愛知の酒米と蔵元の情熱が交差する! 「さけむす」トークショーで明かされた地酒の感動ストーリー

全国各地で日本酒イベントを展開するZIP-FMと、テレビ愛知の「SAKETOMO」がタッグを組んだプロジェクト「さけむす」。お酒を通じて人、地域、そして日本酒との新たな縁を結ぶことを目指すこのプロジェクトの特別イベント「さけむす倶楽部特別編~愛知の酒米を知る~」が9月19日にテレビ愛知で開催されました。 

イベントMCを務めたのは、テレビ愛知・上釜美憂アナウンサーとZIP-FMナビゲーター・加藤玲那さん。 「普段私たちが口にする日本酒の味の土台を支え、命を吹き込んでいる存在こそが『酒米』である」という視点から、愛知県内の酒米生産農家さんと蔵元さんによる豪華な対談ステージが繰り広げられました。

「日本酒はちょっと難しそう…」という初心者の方に向けて、当日繰り広げられた4つのセッションのリアルなトークや感動エピソードをたっぷりお届けします!

  • さけむす倶楽部バナー

そもそも「酒米(さかまい)」とは?

普段私たちが食べているコシヒカリなどの「食用米(飯米)」と比べ、酒米(酒造好適米)は粒が大きく、背が高いのが特徴です。台風などで倒れないよう育てるのが難しく、専用の肥料を使うなどして大切に栽培されます。お酒の旨味・香り・口当たりを大きく左右する、まさに日本酒の「命」とも言える存在です。

  • 米と酒

セッション1:大都市・名古屋がつなぐ「夢吟香」と2つの老舗酒蔵のライバル&友情ストーリー

  • スタジオでトークする男性

    (左から)波多野聖治さん、水野善兵衛さん、山盛岳志さん

【登壇者】

  • 農家: 株式会社JA名古屋ファーム 波多野聖治さん
  • 酒蔵: 金虎酒造株式会社(名古屋市北区) 水野善兵衛さん
  • 酒蔵: 山盛酒造株式会社(名古屋市緑区) 山盛岳志さん

コンクリートの街・名古屋で育つ酒米「夢吟香(ゆめぎんが)」

「名古屋市内で酒米づくり?」と驚く方も多いかもしれませんが、名古屋市港区南陽町は実は歴史ある米どころ。JA名古屋ファームの波多野さんたちは、台風による稲の倒伏や風擦れ(穂同士が擦れて傷つくこと)のリスクと戦いながら、愛情を込めて「夢吟香」を育てる都市型農業を実践しています。

兄弟のような信頼関係と「名古屋テロワール」

金虎酒造の水野さんと山盛酒造の山盛さんは、歳の差わずか1歳。10年以上前から「名古屋クラウド」として市内の酒蔵仲間と発信を続け、プライベートでも飲み交わす「ライバルであり、戦友であり、お兄ちゃんのような存在」(山盛さん)という間柄です。

かつては住宅街化によって地元の田んぼが消えていった名古屋ですが、2018年頃から「名古屋産の夢吟香」が誕生。山盛さんは「ワインの『テロワール(土地の個性)』のように、地元の人が誇りを持ち、県外や海外から来た人にも自信を持って勧められる『名古屋のお米のお酒』が造れるようになった」と語ります。金虎酒造の水野さんも「飲み手・造り手・お米の育て手が近くで交流し循環することこそが地酒の本来の姿」と熱弁しました。

夢吟香で醸す「淡麗旨口」と「ミネラル感&酸味」

同じ名古屋産の夢吟香を使っても、酒蔵のこだわりで味わいは全く異なります。

  • 金虎酒造: すっきりと綺麗な「淡麗志向」の技術をベースに、夢吟香ならではのお米の旨味をしっかり引き出した絶妙なバランス。
  • 山盛酒造: 名古屋産の夢吟香が持つ特有の「ミネラル感」を活かし、しっかりとした酸味と濃密な旨味を感じられる仕上がり。
  • 虎変

    金虎酒造「特別純米 虎変」

  • 鷹の夢

    山盛酒造「タカノユメ純米大吟醸ALLNAGOYA」

【注目】2027年2月、伝説のコラボを超える新作発表へ!

2021年のコロナ禍には「お互いの麹を交換して酒を醸す」という前代未聞のプレッシャー企画を成功させた両蔵。現在、波多野さんの夢吟香を使った新たなコラボ企画が進行中とのこと。 「前回のインパクトを超える無茶振りが飛んできそう(笑)」と話す山盛さんに対し、「11月から蔵にこもって仕込みます。みなさんが『そう来たか!』と驚く美味しいお酒にします」と自信を見せる水野さん。2月の発表から目が離せません!

セッション2:スポーツ業界からの参入!? 運命の出会いが育んだ酒米の王様「山田錦」

  • トークする男性

    (左から)古田政一さん、村瀬公康さん

【登壇者】

  • 農家: 株式会社tradespro(トレーズプロ)(丹羽郡大口町) 古田政一さん
  • 酒蔵: 勲碧酒造株式会社(江南市) 村瀬公康さん

地域課題「耕作放棄地ゼロ」から始まった異色の挑戦

トレーズプロは、もともと25年続くスポーツクラブ(スイミングやサッカースクール)の運営会社。「大口町の耕作放棄地をゼロにする」という行政プロジェクトへの協力をきっかけに、困りごと解決のため未経験から農業へ参入し現在4年目だそう。

名刺交換で発覚! 「うちの娘が通ってたスクールだ!」

米の価格暴落に悩んでいた古田さんは、地元商工会の紹介で勲碧酒造の村瀬杜氏のもとへ相談に訪れます。その初対面で古田さんが差し出したのは、まだスポーツクラブの肩書しかない名刺。それを見た村瀬さんが「あれ? うちの長女(現・蔵人)が小学生の時に通っていたクラブだ!」と叫び、一気に心の距離が縮まりました。

「仕事だから酒米の王様・山田錦に挑戦してみたら?」という村瀬さんのひと押しで、愛知県で栽培指定されて間もない山田錦の栽培がスタートしたのです。

五条川の「千本桜」酵母と旨味あふれる酒

猛暑や大雨と向き合いながら、若手プロ農家を雇い入れて育て上げた山田錦。そのお米を醸した勲碧酒造のお酒は、村瀬杜氏が「これなら全然大丈夫!」と太鼓判を押す素晴らしい出来栄えとなりました。 試飲会でお披露目された「純米山田錦 TANTANTAN」(精米歩合65%)は、旨味がしっかり乗った心地よい味わい。さらに地元・五条川の桜から採取した「桜酵母」で仕込んだ大吟醸(精米歩合50%・60%)など、地域愛に満ちたロマンあふれる商品展開が紹介されました。

  • 勲碧酒造「純米山田錦 TANTANTAN」

    勲碧酒造「純米山田錦 TANTANTAN」

セッション3:火災による全焼からの復活! 農家と造り手が紡ぐ奇跡の再建劇

  • トークショーの様子

    (左から3人目)立松豊大さん、(4人目)後藤実和さん

【登壇者】

  • 農家 / 有限会社アグリ・サポート(海部郡飛鳥村)立松豊大さん(水谷酒造代表も兼務)
  • 酒蔵 / 水谷酒造株式会社(愛西市) 後藤実和さん

米農家が酒蔵の跡を継ぐ――そして襲った試練

アグリ・サポートは西尾張エリアの田んぼを広く管理する農業法人。水谷酒造とは20年以上の付き合いがありました。後継者不在に悩んでいた水谷酒造の歴史を守るため、「自社のお米で酒を醸したい」という夢を持っていた立松さんが立候補。10年越しの想いを実らせ、2026年1月に水谷酒造の代表に就任しました。

しかしその間、2024年5月9日、江戸時代から続く歴史ある酒蔵が火災により全焼するという未曾有の悲劇に見舞われます。 一時は廃業も頭をよぎりましたが、「待ってくれているお客様がいる。愛西市で続いてきた歴史を絶やすわけにはいかない」と再建を決意。県内外5つの酒蔵の温かい協力を得て酒造りを継続し、2027年4月末には元の場所に新しい酒蔵が完成する予定です。

米のプロと造り手の近さが生むジューシーな「千実(ちさね)」

2027年から杜氏となる後藤さんは、「お米が育つ土壌や気候の環境を米のプロ(立松さん)から直接聞いて、『この子はどんな子か』を理解してから仕込めるのが最大の強み」と語ります。

愛西市産の山田錦で仕込んだ「千実 紅緋」は、甘みと酸味がしっかりと感じられるジューシーな味わいで、最後は酸味ですっきりと締まる食中酒。普段あまり日本酒を飲まないという立松代表も「一番好き!愛しかない!」と絶賛する仕上がりです。

立松代表は「10年後は自社グループ米100%でお酒を醸し、日本酒を通じて国内のお米消費拡大に貢献したい」と、農業と日本酒の未来を見据えた力強いビジョンを掲げました。

  • 水谷酒造「千実 紅緋」

    水谷酒造「千実 紅緋」

セッション4:普段のごはん「飯米」×「乾田直播」で挑む低アルスパークリング

  • トークする男性と女性

    (左から)伊藤めぐみさん、山田浩二さん

【登壇者】

  • 農家: 株式会社白浜営農(津島市) 伊藤めぐみさん
  • 酒蔵: 山田酒造(蟹江町) 山田浩二さん

2月の乾いた田んぼに種を撒く!? 革新農法「乾田直播」

通常、お米作りといえば春に水を張り、苗を植える「田植え」を想像しますが、津島市の白浜営農が20年以上前から取り組むのは「乾田直播」。なんと2月の乾いた田んぼにトラクターで直接種を撒くという驚きの農法です。 高齢化や人手不足に対応するため農繁期を分散させる工夫ですが、毎日天気予報と睨めっこしながら撒いた種は、春の田植え苗と同じスピードで元気に育ち、粒が丸々とした高品質なお米に仕上がります。

食用米「あいちのかおり」で日本酒の新しい可能性を開く

「醉泉」「最愛」の醸造元・山田酒造とのタッグで挑むのは、酒米ではなく普段のごはんとして愛知県で最も広く親しまれている食用米(飯米)「あいちのかおり」を使ったお酒造りです。

目指しているのは、「低アルコール×シュワッと弾けるスパークリング日本酒」。 従来の日本酒はアルコール度数の高さが「旨味や厚み」を生み出しますが、低アルコールにすると味が薄く感じられがちです。そこで、あいちのかおりの特性と仕込み方法を熟考し、旨味・甘み・酸味が絶妙に調和した爽快なスパークリング酒を現在開発しています(2026年で3年目の挑戦)。

伊藤さんは「農家と酒蔵がタッグを組み、地域の方に『うちのお米でお酒が出来ているんだ』と知ってもらえるような取り組みを、10年後も当たり前に続けていたい」と語り、日本酒の新たな楽しみ方に期待が膨らむセッションとなりました。

  • 山田酒造「特別純米酒 最愛ひやおろし」

    山田酒造「特別純米酒 最愛ひやおろし」

愛知の地酒がもっと愛おしくなる理由

イベントの締めくくりに、MCの加藤玲那さんと上釜美憂アナウンサーは次のように振り返りました。

「酒米が変われば酒が変わる。熱意ある造り手の顔が見えるからこそ最高の酒が生まれる。お互いに『あなたのお米は最高』『あなたのお酒は最高』とリスペクトし合う相思相愛のラブレターを聞いているような胸が熱くなる時間でした」

普段私たちがグラスで何気なく口にしている日本酒。その一杯の背景には、夏の猛暑や気候変動と戦う農家さんの汗と、お米のポテンシャルを100%引き出そうとする蔵元さんの情熱、そして地域を愛する強い想いが詰まっています。

造り手の顔やストーリーを知ることで、愛知の地酒は何倍も美味しく、愛おしく感じられます。 ぜひみなさんも、愛知の豊かな風土と人々の情熱が育んだ地酒を手に取って、その深い味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか?

  • 集合写真

このトークショーの模様は、ZIP-FMのポッドキャスト「ZIP SAKE部」で配信中です。ぜひ、こちらもチェックしてください!

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