酒造りの神様・農口尚彦氏が日本酒杜氏初の「人間国宝」に! 重要無形文化財「吟醸造り」保持者に認定

「酒造りの神様」として知られる能登杜氏の巨匠・農口尚彦氏(農口尚彦研究所)が、重要無形文化財「吟醸造り」の保持者に認定され、日本酒杜氏初となる「人間国宝」に選出されました。

  • 農口尚彦氏

酒造り分野から初の「人間国宝」が誕生した理由

今回の認定は、重要無形文化財の対象に新たに「生活文化」分野が新設されたことによるものです。

従来対象だった芸能や工芸に加え、食や酒造りといった暮らしの中で受け継がれてきた伝統文化も評価対象となり、その第一号として農口氏の長年の実績と卓越した技が認められました。

70年以上向き合う「酒造りの神様」の偉業

16歳で酒造りの道に入り、70年以上にわたり第一線で活躍する農口氏。特に大きな功績として知られるのが以下の2点です。

  • 「山廃仕込み」の技術継承:かつて衰退の一途をたどっていた「山廃仕込み」の技術を現代に受け継ぎ、高品質な山廃酒を世に送り出しました。
  • 「吟醸酒」の一般流通と普及:1970年代当時、主に鑑評会のための特別な酒であった吟醸酒の一般流通にいち早く取り組み、昭和50年代以降に広がった吟醸酒ブームを牽引しました

 全国新酒鑑評会では連続11回を含む通算26回の金賞を受賞するなど、数々の受章歴を誇ります。

  • 酒造りをする人

「吟醸造り」の技と、未来への継承

今回指定された「吟醸造り」は、精米と酒質を見極め、手間と原料を惜しまず豊かな香りと味わいを引き出す高度な醸造技術です。

2017年には石川県小松市に「農口尚彦研究所」を設立。自身の膨大な酒造りデータの分析と蔵人の感性を融合させ、後進の育成や世界展開、ANA国際線機内提供酒への連続採用など、日本酒の未来を見据えた挑戦を続けています。

  • 農口尚彦研究所

農口尚彦氏のコメント「日本酒をもっと“世界の酒”に」

認定にあたり、農口氏は次のように感謝と今後の抱負を語っています。

「考え続けてきたのは、どうしたら飲む人に喜んでもらえる酒を造れるかということ。時代が変わり、世界に目を向ければ、酒の飲み方も、人の好みも変わっていきます。(中略)自分が造りたい酒に固執するのではなく、飲む人の声を聞きながら、その時代の旨い酒を造っていきたいと思っています。日本酒は可能性を秘めています。私は、日本酒をもっともっと“世界の酒”にしていきたいんです」

さらに、「今回の認定をひとつの節目としながらも、私はこれからも、もっと旨い酒を造る。その姿勢は、今後も変わりません」と、生涯現役で旨い酒を追求し続ける決意を示しました。

  • 農口尚彦氏

時代を超えて受け継がれる「酒造りは夢造り」の精神

「酒造りは夢造り」を信念に旨い酒を追い求める農口尚彦氏。杜氏初の人間国宝誕生という歴史的快挙をきっかけに、奥深い日本酒の世界を改めて楽しんでみてはいかがでしょうか。

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