焼酎だけじゃない! アンテナショップを巡って、九州の日本酒を飲み比べしてみた
これまでに数回にわたってお届けしてきた、アンテナショップでの日本酒飲み比べシリーズ。日本酒が飲める都内のアンテナショップは全地域制覇!……と思いきや、まだ九州地方のレポートをお届けできておらず、改めて取材にうかがいました。
九州といえば焼酎大国のイメージですが、そんな九州地方の日本酒には、どんなものがあるのでしょうか。実際にアンテナショップで飲み比べをしてきたので、その様子をお届けします。
九州でも日本酒は造られているの? 特に有名な銘柄を紹介
焼酎のイメージが強い、九州地方。「そもそも九州でも日本酒を造っているの?」と疑問に感じている人もいるかもしれません。
実は、九州7県すべてに日本酒を扱う酒蔵があり、焼酎だけでなく日本酒の製造もおこなっているのです。かつては鹿児島県のみ日本酒製造をおこなう酒蔵がありませんでしたが、芋焼酎「だいやめ」などを醸す濱田酒造が日本酒造りを再開したことで、現在では九州すべての県に日本酒があります。
そんな九州地方の有名な銘柄は、以下のとおりです。
- 鍋島/富久千代酒造有限会社(佐賀県)
- 飛鸞/有限会社森酒造場(長崎県)
- ちえびじん/有限会社中野酒造(大分県)
- 三井の寿 /株式会社みいの寿(大分県)
初めて出会う銘柄がたくさん! 九州3県の地酒を飲み比べてみた
九州7県のなかでも、今回は都内にある長崎・熊本・宮崎の3県のアンテナショップで日本酒を飲み比べしてみました。それぞれのお酒の味わいや、ショップの様子をレポートします。
利き酒セットで飲み比べ! 長崎グルメも楽しめる「日本橋 長崎館」
まず訪れたのは、日本橋駅から徒歩1分の「日本橋 長崎館」。店内では長崎が生んだ大スター・福山雅治の楽曲がBGMとして流れています。
お店の奥には飲食スペースがあり、ここで長崎の地酒とグルメを楽しむことができます。
「日本酒利き酒セット」を発見したので、さっそく注文。利き酒セットは、純米大吟醸から普通酒まで5~6種のなかから、好きな3種を選べるシステムです。この日は全5種のなかから選ばせてもらえました。
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左からみずの光彩、長崎美人、翠
選んだ3種はこちら。
- みずの光彩(きらめき)特別純米酒/潜龍酒造株式会社(佐世保市)
- 長崎美人 大吟醸/福田酒造株式会社(平戸市)
- 翠(すい)特別純米酒/株式会社 杵の川(諫早市)
店員さんはとても親切で、「ボトルも撮りますか?」と目の前に並べてくれました。
利き酒セットには、なんとおつまみ3種も付いてきます。
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左から豚タンのペッパーステーキ、長崎のかまぼこ、きのこの佃煮
- 豚タンのペッパーステーキ
- 長崎のかまぼこ
- きのこの佃煮
「せっかくなので長崎名物をもっと楽しみたい!」と思い、追加で2種のメニューを注文しました。
- 浜口水産のばらもん揚げ2種盛り合わせ
- 本日のカステラ2種食べ比べ
お酒と料理が揃い、いざ実食。まずは「長崎美人」からいただきます。店員さんにおすすめのお酒を尋ねたところ、一番人気のお酒として教えてくれました。
クセがなくて飲みやすく、「綺麗」という表現がよく似合う飲み口です。まさに“美人”の名にふさわしいお酒。どんなお料理にも合いますが、シンプルな味わいのかまぼこやばらもん揚げと、特に相性がよいと感じました。
「みずの光彩」は香りは穏やかですが、味わいは深め。豚タンと一緒にいただくと、旨味をより感じられます。
「翠」はまるでラムネのような爽やかな香りを感じました。口に含むとほのかに酸味があり、やっぱりどことなくラムネを思わせる風味がします。これはもしや、カステラと合うのでは……?と思い試してみると、見事にマッチ。翠×カステラの組み合わせは最後に残して、デザートとしていただきました。
ちなみにカステラは、色が異なる2種の組み合わせ。色が濃いほうは「五三焼(ごさんやき)」といって、卵黄と卵白の割合が5:3という意味なのだとか。しっかりと濃厚なものと、軽めでふわっとしたもの、2種の食べ比べを楽しみました。
長崎県には猫が多く、尾曲り猫が有名なことから「にゃがさき県」として親しまれています。おちょこを持ち上げると、受け皿には可愛い猫ちゃんが。
日本酒好きかつ猫好きな私は、こういったちょっとした演出にもとても癒やされました。
今回はおつまみメニューを注文しましたが、お昼時には定食などのランチメニューも楽しめます。ぜひ遊びに行ってみてくださいね。
<店舗情報>
住所:東京都中央区日本橋2-1-3 1F
アクセス:JR 「東京駅」八重洲北口より徒歩5分
東京メトロ「日本橋駅」B7出口より徒歩1分
東京メトロ 「大手町駅」B10出口 より徒歩5分
東京メトロ「三越前駅」B5出口より徒歩3分
営業時間:10:30〜19:30
定休日:年中無休(ビル施設点検日等除く)
Web:https://nagasakikan.jp/
電話番号:03-6262-5352
熊本名物を楽しめるバーが併設! 「銀座 熊本館」
続いてご紹介するのは、銀座駅から徒歩1分の「銀座 熊本館」。2階の飲食スペース「ASOBI・Bar」にて熊本の地酒が飲めると聞きつけ、さっそく足を運んでみました。
店内には2人がけの席が5席、4人がけ1席とゆったり過ごせます。なにを注文しようか迷いましたが、まずは王道メニューを食べてみたいと思い、フードは熊本の郷土料理「だご汁」をチョイスしました。
お酒はどうしよう……とメニューを眺めていると、なにやら気になる文言を発見。
初めて聞く「赤酒」という名前。平安時代から熊本に伝わる地酒で、熊本ではお屠蘇や御神酒として親しまれているようです。店員さんに尋ねたところ、日本酒というよりはみりんのような味わいに近いのだとか。
迷った結果、お酒は赤酒を使用した「赤酒ミルク」に決定。だご汁には普通の日本酒のほうが合いそうですが、長崎館でたくさん飲み比べをしたので、だご汁は締めとして、赤酒ミルクはデザートとしていただくことにしました。
まずは、だご汁から。「だご」とは「団子」の意味なので、てっきり真ん丸なお餅のようなものが入っているのかと思いきや、平たいうどんのような麺でびっくり。
お揚げが汁を吸って、とてもジューシーな味わいです。ごぼうや人参のシャキシャキとした歯ごたえも抜群!付け合わせの柚子胡椒で味変しながら、あっという間に完食してしまいました。
続いて赤酒ミルクに初挑戦。店員さんから「よく混ぜてください」と説明があったので、しっかりとかき混ぜてからいただきます。
優しい甘さが口いっぱいに広がり、とても美味しい! メニューには「和製カルーアミルクのよう」と説明が書いてありましたが、コーヒーというよりはキャラメルのような風味にも感じました。バニラアイスを乗せても美味しいかも……と想像しながらいただきました。
新たなお酒との出会いがあった「銀座 熊本館」。1階のショップでは赤酒の購入も可能です。銀座にお出かけの際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
<店舗情報>
住所: 東京都中央区銀座5-3-16
アクセス:東京メトロ「銀座駅」 B9出口より徒歩1分
JR「有楽町駅」数寄屋橋方面出口より徒歩5分
営業時間:12:00~19:00(L.O.18:30)
定休日:第1月曜
Web:https://www.kumamotokan.or.jp/
電話番号:03-3572-1261
宮崎のお土産と日本酒で家飲みを。「新宿みやざき館 KONNE」
最後に訪れたのは新宿駅南口から徒歩3分に位置する「新宿みやざき館 KONNE」。1階のショップにて日本酒の取り扱いがあり、ここではお酒とおつまみをお土産として購入して、自宅で楽しむことにしました。
今回購入したのが、以下の4つです。
- 千徳/千徳酒造株式会社
- 手焼きTOMZY 鶏炭火焼/合同会社TOMZY
- ひや汁/日本食材加工株式会社
- 山田錦 甘酒/有限会社白水舎乳業
帰宅後、これらのお酒とおつまみで二次会を開催。まずは「千徳」をいただいてみます。
ほどよくコクと酸味があり、食中酒としてぴったりの味わい。これはどんな料理ともマッチしてくれそうです。
早くおつまみが食べたくて、鶏炭火焼きを開封しました。自宅の冷蔵庫に、過去に大分で買ってきたかぼす胡椒があったので、合わせていただきます。
炭火のよい香りと、噛めば噛むほど染み出る旨味が病みつきに。自宅にいながら「ここは居酒屋かな……?」と錯覚してしまう美味しさです。日本酒との相性も、言わずもがなでバッチリ!
さて、締めにはひや汁を。まだ宮崎県を訪れたことがない私ですが、ひや汁は大好きです。熱々のごはんを用意し、きゅうりとみょうがを添えていただきます。
さっぱりとした味わいに口のなかがリセットされ、締めのつもりがまたお酒が恋しくなってしまいました。途中でひや汁を挟めば、延々と飲み続けられてしまいそうです。
デザートには、甘酒を用意しました。
こちらは、千徳酒造で作られた米糀のみを使って製造した甘酒なのだとか。砂糖不使用なのにしっかりと甘味があり、まろやかな口当たりです。そのまま飲んでももちろん美味しいですが、牛乳で割ったり温めたりしても美味しそうだと感じました。
日本酒におつまみ、締め、デザートまでコンプリートし、大満足の二次会でした。
みなさんも、ぜひ宮崎のグルメを集めに行ってみてくださいね。
<店舗情報>
住所:東京都渋谷区代々木2-2-1 新宿サザンテラス内
アクセス:JR・小田急線・京王線他 新宿駅 「南口」 より徒歩3分
JR 新宿駅「甲州街道改札」または 「新南改札」より徒歩3分
都営地下鉄新宿駅 「A1」出口より徒歩3分
営業時間:10:00~20:00
Web:https://www.konne.jp/
電話番号:03-5333-7764
日本酒を通して知る、九州の新たな一面
九州の日本酒にはあまり馴染みがありませんでしたが、今回もたくさんの美味しい日本酒を知ることができました。「九州=焼酎」のように地域によってのイメージはありますが、たまには視点を変えてみると新たな出会いがあるかもしれません。ぜひ皆さんも、日本酒を通して九州の新たな一面に触れてみてくださいね。
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