【2025年版】春に飲みたい!本当に美味しい日本酒10選 花見やプレゼントにも 年間360日日本酒を飲み尽くす唎酒師ライターが厳選
多くの酒蔵が定番酒のほかにも季節ごとの多彩な日本酒をリリースしています。春酒、夏酒、秋はひやおろし、冬はピチピチの新酒など、季節に合わせた『今しか飲めない日本酒』があり、同じ銘柄でも1年中異なる表情のお酒を楽しむことができます。
外も暖かくなってきて心弾む春。今回は、年間360日にわたり日本酒を飲み、かつて日本酒BARで女将を務めた経験もある唎酒師&日本酒ライターの関友美が、日本酒初心者から玄人にまで教えたい! 忖度なしに本当に美味しい春の日本酒とその発売時期をご紹介します。
春の日本酒=春酒とは?
春にリリースされる日本酒の特徴は、「甘い」「柔らかい口当たり」「低アルコール」「ピンク」「生酒」。春という季節を、視覚的にも味わい的にも表現した日本酒が多いです。古くから3月3日桃の節句には「白酒(しろざけ)」という、焼酎やみりんに蒸したもち米、麹を加えて1か月ほど熟成させたのち、すりつぶして作られるお酒を飲む風習がありました。甘酒のようなトロっとした口当たりのお酒です。そのため白酒を思わせる、米の食感を残した「にごり酒」「おりがらみ」のお酒も多くみられます。そして桜の花(お花見)に似合うような可愛らしいピンクのラベルや、暖かい気候になってウキウキした気持ちを盛り上げてくれるようなデザインのお酒が店頭に並び、思わずジャケ買いしたくなるほど。お花見やプレゼントの参考にしてみてください。
本当に美味しいとおすすめする日本酒10選
あたごのまつ はるこい 純米吟醸生酒 (宮城県・新澤醸造店)
発売時期:2月中旬〜3月末
イチゴのヨーグルトドリンクを思わせるとろりとした舌触り。甘酸っぱくて、低アルコール。普段日本酒を飲まない人でも「とっても美味しい~!」「本当に日本酒!?」とゴクゴク飲めてしまう大変取っつきやすい日本酒です。日本酒初心者にもオススメ。飲むヨーグルトや苺が好きなわたしは、このお酒が大好き!すっごく美味しいですよ。居酒屋で飲む、というよりもボトルで購入して、家で独り占めしたいです。こちらの桃色は、赤色酵母由来。どうぞ安心してお飲みください。
尾瀬の雪どけ 桃色にごり(群馬県・龍神酒造)
発売時期:2月~3月
甘党飲兵衛のみなさん、見かけたら絶対に買ってください!いちごミルクみたいな甘酸っぱい日本酒です。アルコール10度。「甘い日本酒?」と首をひねる人もいますが、一度試してみてください!酒飲みのわたしが長年愛してやまない、日本酒度マイナス30度を超える超甘いお酒。一度飲むと忘れられなくなります。日本酒初心者や、甘いもの好きの方にもオススメ。他の日本酒と同じ概念で考えず、デザート代わりに締めに飲んだり、スイーツと一緒に飲んでみたり、普段日本酒を飲まないあらゆる場面でも活躍してくれます。きっと春ならではの新しい出会いになるでしょう。
みむろ杉 純米吟醸 おりがらみ 華きゅん(奈良県・今西酒造)
発売時期:3月初旬
毎年みんなが待ち望んでいる人気の春酒「華きゅん」です。日本酒初心者から玄人の愛好家まで、誰にでもオススメできるのが「みむろ杉」。どれを飲んでも美味しいですが、もちろん春酒だってとびっきり美味しいのです。フレッシュでフルーティーな香り。ちょっとだけプチプチしていてジューシーなので、まるでラムネみたい。爽快な純米吟醸酒です。おりがらみなので、少しだけミルキーな舌触りが楽しく、味わいに奥行きとふくよかさがあります。盃が止まらない美味しさに、思わずきゅん♡
赤武 SAKURA(岩手県・赤武酒造)
-
※写真は2021年仕様のボトルです。その年の年号が印字されています。
発売時期:3月上旬
近ごろ圧倒的な人気を集めているレア酒「AKABU」「赤武」。それもそのはず。気づくとグラスが空いていた、というウソみたいに美味しいお酒です。この春酒も手に入ったら超ラッキー!アルコール12%と低アルコールで、春らしい軽やかな口当たり。味わいはイチゴのようにフルーティで少し甘く、ピチピチしたガス感もあります。白ワインのような強めの酸も感じるのでバランス良くまとまり、スルスルと飲むことができます。「花見用に買ったのに、花見まで待てなかった」と家で飲んでしまう人も続出!口の中でも、冷蔵庫からも、儚く消えていく桜のような存在のレアな日本酒です。
播州一献 純米吟醸生酒 Spring Shine(兵庫県・山陽盃酒造)
発売時期:2月初旬~4月上旬
春のあたたかな日差しや、ちょっぴりひやっとする頬を撫でる柔らかい風をイメージした「春の輝き」という名の日本酒。生酒なので、瓶の中でまだ酵母が生きていてガスが溜まり、開封時「ポンッ」と勢いよく音がします。甘さがありながらも、酸があって口のなかに残らずスッキリ。飲んだ瞬間の旨味、甘みが印象的なのに、キレ良く消えていくので「もう一杯飲んでみよう」と延々と飲み続けられる一本です。桜の花びらが描かれたラベルは美しく、プレゼントにも喜ばれます。
山本 純米吟醸 うすにごり 生酒 うきうき(秋田県・山本酒造店)
発売時期:2月下旬~3月上旬
「山本」らしいド派手なショッキングピンクのラベルに、「うきうき」の文字。わたしはこのラベルを見ると、今年もいよいよ春が来たな!と思います。夜桜の下でも目立つこのピンクのラベルは、お花見でも引っ張りだこです。生酒なので「ポンッ!」と中で酵母が活性している証拠の、元気いい音。フルーティで爽やかな香り。軽やかだけど、うすにごりで柔らかな舌触り。アルコール14度と、日本酒のなかではやや低アルコール。沢を流れる清らかな雪解け水を表現した、という美味しい春酒です。
紀土 純米吟醸 春ノ薫風(和歌山県・平和酒造)
発売時期:2月16日~5月2日
日本酒にビールにどぶろくに、と快進撃を続ける平和酒造。才能あふれる柴田杜氏のもとで、若き蔵人(社員)たちが活躍する酒蔵です。限定の春酒は、若いメロンのようフルーティな香り。柔らかな口当たり。芳醇な旨みを感じますが、余韻はとても軽やかです。香りと味わいのバランスが良い優秀な日本酒。ピンクの箔押しラベルでキラキラ光るのも、この時期ならではで人気の理由でしょう。ちょっぴり感じる渋味が、山菜や春野菜など春の食材とよく合います。前菜からデザートまでこれ1本でもOK。加えて、一升瓶で2,530円、四合瓶で1,265円というお値段にもびっくり。単体でも、食事と一緒でも大活躍する日本酒です。
※小売価格は、2023年3月現在の価格です。変更がある場合がございます。販売店までご確認ください。
春霞 純米 花ラベル (秋田県・栗林酒造店)
発売時期:2月~3月(予定)
秋田のスター蔵元集団「NEXT5」の一員でもある栗林酒造店。言わずと知れた銘酒蔵です。酒蔵がある秋田県美郷町(みさとちょう)は、名水百選にも選ばれる美しい水の町。豊富な地下水をくみ上げた仕込水と、地元で作られた「美郷錦」という酒米を使用して造られています。いつも丁重で、優しい雰囲気を醸し出す栗林さんがつくるお酒は、「春霞」という名にふさわしい優しいくちどけの日本酒です。香りは穏やかでフルーティで、わずかに華やか。低温でゆっくりと発酵させた綺麗な酸を感じる、きめ細かな味わい。桜の花があしらわれたラベルも上品で素敵です。「春霞」の春酒、飲まずに春は越せません!
富久長 純米吟醸 春 うすにごり 生酒(広島県・今田酒造本店)
発売時期:立春すぎ~3月下旬頃
ラ・フランスのようスッキリとしたフルーティな香りのみずみずしいうすにごりの春酒です。ピチピチとした炭酸ガスを舌先に感じます。味わいは入り口がシャープなのに、やがてほどよい旨味や酸味が出てきて、飲み込んだ後はまたスッキリ爽快。春の食材にもよく合いそうです。醸造元の今田酒造本店で社長をつとめる今田美穂さんは、イギリスBBCが選ぶ世界の人たちに影響を与えた「ことしの100人の女性」で2020年に選出された日本を代表する女性。まだ知らない人は、要注目ですよ!
刈穂 春kawasemi 純米吟醸 生酒(秋田県・秋田清酒)
ラベルにカワセミ、桜、田園風景が描かれた春限定の日本酒です。刈穂蔵のある秋田県大仙市では、桜が4月中旬に咲きます。その頃、越冬で南方に移動していたカワセミが町に戻ってくるそうです。甘酒のような、麹由来の甘くて豊かな香りが特徴で、口当たりも香りも柔らかくて丸みを帯びています。数値上はドライですが、飲むと甘みがありジューシーです。にごり(澱)の部分からはじゅわっとした旨味を感じられますが、酸味もあるため、重たさがなくすっきりと飲めます。これはまさに春にぴったりのお酒です。
ロ万 かすみロ万 純米吟醸 うすにごり生(福島県・花泉酒造)
発売時期:2月頃~
雪深い福島県南会津で生まれたこの酒は、ほのかなガス感と華やかで優しい味わいが特徴。白銀の世界を思わせるやさしく霞んだ色合いが魅力です。通常の日本酒は「三段仕込み」という方法を用いますが、この酒は三段仕込みの後で、もち米を投入する、という伝統的な「もち米四段仕込み」で醸造しています。そのことで味わいに甘さと奥行きが出ます。
「ロ万」という不思議な名前は、従来の「花泉」ブランドに次ぐ新ブランドの構想を練っていた時、仕込みタンクに書かれた「一号」という漢字が、「一ロ万(ひとろまん)」と読めることに気が付き、大切にしていた「酒造りはロマン」という信条と重なって、「ロ万」という銘柄が生まれました。日本酒好きなら、知っておいてほしい一本です。
この春は一緒に日本酒を楽しみましょう
「絶対に外さない」とオススメしたい春の日本酒10選をご紹介しました。今回泣く泣く見送り、ご紹介できなかった素晴らしい春のお酒もたくさんあります。
一年中酒造りする冷蔵設備完備の酒蔵も全国にわずかありますが、基本的には「寒造り」といって酵母の働きが調整しやすい寒い時期に日本酒は造られます。9月下旬頃からスタートして、4月末頃まで。発酵させてから搾るまでの時間差を計算すると、11月から6月頃まではできたての新酒が、加熱処理(火入れ)せず「生酒」の状態で出荷されることが多いのです。火入れして貯蔵された落ち着いた味わいのお酒も魅力的ですが、もぎたてのフルーツのようなみずみずしい生酒もとても美味しいです。瓶内に生きている酵母菌の元気が良くてフタが飛んだり、お酒が吹きこぼれることもあります。生酒を開封するときはよ~く冷やしてから注意して開封してくださいね。
発売時期は、製造元に確認した情報です。販売酒販店によって仕入れや発売時期が異なる場合がございます。さらに人気の場合は早めに売り切れる可能性もございます。お買い求めはお早めに! ご紹介したお酒を飲食店や酒屋で見つけたら、ぜひ手に取ってみて、あなただけの「本当に美味しい春の日本酒」を見つけてくださいね。
関連記事