去にも日本酒と美容の関係性について紹介しました。
日本酒と美容の関係についてまとめた記事はコチラ
余った日本酒は、お風呂に入れて入浴剤代わりに使うこともできます。コップ1杯程度の日本酒をお風呂に入れることで、お湯の質が滑らかになってお肌がしっとりツルスベに! 日本酒ならではの優しい香りが広がるので、日本酒好きな人にとってはお風呂場が癒やしの空間に早変わりします。あまり入れすぎると酔ってしまう恐れがあるので、入れる量には注意してくださいね。
正しい保存方法を知って、長く美味しく日本酒を楽しもう!
正しい保存方法を知っていれば、お気に入りの日本酒を長く美味しく飲むことができます。せっかくなら「劣化」ではなく「変化」していく様子を楽しみたいものですよね。ぜひ、日本酒のさまざまな表情を味わってみてください。
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