生成AIロボットが日本酒バーのマスターに!? デンソーが開発した「Jullie」による角打ち体験が凄かった!

  • AIロボットと開発チームの男性

    デンソーのCo-Living Robotics「Jullie」と開発チームの鈴木一帆さん(左)と平山将男さん(右)

ここ数年急速に発達し、様々な分野での活用が始まっている生成AI技術が日本酒の世界にも登場。株式会社デンソーが開発した生成AIロボット「Jullie」による角打ち体験イベントが6月7日・8日にモリコロパーク(愛知県長久手市)にて開催された「ミライLabo 2nd」内で行われました。

この記事では、生成AIロボット「Jullie」による角打ちの様子をご紹介。生成AIとロボット、そして日本酒の世界が融合した近未来の体験をレポートします。

ヒトと共生するAIロボット「Jullie」

今回のイベントで使われた生成AIロボット「Jullie」は、工場などで活躍するデンソーウェーブ製のロボット「COBOTTA」にデンソーが開発した生成AI技術を組み込んだもの。工場で使われているロボットはあらかじめプログラムされた動きを行いますが、生成AI技術が組み込まれた「Jullie」は人間と対話しながら“柔軟に考えて働く”ことができるのが最大の特徴です。

様々な場面で人間と協働しながら活躍することが期待されている「Jullie」。その応用の一例として行われた、今回の「Jullie」による日本酒セレクションです。

  • AIロボット

    特設テントで開催

「Jullie」の開発を担当した鈴木一帆さんによると、「人の嗜好が現れる日本酒の世界で、組み合わせによって感じ方が変わる部分をAIが考えて表現し、“日本酒マスター”として楽しませたい」ということから日本酒をテーマとして選んだとのこと。定量化できない“感性”の部分をどのように学ばせ、セレクションという形で表現するかを体感してほしいと話されていました。

「Jullie」による角打ちを実体験!

あいち銘酔会とコラボレーションした今回のイベントでは、愛知県内の8つの酒蔵の日本酒から「Jullie」が3種類を選ぶという形で実施。日本酒に関する情報は、酒蔵などから提供された内容を“新人のアルバイトさんに教えるように”言葉や文章でJullieに学ばせているとのことでした。

  • 日本酒メニュー

筆者も「Jullie」による日本酒セレクションを実際に体験。最初は「こんにちは」と挨拶からスタートです。

挨拶をすると、ボディをこちらに向けながら「ありがとうございます。今日はどんな気分ですか?」とJullieが質問。単なる音声だけではなく、ボディを動かしながら会話してくれるので、普通に接客を受けている気分になれます。音声認識の精度も高く、スムーズに会話を続けることができました。

  • 接客中のAIロボット

    接客時はボディを動かしながら会話

筆者が今回リクエストしたのは「名古屋めしに合うお酒」。すると「辛口と旨口のどっちが好み?」「お酒のボリュームは?」「誰かと飲むの?それとも一人飲み?」「さっぱり系も大丈夫?」「おつまみの予定は?」などいろんな角度から質問が投げかけられました。

★Jullieの接客の様子は動画でもご覧いただけます。

筆者が特に驚いたのは会話のなめらかさ。「重すぎない方がいいですか?」という質問に、あえて「お任せします」とアバウトな答えを返しても、きちんと理解して対話が続くことに、最新の生成AI技術の凄さが感じられました。

2~3分ほどで会話が終わると、いよいよ「Jullie」日本酒をセレクト。柔らかいプラスチックのカップをつぶさずにつかみ、カップになみなみと日本酒を注ぐところもデンソーが培ってきたロボット技術の凄さを感じます。

  • 日本酒を注いでいるAIロボット

    柔らかいカップもお手のもの 並々注いでも一切こぼしません

今回「Jullie」が選んだ日本酒は江南市・勲碧酒造の「勲碧 純米吟醸 夢吟香 生酒」、常滑市・澤田酒造の「白老 特別純米酒」、岡崎市・丸石醸造の「純米吟醸 三河武士」の3つ。「愛知を味わう20周年記念・薫る万博セット」というセット名も「Jullie」が名付けたそうです。

  • メニューパネル

    セレクション理由も画面で説明

「Jullie」によるセレクションは、尾張・知多・三河とそれぞれ異なる地方からバランス良く選ばれており、味わいのバリエーションも豊か。愛知のお酒と名古屋めしの相性の良さをさまざまな切り口で楽しめる見事なセレクションでした。

「Jullie」の見事なマスターっぷりに来場者たちも驚き!

来場していたお客さんたちにもお話をお伺いしたところ、皆さんそろって「Jullie」のマスターぶりに驚いていたのが印象的でした。「甘口でほっとできる日本酒」をリクエストされた方からは「日本酒に詳しくなくても、AIが適切に選んでくれて、満足のいくお酒と出会えました。来てよかったです」と「Jullie」のセレクションに納得の様子。「ボクシング観戦に合う日本酒」をリクエストされた方も、ピッタリ合うお酒と出会えたと満足げに日本酒を楽しんでいました。

  • メニューパネル

    お客さんごとにセレクションを考えて提案

鈴木さんによると「Jullie」による実演は今後も様々なイベントで開催される予定とのこと。もし見かけた時には、ぜひ一度体験してみてください。

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