入手困難な高級日本酒「TAKANOME(鷹ノ目)」とはどんなお酒? 開発にいたった思いを聞きました!

  • 日本酒の瓶と箱

「TAKANOME」は、株式会社Forbul(東京都港区)が2019年に立ち上げた高級日本酒ブランドです。200年の歴史を持つ山口県の老舗酒蔵「はつもみぢ」と共同で、「誰もが飲んで直観的にうまい!と思える」日本酒の開発を目指したそうです。

毎週水曜日に専用のECサイトからのみの数量限定販売、販売が開始されると5分前後で完売してしまう人気ぶりで、まさに「幻の日本酒」ともいえる「TAKANOME」。

今回は開発者である株式会社Forbulの平野晟也さんに、開発にいたった思いや「TAKANOME」の魅力についてお伺いしました。

  • ポーズをとる男性

    株式会社Forbul代表 平野晟也さん

TAKANOMEの開発にいたるまで

日本酒との出会いは?

(株)Forbul 平野代表(以下、平野さん):

学生時代にサッカーをやっていて、フィリピンやアメリカにいたことがありました。その時に周囲から日本文化について聞かれることが多く、大きな関心を抱きました。そして日本文化に関連することで起業したいという思いが湧き、1年休学して日本に帰国、日本全国の文化を見て回りました。その際に飲んだ自分の地元・栃木のお酒「鳳凰美田」がものすごく美味しくて、日本酒のポテンシャルを知りました。日本食がどんどん世界中に広がっていましたし、事業として面白いのではと思い2018年に会社を立ち上げました。

なぜ自分自身で日本酒を造ろうと思ったのでしょうか?

平野さん:

最初は日本酒のサブスクリプションサービスを始めたのですが、毎回の酒蔵さんとの交渉が大変で事業としてはうまくいきませんでした。ただ、いろんな日本酒を飲んでいく中で、日本酒業界の課題もいろいろ見えてきました。良い酒屋に行かないと良いお酒が買えなかったり、そもそも日本酒の情報が少ないので、どう選んだらいいのか、自分好みのお酒をどうやって見つけたらいいのかわからないとか。

でも、今はインターネットが発展しているので、本当に美味しいお酒を造ったら、自分で届けられる手段がある。既存の業界では難しいかもしれないが、そこにチャレンジする価値があるのではないか。そう思って始めました。 

まずは、日本全国のお酒を300種類ぐらい集めて、ブラインドテストで全部飲んでみました。立ち上げた当初は僕も素人でしたが、素人目線で美味しいと思うお酒を30種類くらいまで絞りこんで、その30の蔵元さんに直接行ったり、電話したり。ビジネスマナーもわからなかったので、当日「近くにいるので訪問させてください。社長はいますか?」みたいな(笑) 本当にがむしゃらに酒蔵さんとの提携を模索しました。

そして、山口県の老舗酒蔵「はつもみぢ」さんとめぐりあったのですね。

平野さん:

はつもみぢさんにも「明日行きますので社長に会わせてください!」と言って翌日の新幹線に飛び乗りました。いろいろな酒蔵さんから「実績がない」「リスクがとれない」「既存の流通に嫌われてしまう」といった理由で断られていたんですが、はつもみぢの社長さんは、僕が電話をして東京から4,5時間かけて新幹線でやってきた熱意の部分を評価してくれて「とりあえず1回やってみましょう」と言ってくれました。

1回作ってみて、その後いろんなことがありましたが、結果「TAKANOME」がヒットして、はつもみぢさんにとっても、僕らはいいパートナーになれたのではないかと思います。

  • ポーズをとる男性2人

高級日本酒に挑戦しようと思ったわけは?

平野さん:

日本酒はワインなど海外のお酒に比べて価格の多様性がないと思います。日本酒の場合は、すごく有名で希少性があり、有名な酒蔵さんのお酒であっても、大手企業が大量に造っているお酒と価格が大して変わらない。その一方で、二次流通でものすごく価格が上がっている銘柄もあったりします。

ワインなどだったら、二次流通で何万、何十万を上がっていくお酒は、一次流通の時点から価格を上げていくと思うんです。上げることで、大量に造らなくてもビジネスとして成立するのは、造り手としてはありがたいことだと思います。

日本酒業界の現状は、大量に造らないと事業として成り立たないところが非常に大きい問題だと思います。大量に造るには設備投資が大変なものになる。技術があって、思いがあれば価格をあげていけるような状況を造らなければいけないと思います。

そういったことを元々業界にいた存在じゃない我々が率先してやりたいと思い、高価格帯の日本酒にチャレンジすることにしました。 

やってみると、この価格帯でも受け入れてくれる市場は存在していて、世界中から問い合わせがあったり、空港の免税店や百貨店、いままで日本酒が置いていなかった場所にも置かれるようになりました。

高級日本酒「TAKANOME(鷹ノ目)」とは

  • 日本酒の瓶とグラス

TAKANOMEは「うまさ」のみを追求するという信念を持ち、山口県の老舗酒蔵「はつもみぢ」と共同開発した日本酒ブランド。山口県産の山田錦を100%使用し、3日間かけて丁寧に搾られ、精米歩合は非公開としています。パイナップルのような香りと味わいが特徴で、ミシュランのシェフや5つ星のホテルソムリエからも高い評価を得ています。

「TAKANOME」の特徴を教えてください。

平野さん:

うまさのみの追求、というコンセプトで日本酒を造っています。うまさというのは、もちろんその味わいのところは徹底してこだわりますが、一方でデザインだったり、品質の徹底管理、顧客の体験ベースで僕らはお酒を提供しています。 

一番大事な味わいの部分では、製造においての微調整を徹底的に重ねて美味しさを追求しています。これまでの日本酒は、原材料がどうだとか、精米歩合というようなスペック主義でしたが、造り手や技術力が重要だというところで本当に納得できるものだけをTAKANOMEとして販売しています。

ボトルや箱のデザインもモダンでおしゃれです。意識されたことは?

平野さん:

日本酒は日本文化の結晶だと思っているので、日本文化を体験できるようにしたい、というのが元々のコンセプトです。

そのために「日本文化とはいったい何なんだ?」というところを勉強しながら試行錯誤を重ね、納得できるものになりました。明治維新以前の日本文化を現代に持ってきたときにどんなものになっているかを妄想しながら、かつ世界中のテーブルにのった際にどんなものがフィットするのかということを模索するなかで「和モダンの追求」という考えに至りました。

現在、発売すれば即完売という状況が続いていますね。

平野さん:

本当にありがたいと思っています。多くのお客様の支えがあってTAKANOMEの事業が継続できています。これ以上の供給量は酒蔵さんのキャパとしても作れないところがあるので、現状はこれ以上の生産量はあげられないです。

2023年10月新商品の「TAKANOME 火入れ」を発売

2023年10月、新商品「TAKANOME 火入れ」の発売を開始しました。「TAKANOME 火入れ」はフラッグシップ商品「TAKANOME」に瓶内1回火入れを行います。「TAKANOME」の特徴であるフルーティーさ、繊細さを損なわないために急速急冷にこだわり、生原酒を瓶詰した後、63~65度のお湯を使用して殺菌作業、井戸水で約18度まで冷まし、冷蔵庫に入れ味わいを整えるそうです。

  • 日本酒の瓶とグラス

    「TAKANOME 火入れ」

新たに発売された「TAKANOME 火入れ」はどのような特徴がありますか?

平野さん:

新商品を作ることはかなり慎重に吟味してきました。ただ、海外への輸出も増えていくなかで、既存の商品は無濾過生原酒で、輸出などでの温度変化に弱いため、そこに耐えられるようなお酒を造りたいと思い、火入れの商品の開発をしました。

ただ、単純に火入れするだけだと、本来もっていた味わいがなくなってしまうこともあるので、酒蔵さんとコミュニケーションしながら2~3年試行錯誤して、ようやくリリースできるものができました。

「TAKANOME」の楽しみ方

強い思いを持って造られている「TAKANOME」ですが、みなさんにどのように楽しんでもらいたいですか?

平野さん:

需要が高いシーズンは年末やクリスマス、お正月。お客様はそういう記念日や特別な日に飲まれているんじゃないかと思います。もしかしたらギフトとして使われている場合もあるのかなと。価格もある程度するので、特別な日に僕らのお酒を親しい友人や家族と、美味しいお料理と一緒に楽しんでもらえるとうれしいです。

料理とのおすすめの組み合わせがあれば教えてください。

平野さん:

僕は肉料理、特に和牛をおすすめしたいです。サーロインステーキをちょっと食べながら飲む感じが最高です。和牛の脂とTAKANOMEのフルーティーな要素との相性がかなり良いと思っています。

TAKANOMEが目指すもの

今後平野さんが目指すところを教えてください。

平野さん:

僕には、「日本酒を通して日本文化に貢献していく」というビジョンがあります。日本酒は日本のあらゆる文化に寄り添ってきたという側面があり、今後は世界に対して日本酒を通して日本文化を発信していきながら、その文化を支える存在になっていきたいです。

TAKANOMEについてもっと知りたい

・公式ホームページ https://takanome-sake.com/

・TAKANOME火入商品ページ https://takanome-sake.com/pages/heat

関連記事