【イベントレポート】「YOMOYAMA NAGANO」長野県の54蔵が東京に集結!名古屋、福岡、長野でも開催予定

長野県は、新潟に次ぐ酒蔵の数が全国第二位の県。80社の酒蔵がある地酒王国です。中央アルプスをはじめとする山々に囲まれた複雑な地形のため、その土地ごとに酒蔵が存在し、地域ごとの個性ある味わいが魅力です。5月10日(水)に開催された東京会場(浅草ビューホテル)の様子を、唎酒師で日本酒ライターの関友美がお届けします。

  • YOMOYAMANAGANOの看板

目次

2023年「YOMOYAMA NAGANO」開催スケジュール

  • 看板の後ろに立つ男性

    全体運営にあたる角口酒造店 専務取締役・杜氏 村松裕也さん

<日程>

5月10日(水)東京会場(浅草ビューホテル)

7月27日(木)名古屋会場(ANAクラウンプラザホテル/グランコート名古屋)

8月21日(月)福岡会場(オリエンタルホテル福岡/福岡ステーション)

9月20日(水)長野会場(メトロポリタン長野) 

<時間>

酒類卸、小売業従事者・・14:00〜18:00

飲食店従事者、一般の日本酒好きの方・・・15:00〜18:00 

<入場料・定員>

入場料:3,000円

酒類卸、小売業従事者・・・定員200人(当日チケットと共に名刺1枚を受付にお渡しください)

飲食店従事者、一般の日本酒好きの方・・・定員500人

(開催の二か月前よりe+(イープラス)でお申し込みが可能になる予定です)

※イベント詳細はこちらのページもご参照ください。

 

「YOMOYAMA NAGANO」会場での楽しみ方

  • イベント会場の様子

コロナ前までは「長野の酒メッセ」という名前でしたが、蔵元と参加者とが「よもやま話」に花を咲かせられるように、と参加人数を減らし、開催会場も全国に広げ、新しく「YOMOYAMA NAGANO」として生まれ変わりました。東京会場では、長野県の54蔵が9エリア(長野、佐久、上田、諏訪、伊那、松本、中野、飯田/木曽、北安曇)に分かれ、ブースを構えていました。すべて飲んでいては、せっかくのお話しできる機会を逃してしまいます。あくまでも「試飲会」なので、節度を持って楽しみましょう。

名古屋会場:50蔵(予定)

福岡会場:40蔵(予定)

長野会場:58蔵(予定)

※出店の酒蔵や酒蔵数に変更がある場合がございます。予めご了承ください。

  • 会場マップ

    会場マップ

  • 長野県の地図

きき酒師・関友美のおすすめ酒蔵ピックアップ!

年に一度のビッグイベント!酒蔵がたくさんあって楽しいのですが、どこから回っていいのか迷ってしまうことでしょう。事前に「必ずここだけは試飲する」という酒蔵をいくつか決めておくと便利です。そこで360日日本酒を飲みつくす、きき酒師ライター関友美が「ここの酒蔵は行って!」というおすすめの酒蔵をご紹介します。

米澤酒造(銘柄:「今錦」、エリア:伊那)

  • 酒瓶を手に持つ人々

    専務取締役の松下一成さん(中央)と蔵のスタッフさん

先日発表になったIWC(インターナショナルワインチャレンジ)という毎年ロンドンで行われる世界最大規模のワイン品評会内の日本酒部門で、金賞を受賞した実力派の酒蔵です。現在は、地元伊那の企業である「かんてんぱぱ(伊那食品工業株式会社)」が親会社になっており、みんなで米作りもしながら、地元を想い、酒造りを続けている酒蔵さんです。

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春日酒造(銘柄:「井の頭」、エリア:伊那)

  • 酒瓶を手に持つ男性たち

    左から代表取締役社長の馬場博一、取締役の漆戸正彦さん、営業副部長の西澤宏さん

JR飯田線・伊那市駅の目の前にある酒蔵さん。東京農業大学醸造学科を卒業した漆戸兄弟ふたりで醸す日本酒「井乃頭(いのかしら)」です。「井乃頭」というのは、「最高の湧き水」「よい水の湧くところ」を意味します(余談ですが、東京の井の頭公園はかつて名水が湧き、江戸時代将軍家の茶の湯に使われたことからその名がついています)。「井乃頭」の酒は、おふたりの性格をあらわすよう味わいが柔らかく、優しいものです。新しく立ち上げた「龍游(りゅうゆう)」という銘柄もチェック!

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宮坂醸造(銘柄:「真澄」、エリア:諏訪)

  • 酒瓶を手に持つ男性

    蔵元 宮坂勝彦さん

「真澄」をつくる宮坂醸造は、1662年創業の長野県屈指の名家、銘醸蔵です。蔵元である宮坂家は戦国時代までこの地を治めた諏訪家の家臣でしたが、武田や織田との戦乱に翻弄され刀を置き、つくり酒屋となりました。古くから妥協せず品質にこだわり、1943年におこなわれた全国清酒鑑評会で第一位に輝いたほど。その後、70年以上経った現在でも、醸造家から人気の高い良質な「七号酵母」が酒蔵で発見されるなど酒造業界全体に影響を与えた酒蔵でもあります。長野県産の原料のみでつくったとっておきの「MASUMI山廃純米大吟醸 七號(ななごう)」は、ぜひチェックして!

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岡崎酒造(銘柄:「信州亀齢(きれい)」、エリア:上田)

  • 日本酒を手にする女性

    12代目蔵元・杜氏 岡崎美都里さん

とある日本酒ラインキングサイトで、長年「長野県1位」、全国でも現在第4位を飾っている小さいながらも人気の酒蔵さんです。岡崎美都里さんは、東京農大で醸造学の勉強をし大手酒販売会社に就職し、代々続く杜氏からも技術を学んだあと、2003年杜氏に就任しました。彼女がつくる「信州亀齢」はピチピチとした微発泡感があり、ジューシー。鮮やかで華やかな味わいもさることながら、女性らしいキレイなラベルも人気の秘訣です。

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小野酒造店(銘柄:「夜明け前」、エリア:伊那)

  • 日本酒を手にする法被姿の男性

    営業部長 小野庄平さん

元治元年創業の中山道宿場町にある日本酒「夜明け前」をつくる酒蔵さん。先日発表になったIWC(インターナショナルワインチャレンジ)という毎年ロンドンで行われる世界最大規模のワイン品評会内の2023年日本酒部門で、「夜明け前 純米吟醸 生一本」 が金賞(ゴールドメダル)を受賞、さらには「夜明け前 大吟醸」が大吟醸酒の部最高賞となるトロフィーを獲得しました。東京会場では、その「大吟醸」を味わうことができました。もしかしたら今後の会場でも試飲することができるかも!?

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豊島屋(銘柄:「神渡(みわたり)」「豊香(ほうか)」、エリア:諏訪)

  • テーブルの上に日本酒が並んでいる後ろで説明する男性と女性

    6代目蔵元 林慎太郎さん(画面奥)

長野県のほぼ中央に位置する岡谷市にある酒蔵さん。山々に囲まれ、諏訪湖がすぐにあり、八ヶ岳や富士山を望む立地は、自然と清らかな水に恵まれた土地です。「笑顔のみえるこだわりの地酒」をテーマに、ベテランの諏訪杜氏が筆頭になって、若い蔵人たちがつくる「神渡」「豊香」という2銘柄は、どちらも透明感あり、シルキーな口当たり。全量長野県産米を使用した徹底ぶり!あらゆるコンペティションにも受賞している、実力派の酒蔵です。特に「純米大吟醸」「大吟醸」は、すぐなくなる可能性あり。お見逃しなく!

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丸世酒造店(銘柄:「勢正宗(いきおいまさむね)」、エリア:中野)

  • 両手に酒瓶を持って笑顔の男性

    5代目蔵元 関晋司さん

通常、日本酒というのは酒米か食用米を使用して、三段仕込みという方法でつくられます。しかし昔から「勢正宗」の酒のほとんどは、最後に甘さを加えるため、四段目にもち米でつくった甘酒を加える「もち米四段仕込み」という方法を採用しています。古来からある手法なのですが、現在では採用している酒蔵はあまりありません。完成する酒自体は、甘酒のように甘いわけではありませんが、どこか柔らかで、(言われてみると)通常の酒よりは甘みを感じるものになっています。気になる方は、ぜひ会場で味わってみて!

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湯川酒造店(銘柄:「十六代九郎右衛門(くろううえもん)」、エリア:木曽)

  • 日本酒を手に持つ女性

    十六代目蔵元 湯川尚子さん

標高936mの場所にある湯川酒造店は、日本で2番目の高さにある酒蔵だそうです。そのため12月~2月にはマイナス18℃まで気温が下がる、極寒の地。慶安3年(1650年)の操業以来ずっとこの地で酒づくりをしています。名古屋会場へは夫であり、杜氏を務める慎一さんが担当するとか。ジューシーな果実感あふれる味わいに多くのファンがついています。また酒の名のとおり、十六代目にあたる尚子さんと、尚子さんの最大の理解者である慎一さんは共に快活としていて「おしどり夫婦」としてファンが多く、酒の人気に拍車をかけています。「IWC(インターナショナルワインチャレンジ)2023」日本酒部門の純米吟醸酒の部で、「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」が最高賞となるトロフィーを獲得しています。ぜひお見逃しなく!

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西飯田酒造店(銘柄:「積善」、エリア:長野)

  • 日本酒を手に持ち笑顔の男性

    代表取締役社長・杜氏 飯田一基さん

長野県内で唯一「花酵母」を使って酒づくりしているのが「積善」です。東京農業大学在学中に、花酵母の研究をしていた飯田さん。りんごの花酵母、ヒマワリの花酵母など自然界から発見された醸造に適した酵母を培養して使ったもので、あくまでも菌の問題なので、日本酒の味わい自体が「りんご味になる」とかいうことはありません。でもロマンがあって、素敵ですよね。しかし今回「たまたま思いっきりバナナ味がする!」という完熟バナナ酵母使用した、とても甘い「積善 ひとそべり 極バナナ 生原酒」という貴醸酒がありました。「日本酒でこんな味わいの表現ができるの?!」と驚きの一品。絶対飲んでみて!

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市野屋(銘柄:「市野屋」「龍水泉」、エリア:北安曇)

  • 日本酒を持つ男性、マスクをしている

    生産本部長・能登杜氏 伊藤正和さん

起源は古く、慶応元年(1865年)創業の酒蔵です。明治時代に建てられた蔵内で今も酒づくりをおこなっています。現在は、2022年1月に経営体制を一新した新生「市野屋」です。能登杜氏で昔ながらの山廃づくりを得意とする伊藤さんが、「市野屋」に仲間入りしたのが2019年。その後2022年に大塚真帆さんが入社し、現在はダブル杜氏体制。モダン山廃スタイルで、深みはあるけれど綺麗なお酒をつくっています。「龍水泉」の新ブランドも2023年にできたばかり。今後の動向が気になる蔵として、注目です。

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※出品される日本酒の種類に変更がある場合がございます。予めご了承ください

和らぎ水を飲みながら、さまざまな長野酒を“安全に”試しましょう!

  • テーブルの上に日本酒が並んでいる

各地の酒造組合が主催するこのようなイベントは、つくっている人たちの顔を見ながら試飲して、お気に入りの1本を見つけることができます。さらに飲食店を営む方が、推し酒を見つけることができる絶好のチャンスでもあるのです。特に長野県には酒蔵が多く、迷ってしまうもの。ぜひイベントに足を運んで、体感してみてください。またイベントで終わらせることなく、ご家庭でも楽しむために、近くで買える酒販店も、蔵の人に直接聞いてみてください。 

少しずつ飲んでいるつもりでも、仮に30mlずつだと12種類試すとあっという間に2合飲んでいる計算になります。入口で、吸収ポリマー入りのカップとそれを入れるサコッシュが渡されます。飲み込まず、そこに吐き出しながら冷静に味わいをチェックするという選択肢もあります。会場端にある水ブースでこまめに水分補給することもお忘れなく。泥酔しては、人に迷惑をかけ楽しい時間も台無しに。最後まで安全に“試飲”を楽しんでくださいね!

東京会場参加蔵(順不同)

諏訪御湖鶴酒造場/ 仙醸/ 小野酒造店/ 高天酒造/ 岡崎酒造/ 田中屋酒造店/ 湯川酒造店/ 和田龍酒造/ 亀田屋酒造店/ 酒千蔵野/ 米澤酒造/ 豊島屋/ 千曲錦酒造/ 東飯田酒造店/ 信州銘醸/ 橘倉酒造/ 春日酒造/ 北安醸造/ 丸世酒造店/ 大信州酒造/ 薄井商店/ 美寿々酒造/ 伊東酒造/ 武重本家酒造/ 高沢酒造/ 土屋酒造店/ 佐久の花酒造/ 松葉屋本店/ 高橋助作酒造店/ 今井酒造店/ 角口酒造店/ 59醸/ 丸永酒造場/ 岩波酒造/ 長野銘醸/ 黒澤酒造/ 大塚酒造/ 西飯田酒造店/ 古屋酒造店/ 志賀泉酒造/ 宮坂醸造/ 大雪渓酒造/ 沓掛酒造/ 遠藤酒造場/ 伴野酒造/ 大澤酒造/ 喜久水酒造/ EH酒造/ 七笑酒造/ 宮島酒店/ 酒ぬのや本金酒造/ 市野屋/ 中善酒造/ 山三酒造/

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