「まる」発売40周年記念特別展開催中の白鶴酒造資料館を訪問 最新のマイクロブリュワリー施設「HAKUTSURU SAKE CRAFT」も見学しました【取材レポート】
白鶴酒造「まる」は赤色のパッケージに筆で力強く書かれた○のデザインでお馴染みの日本酒。21年連続売上No.1を誇る日本酒のトップブランドの一つです。
1984年に発売開始された「まる」は今年でちょうど40周年。これを記念し、白鶴酒造資料館では「まる」の歴史とトリビアが詰まった特別展が開催されています。そこで今回は白鶴酒造資料館を訪問。「まる」発売40周年記念特別展の様子と、2024年9月に新たに誕生した新施設について取材レポートとしてお届けします。
日本屈指の酒処「灘五郷」で酒造りを続ける白鶴酒造
白鶴酒造があるのは兵庫県東灘区。古くから酒造りが盛んに行われてきた「灘五郷」の一つである「御影郷」にて1757年から「白鶴」の銘柄で酒造りを続けてきました。
今回訪れたのは白鶴酒造本社の一角に設けられた白鶴酒造資料館。昭和40年代中頃まで実際に清酒醸造に使われていた本店壱号蔵を改造して開設されました。
資料館には昔ながらの酒造工程がそのまま保存され、日本酒が出来るまでの流れを分かりやすく展示。入場無料でいつでも気軽に見学できるということもあり、取材当日も外国人を含む多くの方が訪れていました。
「まる」40周年記念特別展を見学!
「まる」40周年記念特別展は、白鶴酒造資料館内の一角で開催。40周年記念の展示パネルに大きな「まる」のパネルなど、「まる」一色のコーナーが誕生していました。
「まる」の歴史とトリビアが満載の展示パネル
展示パネルには「まる」の誕生から現在に至るまでの歴史や、知られざる「まる」の秘密が盛りだくさん。令和の現在でも“新しい!”と感じるような先駆的な取り組みが昭和の時代から行われていたと知り、びっくりしました。
たくさんの「まる」トリビアから特に驚いたものを3つご紹介します。
当時は企業秘密! 昭和の時代から「白麹」を使用
長年愛され続けている「まる」は、味わいの異なる6種類の原酒をブレンドして作られているとのこと。その中でも美味しさの軸となっているのが「白麹」で造られた原酒です。
一般的に日本酒造りで使われているのは「黄麹」であり、「白麹」はもっぱら焼酎用として使われているもの。「白麹」で造られた日本酒はクエン酸を含んだ酸味の強い仕上がりとなることから、「まる」の爽やかな口当たりを生み出しています。
最近でこそ「白麹」で造られた日本酒も見かけるようになりましたが、「まる」では40年前から原酒の一つとして使われていたと知り大変驚きました。発売当初は「白麹」を使っていることが企業秘密とされていたのも納得です。
40年前から「オンザロック」や「日本酒ハイボール」を提案!
「まる」の画期的な取り組みは発売当初のチラシにも。日本酒はストレートで飲むのが当たり前だった昭和の時代に「オンザロック」や「ソーダ割り」での楽しみ方が既に提案されていました。
「まる」そのものも、洋食化してきた家庭料理にも合うよう、当時としてはアルコール度数が低めの13%。移りゆく時代を捉えた「最新の日本酒」だったのです。
酒パックはリサイクル!
もう一つ驚いたのが「まる」の酒パックがリサイクルされていること。一部のパックは地元の福祉作業所に提供され、手すき紙として再生・商品化されています。ちなみに取材時に応対頂いた広報担当者さんの名刺にもこの手すき紙が使われていました。
懐かしの「まる」歴代CM
展示パネルの一角にあるモニターでは「まる」の歴代CMが放映。西川のりおさんと矢崎滋さんが上司と部下として共演する貴重なCMも見ることができました。漁業者の皆さんとご当地の漁師グルメを囲みながら「まる」とかけ声が上がることでおなじみの「白鶴丸」のCMもたくさん。ついつい全部見たくなること間違いなしです。
顔はめパネルで記念撮影
「まる」40周年記念特別展のもう一つの目玉が記念撮影コーナー。「まる」のパックはもちろん、パックを模した大きな顔はめパネルや「まる」の法被、150cmもある大きなオリジナル抱き枕等と一緒に「まる」になりきって写真を撮影することができます。
ちなみに記念撮影コーナーに用意されている「まる」オリジナル抱き枕は白鶴酒造公式X上にてプレゼントキャンペーンが開催中。第3回は10月8日~15日、第4回は11月5日~12日、第5回は12月10日~17日に応募受付が行われるとのことなのでお見逃し無く!詳細は白鶴酒造公式Webサイトにてご確認ください。
みんなでつくる「まる」展
さらに会場には「みんなでつくる『まる』展」が開催中。まるへの想いを綴ったメッセージカードを書くとノベルティがもらえることもあり、多くの方が「まる」40周年を祝うメッセージを書かれていました。
新施設「HAKUTSURU SAKE CRAFT」が2024年9月5日にオープン
「まる」40周年記念特別展コーナーのすぐ隣にあったのが、9月5日にオープンしたばかりの新施設「HAKUTSURU SAKE CRAFT」。約10坪(37平米)の中に日本酒造りに必要な全ての設備を備えたミニマムスケールの“日本酒版マイクロブリュワリー”が新たに登場していました。
「HAKUTSURU SAKE CRAFT」には麹室も設けられており日本酒造りの全ての工程を室内で完結しているのが特徴とのこと。酒造りの様子は資料館側からガラス越しに見学できるようになっており、特製のタンクに設けられた窓からは日本酒が発酵している様子も見ることができます。
今回の取材では、試験醸造として「HAKUTSURU SAKE CRAFT」で造られた貴重な日本酒「No.0」を試飲させていただきました。「No.0」山田錦の兄弟品種として白鶴酒造が開発した酒米「白鶴錦」を用いた純米大吟醸。「No.0」は香り高く、米由来の甘みと旨味がしっかりありながらも、やさしい味わいで、いつまでも飲み続けたくなる美味しさでした。
10月5日に開催される白鶴酒造の酒蔵開きでは、「HAKUTSURU SAKE CRAFT」で醸造された「No.1」の日本酒を初めて試飲販売するとのこと。杜氏も「小スケールでも思った以上にうまくいった」と話す特別な日本酒の美味しさは格別の一言。数量限定とのことなのでどうぞお見逃しなく。
通常展示も見どころ満載 物販コーナーでは試飲も可能
通常展示では昔ながらの酒造りの様子を再現 人形の表情に注目
白鶴酒造記念館は通常展示も充実の内容。実際に酒造りに使われていた道具や設備を見ながら、日本酒造りについて学ぶことが出来るようになっています。
特に注目なのが日本酒造りの作業を再現している実物大人形の表情。この人形はかつて白鶴酒造で働いていた方をモデルに再現しているとのことで、一人一人顔つきや表情が異なっています。白鶴酒造資料館を訪問した際には、お気に入りの“蔵人”を探すのも楽しそうです。
見学の〆はきき酒コーナーでの試飲と物販コーナーでのお買い物!
白鶴酒造資料館の見学ルートの最後に設けられているのがきき酒コーナーと物販コーナー。きき酒コーナーでは白鶴酒造が造る様々な日本酒が無料・有料で試飲することができます。
無料試飲では3種類の日本酒が用意。中でも、特別純米原酒「蔵酒」の生酒はここでしか味わえない特別な日本酒。これぞ日本酒という深い味わいを楽しませて頂きました。
物販コーナーには、白鶴酒造の日本酒はもちろん、酒粕を使った奈良漬けや法被、本みりんなど様々なアイテムもズラリ。兵庫県産山田錦を100%使った資料館限定発売の「杜氏鑑」や山田錦の母親に当たる酒米「山田穂」を使った純米大吟醸酒など珍しい日本酒も販売されており、ついつい買い込んでしまいたくなります。
往時の最先端が詰まった白鶴「まる」
白鶴酒造資料館と「まる」40周年記念特別展を見学して感じたのは、白鶴酒造が古くから「最先端の日本酒造り」を続けてきたと言うこと。白麹を使った日本酒造りや食卓の洋食化に合わせた酒質の調整、さらには飲み方提案に至るまで、令和の現代でも新しいと感じるような取り組みが昭和の時代から次々に行われていたことに驚きを隠せませんでした。
日本国内でもトップクラスの日本酒造りが行われている“灘五郷”で酒造りを続けてきた白鶴酒造。日本酒ファンならぜひ一度勉強に訪れたいスポットです。
白鶴「まる」40周年記念特別展
期間: 2024年9月18日(水)~12月27日(金)
(期間中は無休予定、設備メンテナンス等のため臨時休館する場合あり)
場所: 白鶴酒造資料館(神戸市東灘区住吉南町4丁目5-5)
※阪神電鉄「住吉」駅から徒歩7分程度
時間: 9:30~16:30(入館は16時まで、9名までは予約不要)
入場料: 無料
詳しい情報は公式Webサイトにてご確認ください。
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