「伏見酒フェス」は飲み比べにジャズライブに美味しいグルメに酒蔵巡りとてんこ盛り! 日本トップクラスの酒蔵の街・京都伏見で開催 【イベントレポート】

京都・伏見エリアは全国有数の日本酒生産地の一つ。半径1.5kmの中に21の酒蔵があり、市区町村別では京都市伏見区が全国1位の生産数量を誇ります。そんな伏見の歴史ある街や酒蔵へ実際に足を運んでもらい、風景・文化とともにその魅力を体感してもらおうと2024年3月2日に開催されたのが「伏見 酒フェス」です。

  • イベントの看板

伏見の酒蔵が一丸となって開催された「伏見 酒フェス」は、メイン会場である伏見港公園はもちろん、サブ会場となった酒蔵なども大盛況! 街を挙げて盛り上がっていた「伏見 酒フェス」の様子を、SAKETOMOにて酒蔵巡り・愛知編を担当するライター・名古屋めし料理家のSwindがお届けします。

  • 日本酒のお猪口

「伏見 酒フェス」とは?

京都市の南端に位置する伏見エリアは、兵庫・灘と並ぶ「日本酒処」の一つ。豊臣秀吉が伏見城を築城した際に伏見港が整備されたことで、城下町としても水運の拠点としても街は大いに発展。さらには「伏水」と呼ばれる良質の伏流水にも恵まれていたことから、この地で日本酒造りが盛んに行われるようになりました。現在でも1.5kmほどのエリアの中に21もの酒蔵があり、日本酒造りが行われています。
幕末に坂本龍馬が襲撃を受けた「寺田屋」など日本の歴史の舞台ともなってきた街の魅力を、伏見が誇る日本酒とともに知ってもらおうとして行われたのが「伏見 酒フェス〜FUSHIMI SAKE FES.〜」。2023年まで開催されていた「日本酒まつり」を拡大し、酒蔵だけではなく地元の商店街や団体とも一緒に地域一丸となって盛り上がろうと初めて開催されました。

  • イベントの看板と酒樽

伏見の日本酒とグルメと音楽を満喫! メイン会場・伏見港公園

京都駅から近鉄と京阪電車を乗り継ぎ、約30分で到着したのが「伏見 酒フェス」のメイン会場である伏見港公園。安土・桃山時代に豊臣秀吉が伏見城築城の際につくった河川港である伏見港は、江戸時代には舟運の要衝として伏見の街とともに発展します。戦後になると交通の近代化が進んだことで機能を終え、その跡地がスポーツ公園として整備されました。

  • 公園の名前の表示石

「伏見酒フェス」は、伏見の酒蔵の日本酒が飲み比べできる「有料試飲エリア」と各種ブースやステージイベントを楽しめる「入場無料エリア」の2つのエリアで構成されています。

有料試飲エリアでは伏見の銘酒を飲み比べ!

  • テーブルの上に日本酒の瓶が並んでいる

有料試飲エリアでは、伏見の18酒蔵がそれぞれ選び抜いた自慢の全18銘柄の日本酒の中から3種類を選んで試飲が可能。入場チケットが事前予約で売り切れてしまうほど盛況となっていました。
18種類もあるのに選べるのは3種類ということでどれを呑もうか迷いに迷いましたが、今回は齊藤酒造の「英勲 純米大吟醸原酒」、増田德兵衛商店の「月の桂 柳 純米吟醸」、松本酒造の「桃の滴 特別純米酒」を頂きました。

英勲 純米大吟醸原酒(齊藤酒造)

  • 日本酒の瓶とお猪口

京都産の酒米「祝」「京の輝き」を用いた蔵元秘蔵の純米大吟醸原酒は、上品な香りとフルーティーな甘味が特徴。まろやかな口当たりで、米の旨味も感じられます。柔らかい風味ながらも原酒らしいしっかりとした酒精の雰囲気もあり、さっと流れるような後口は、もう一口、もう一口と盃を口元へと運びたくなりました。

  • 日本酒の瓶とお猪口

山田錦を用いた純米吟醸酒。「灘の男酒、伏見の女酒」とも表される伏見酒らしさ満点なスッキリと淡麗な味わい。穏やかで上品な吟醸香は雅な雰囲気を楽しめます。優しい口当たりなので、思わずすいすいと飲んでしまいそうになりました。

桃の滴 特別純米酒(松本酒造)

  • 日本酒の瓶とお猪口

山田錦を用いた特別純米酒「桃の滴」はやや甘めで穏やかな風味があり、なめらかな飲み口のお酒。単体ではもちろん、素材の味を引き出す京料理との相性が良さそうな雰囲気を感じます。個人的には少し甘めに仕上げただし巻き玉子と合わせてみたくなりました。

フードブースでは京都のおばんざいやスイーツを満喫!

  • フードブースの前の行列

無料入場可能なエリアには、伏見エリア周辺の人気飲食店によるフードブースがたくさん並んでいました。日本酒にぴったりのおつまみやガッツリ食べられるボリューミーな肉料理、素材の味を生かした京都ならではのおばんざい、他にもスイーツや焼き菓子とバラエティ豊富なラインナップで目移りしてしまいます。
どれも大変美味しそうなグルメの数々。今回こちらの3つをいただきました。

鯛の幽庵焼きと筍の醤油焼き(お食事 たいよう)

  • 鯛の串焼きとタケノコの串焼き

最初に選んだのは京都らしい串焼き2品。一口頬張れば鯛の旨味が口いっぱいに広がる鯛の幽庵焼きも春の息吹が感じられる筍の醤油焼きもどちらも絶品!素材の味を引き出す京料理ならではの美味しさに思わず笑顔になりました。

京甘藷芋けんぴ・山椒味(芋と野菜)

  • カップに入った芋けんぴ

カリカリに揚がった極細の芋に山椒と塩で味付けしたおつまみ仕様の芋けんぴ。山椒のほど良い刺激を感じる甘くない芋けんぴは、手が止まらなくなるほど後を引く美味しさ。日本酒との相性も抜群でした!

ひねポン酢(地どり鳥焼き 鳥どり)

  • お猪口に入った日本酒とカップに入った料理

親鶏とも呼ばれるひね鶏を細かく刻んでポン酢で味付けしたもの。コリコリ食感の中からじわりと広がる鶏の旨味とポン酢のさっぱりとした味わいが、伏見の日本酒と相性ぴったり。お酒がはかどってしまいました。

物販ブースは大行列!

  • テーブルの上に箱に入った日本酒が並ぶ

無料入場可能エリア内に設けられた物販ブースでは、有料試飲エリアにて試飲が行われていた日本酒や地ビールなどを販売。こちらも早くから行列が伸びる大盛況。買ったばかりのお酒を早速開けて思い思いに楽しむグループの姿もたくさん見かけました。

ステージイベントではジャズの音色と共に日本酒を

  • ステージで演奏するバンドと観客

会場内に設けられたステージでは、地元伏見をベースに活動しているグループやチームのパフォーマンスがわれていました。コロナ禍で一時期は開催が見送られていた「蔵ジャズフェスティバル」も今回のステージをきっかけに活動を再開。素敵なジャズの演奏を聴きながら味わう日本酒も大変素敵でした。

スタンプラリーをしながら酒蔵開きとサブ会場も大満喫!

  • スタンプカード

「伏見 酒フェス」の楽しみは、メイン会場だけではありません。「伏見酒フェス」の開催に合わせ、伏見界隈にある11の酒蔵が蔵開きを開催。また、3箇所のサブ会場でも関連イベントが開催された他、これらのイベントや商店街を合わせた全19会場を巡るスタンプラリーも開催されました。
ということで、筆者もメイン会場を飛び出して酒蔵&サブ会場巡りへと出発!スタンプシートを片手に伏見の街へと繰り出します。

11箇所の酒蔵で蔵開き

街の中にたくさんの酒蔵が集まっている伏見では、いくつもの酒蔵を徒歩で巡ることも十分可能。「伏見 酒フェス」の当日には街の中がたくさんの日本酒ファンで大賑わい。各酒蔵も日本酒の有料試飲はもちろんのこと、趣向をこらした催しで来場者を楽しませていました。
ミニライブが開催されていたのは北川本家。素敵な音楽とともに楽しむ日本酒、最高ですね!

  • 演奏するバンド

齋藤酒造で開催されていたのが「利き酒チャレンジ」。最初の部屋で齋藤酒造の5つの銘柄の日本酒の味を覚えてから別室にあるラベルを外した日本酒5本の銘柄を当てると本格仕様の利き酒クイズです。

  • テーブルの上に日本酒の瓶が並ぶ

蔵元の方曰く「今日の正解率5%ぐらい」と超ハイレベルな利き酒チャレンジ。それでも全問正解すればプレゼントがあるということでたくさんの方が楽しんでいました。筆者もチャレンジしてみたのですが、結果は聞かないでください(笑)

今回は3箇所の酒蔵を巡りましたが、どの酒蔵も本当に多くの来場者で溢れかえっていました。酒蔵同士の距離が非常に近いので、街歩きをしながら酒蔵を巡ることができるのも伏見の魅力だと感じました。
また、初めて伏見の酒蔵を訪れて驚いたのが一つ一つの酒蔵の規模が大きいこと。これだけの大きな酒蔵が数多く集まっているのは古くから日本酒造りがさかんに行われてきた伏見ならではの景色。酒造りの歴史の深さを肌で感じることができました。
酒蔵巡りの途中で見つけたのが松本酒造の素敵なレンガ造りの建物。登録有形文化財や近代化産業遺産などの指定も受けている歴史的建造物の景観も伏見散策の楽しみの一つです。

  • 赤煉瓦の建物と煙突

こどもや日本酒を飲めない人が楽しめる会場も

  • 建物の前にたてられたテント

「伏見 酒フェス」のサブ会場の一つとなっていたのが「コミュニティ・バンク京都信用わくわく広場」。伏見の中でも酒蔵が集まるエリアのほぼ中央にある京都信用金庫伏見支店の駐車場を活用し、お酒が飲めない人や子どもも楽しめる縁日・マルシェの催しが開催されていました。

ステージでは子どもたちがダンスを披露。みなさんキレッキレのダンスばかりでスゴかったです!わくわく広場にもグルメが充実。酒粕を使った粕汁は京都伝統の味。本場の粕汁を頂いて身も心もポッカポカになりました。

  • カップに入った酒粕汁

17種類のお酒を飲み比べできるきき酒会(伏見夢百衆)

  • 酒蔵の入り口

続いて訪れたのはもう一つのサブ会場「伏見夢百衆」。大正期に建てられた月桂冠の本店の建物を活用し、伏見で造られた日本酒やお土産の販売、お酒の仕込み水を使った水出しコーヒーなどを楽しめる喫茶営業などが行われています。
伏見夢百衆で「伏見 酒フェス」に合わせて行われていたのが伏見の日本酒を飲み比べできる「きき酒会」。この日は伏見の17酒蔵からそれぞれ一推しの銘柄を1つ、合計17種類の日本酒を飲み比べすることができました。

  • 台の上に並んだ日本酒を飲み比べる人

同じ伏見で造られている日本酒ですが、飲み比べしてみると酒蔵ごと、銘柄ごとに個性がはっきりとあるのを感じます。好みの日本酒が見つかればその場で購入することも可能。どれも美味しいので自分へのお土産袋がどんどんと重くなりました。
ちなみに「きき酒会」の参加費はなんと1500円と超お値打ち! 30分程度と短い時間ではあるものの17種類もの日本酒を飲み比べしながら奥深さを体験できる、日本酒好きにはたまらないイベントでした。
伏見夢百衆「きき酒会」は土日祝を中心に開催されているとのこと。詳しい日程は公式インスタグラムにてご確認ください。

ライトアップイベント「伏見みなとあかり」

  • 橋の両端に灯篭が並ぶ

「伏見 酒フェス」の締めくくりで訪れたのが「伏見みなとあかり」。伏見港公園の近くを流れる宇治川派流にかかる橋の上に和ろうそくが並べられ、幻想的な風景を演出していました。

何度でも訪れたい日本酒と歴史の街・伏見

街ぐるみで大盛り上がりとなった「伏見 酒フェス」。会場でお話を聞いてみると、地元京都の方だけでなく、大阪や静岡など遠方から足を運んだ日本酒ファンの方々も多く、思い思いに伏見の街と日本酒を楽しんでいる様子が大変印象的でした。
また、スタンプラリーをしながら酒蔵開きやサブ会場のイベントを巡ることで酒蔵が立ち並ぶ伏見の街をまるごと楽しむことができました。徒歩でも回ることができるエリアの中に日本酒や歴史を感じるスポットがギュッと詰まっているのが何よりもの魅力ですね。
1日かけて「伏見 酒フェス」を堪能しましたが、伏見にはまだまだ回りたいところがいっぱいあります。また機会を作り、何度でもお伺いしたいと思います。

  • 古民家の外観

    坂本龍馬が遭難した「寺田屋事件」で有名な寺田屋旅館。黄桜や月桂冠のすぐ近くにあるのは驚きでした。

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