若手蔵人が企画立案からPRまで手掛ける新しい日本酒ブランド「umu.」 甘強酒造株式会社(愛知県海部郡)

  • 甘強酒造「umu.」

    甘強酒造から新ブランド日本酒「umu.」が誕生

愛知県海部郡蟹江町にて150年以上にわたる歴史を持つ老舗の甘強酒造から新しい日本酒ブランド「umu.」が誕生。第1弾となる「純米酒 うすにごり無濾過生原酒umu.+white」の発売が2025年春から始まりました。

若い世代にもっと日本酒を気軽に楽しんでほしいという想いから生まれた「umu.」は、従来の日本酒のイメージとは異なる軽やかで新しい味わいが特徴。今回は、甘強酒造七代目蔵元である山田洋資社長にインタビューを行い、開発の経緯やコンセプト、今後の展開などについてお話をお伺いしました。

  • 蔵人男性3名

    甘強酒造七代目蔵元・山田洋資社長(写真左)と、「umu.」開発メンバーの草川さん(写真中央)、舟渡さん(写真右)

若き蔵人が生み出した70年ぶりの新ブランド「umu.」

山田社長によると、「umu.」の開発は2024年10月からスタート。そのきっかけは、日本酒やみりん造りを行っている若手メンバーからの声でした。

山田社長 甘強酒造はみりんの醸造から始まっていますが、戦時中にみりん造りが規制された際に日本酒造りも手がけるようになりました。ただ、若い世代ほど日本酒に触れる機会が減っており、自分の周りを見ても日本酒を飲む機会がほとんどなくなっているように感じています。現在も当社はみりん造りが主力ですが、日本酒の文化や技術も絶やしてはいけないと思っており、少しずつでも自分たちなりに進化させたいと考えていました。そんな中で、若手メンバーから「新しい日本酒を考えたい」との声が上がり、開発を始めることになりました。

  • 日英博覧会の絵

    長い歴史をもつ甘強酒造 100年以上前に開催された日英博覧会でもみりんを出品

「umu.」の開発は20~30代の若手メンバー4名が中心となっており、コンセプト作りから、醸造、パッケージデザイン、さらにはSNSによる情報発信も全て若手が担っているとのこと。「umu.」という名前にも日本酒が発酵する際に生まれる泡の躍動感と、これから成長していく若い世代への期待が重ね合わせられています。

“若い世代に飲んでほしい日本酒”として軽やかさと親しみやすさを追求

  • 日本酒ボトル、甘強酒造「umu.」

「若い世代にもっと日本酒を気軽に楽しんでほしい」という想いを込めて開発された「umu.」は、飲みやすさを重視。第1弾となる「純米酒 うすにごり無濾過生原酒umu.+white」は、アルコール度数10%という低アルコール仕様となっています。

山田社長 日本酒を飲み慣れていない世代にも気軽に楽しんでもらえる日本酒にするためには、低アルコールにすることは必須と考えています。ただ、低アルコールでの酒造りは防腐面での難しさがあるため、メンバーたちは気を使いながら醸造を進めていました。

「umu.+white」のもう一つの特徴が、白麹を使った独自の四段仕込み。クエン酸を生み出す白麹を使うことで軽やかな甘酸っぱい味わいとなり、従来の日本酒にはない飲みやすさを実現しています。

山田社長 通常の日本酒造りでは黄麹を使った三段仕込みで行われますが、「umu.+white」は搾る直前にクエン酸を生み出す白麹を加えています。最後に白麹を加えることで酸を引き立たせ、すっきりとした後味と軽快な飲み口を目指しました。

筆者も「umu. +white」を試飲したところ、果実酒や乳酸飲料を思わせるような甘酸っぱさにびっくり!
甘口の白ワインを思わせるような味わいの中にも酸によるしっかりとした切れ味もありました。

  • 日本酒ボトル 甘強酒造「umu.」と日本酒グラス

ドイツワインに近い味わいも感じる「umu. +white」は、脂のある肉系のおつまみとの相性が良い印象。今回試した中では、特にソーセージとの相性が抜群でした。名古屋めしであれば手羽先唐揚げがピッタリ。コショウの利いた味わいと甘酸っぱい「umu. +white」が最高のハーモニーを生み出します。そのままストレートで飲むだけでなく、炭酸を加えた日本酒ハイボールでも楽しめました。

「umu.」が見せる新たな日本酒の可能性

「umu. +white」でもう一つ注目したのがボトル。日本酒の瓶では720ml入りの四合瓶がよく使われていますが、「umu. +white」では500mlサイズの小さめのボトルが使われています。山田社長によると、微発泡・要冷蔵である「umu.+white」は開栓したらなるべく早く飲みきる必要があるため、飲みきりやすい500mlのボトルを採用したそうです。

  • 日本酒ボトル 甘強酒造「umu.」

    ボトルやラベルデザインも若手メンバーが考案

「umu. +white」は、イベントなどへも積極的に出店。特に若い世代からの反応が良く、「日本酒っぽくないですね」「飲みやすい」「日本酒は苦手だったけど、これなら飲める」「おかわりほしい」といった声が多く聞かれ、手応えを感じています。

  • 日本酒イベントに出店する男性

    イベント出店でも大好評 ※「umu.」公式インスタグラムより

山田社長 第1弾の「umu. +white」は1500本という限定数量で造りました。イベントでの反応ももちろんですが、新しいお客様との出会いがあるのが何より嬉しいです。今後も反応を見ながら数種類の新しい日本酒を造っていければと思っています。我々の中では新しい日本酒ですが、日本酒を飲んだことがない人にもハードルを低く飲んで頂ければと思います。冷やして美味しいお酒ですので、これから暑くなるシーズンにはアウトドアやキャンプなどのシーンにも合うと思います。

「umu. +white」は甘強酒造オンラインショップ及び一部の酒販店で販売中。また、今後も日本酒イベントで出店した際などに販売されるとのことです。最新情報は公式インスタグラムをご覧ください。

【umu. 公式インスタグラム https://www.instagram.com/umu_sake/

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