日本酒の香りを表す方法、あなたはいくつ知ってる?お気に入りの日本酒にぴったりな表現を探してみよう!

  • 升の中にいれたグラスにこぼれるほど注がれる日本酒

日本酒は、味わいだけでなく香りも楽しめる飲みものであり、ひとくちに「日本酒」といっても銘柄や製法によって、香りが大きく異なります。
日本酒の香りを表す言葉がバリエーション豊富なため、少し難しく感じる人も多いかもしれません。しかし、表現方法を知ると、自分のお酒の好みを人に伝えやすくなり、飲食店や酒販店でも好きな日本酒に巡り会いやすくなるというメリットがあります。
今回は、そんな日本酒の香りを表す代表的な5つの表現について紹介します。

香りは、日本酒を楽しむための重要な要素のひとつ

  • 升に入った米と稲穂

「日本酒の魅力」というと、お米の旨みや口当たりなどさまざまな点が挙げられますが、中でもお酒ごとの特徴を特に強く表す要素が「香り」です。

お酒の品質を評価する行為である「唎酒(きき酒)」をおこなう際には、お酒を口に含む前にまず目でお酒の色を確かめ、次に香りを味わいます。

それほどに香りは日本酒の評価を決める重要な要素であり、そのお酒ならではの個性を表すものといっても、過言ではありません。

日本酒は、精米歩合や製法によって味わい・香りが異なります。

中でも吟醸酒・大吟醸酒と呼ばれるお酒は華やかでフルーティな香りを楽しめるものが多く、日本酒を飲み慣れていない人にとっても挑戦しやすく、人気の高い種類です。

どの香りが好き?日本酒の香りをあらわす表現5種

  • 升に入ったグラスにこぼれるように日本酒を注ぐ

日本酒を選ぶ際、ECサイトや酒販店のPOPで味わいや香りの説明が書かれているのを、よく目にしますよね。
「華やかな」「爽やかな」などの表現はよく見かけるものの「実際にどんな香りがするのかはよく分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

今回は、よく目にする日本酒の香りの表現が具体的にどのような香りを指しているのか、詳しく紹介します。お気に入りの日本酒がある人は、それぞれにピッタリの表現を見つけてみてくださいね。

リンゴやバナナを思わせる「フルーティ」

日本酒の香りの表現としてよく耳にするのが「フルーティ」という言葉。比較的分かりやすい表現であり、その言葉のとおり果物のようなフレッシュさを感じる香りを指します。数ある果物の中でも、特に以下の4種の香りに例えられることが多いです。

・リンゴ
・メロン
・バナナ
・桃

「りんごのような香り」と説明されると、そのお酒を飲んだことがない人でも想像がしやすいですよね。
フルーティな香りのお酒は、日本酒をあまり飲み慣れていない人にも好まれやすい傾向があります。
「りんごみたいな爽やかな香りだよ」「桃みたいなジューシーさを感じるよ」と言われると、「飲んでみたい!」を感じる人も多いのではないでしょうか。

ふんわりと香りが広がる「華やか」

「華やか」も、「フルーティ」に次いでよく見かける表現です。主に吟醸酒や大吟醸酒の香りを表す「吟醸香」について説明する言葉として、よく用いられます。

ふんわりと鼻腔を満たす香りであり、以下のような果実や花の香りに例えられます。

・梅の花
・アカシア
・チューリップ
・バラ

その場がパッと華やぐような香りであり、こちらも日本酒に初めて挑戦する人や女性からの人気が高いです。

スッキリと清涼感のある「爽やか」

主に清涼感を表すのが「爽やか」という言葉です。ほんのりと酸味を感じ、爽快感がある日本酒も「爽やか」と表現することがあります。

酸味といっても酢や梅干しのような「酸っぱさ」を表す意味ではなく、レモンやライムなどの柑橘系の果物を思わせる香りを指すことが多いです。

また、笹の葉や新緑などの若々しさや、ハーブ系のグリーンらしさを感じるお酒に対して使うこともあり、ひとくちに「爽やか」といっても香りの感じ方はお酒によって異なります。

お米のまろやかな旨味を感じる「ふくよか」

日本酒といえば、お米由来のお酒。そんなお米の旨み・甘みを感じる香りを「ふくよか」と表現します。つきたてのお餅や炊きたてのごはんのような、ふっくらとしたまろやかな香りが特徴です。

一方、栗や落花生などのナッツ類のような、深みがあって香ばしい香りを「ふくよか」と表現する場合もあります。

少し大人っぽさを感じる「熟成感」

「熟成感のある香り」と聞いてもどんな香りか想像がしにくく、数ある表現の中でもいまいちピンと来ない言葉かもしれません。

「熟成感」とは、主に熟成させた古酒に対して使われる表現であり、少し甘く重厚な香りがするお酒によく用いられます。

主に以下のような食べもの・飲みものに例えられることが多く、大人っぽさを感じる香りです。

・カラメル
・ナッツ類
・シェリー酒
・ドライフルーツ
・コーヒー

 

香りの違いはお酒の種類だけじゃない!タイミングによって異なる日本酒の香り

  • ぐい吞みにお酒を注ぐ後ろに稲穂

日本酒の香りは、製法やお酒の種類だけでなく、タイミングによっても感じ方が異なることをご存知ですか?

お酒を口に含む前、含んだあと、飲み込んだあとで香りが異なり、以下の4種類に分類されます。

香りの種類 香るタイミング
上立香(うわだちか)

お酒を口に入れる前に、酒器から感じられる香り

含み香(ふくみか)
口中香(こうちゅうか)

お酒を口に含んだときに、鼻から抜ける香り

吟香(ぎんか) 含み香からさらに変化し、お酒を飲み込む瞬間に感じる香り
返り香(かえりか)

お酒を飲み込んだあとに鼻に抜ける香り

特に上立香は分かりやすく、吟醸酒・大吟醸酒であれば華やかな吟醸香を感じられます。古くなった日本酒の場合は「老香(ひねか)」と呼ばれる劣化臭がすることも。

冷やした日本酒は香りが立ちにくいため、少し常温に戻してから香りを味わってみるのがおすすめです。ひとつのお酒でも、タイミングによって複数の香りを味わえるのが日本酒の醍醐味ともいえます。

ぜひ、口に含む前後での違いをじっくりと味わってみてくださいね。

お気に入りの日本酒の香りを、自分の言葉で表現してみよう

  • 冷酒と青もみじ

日本酒を選ぶ際、「華やかとか爽やかって、実際にはどんな香り?」と気になったら、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

また、「美味しい」と感じる日本酒に出会った際には、ぜひ自分の言葉で香り・味わいを表現してみてはいかがでしょうか。本記事内で紹介したものとは異なる表現でも、間違いではありません。

自分なりの表現を繰り返していくうちに好みの香りや味わいの傾向が分かるようになり、さらに日本酒の楽しみ方が広がっていきますよ。
ぜひ気軽に日本酒の世界に親しんでみてくださいね。

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