にごり酒ってどんなお酒? どぶろくとの違いや美味しい飲み方、おすすめ銘柄をご紹介!

  • 升の中に置かれたグラスに入った白く濁ったお酒

「にごり酒」は10月頃から3月頃にかけて見かける機会が多く、冬のお酒の定番ともいえるお酒です。しかし、にごり酒を飲んだことがない方にとっては「どんなお酒なの?」と、あまりイメージが湧かない人も多いかもしれません。また、にごり酒と見た目が似ている「どぶろく」との違いも気になるポイントですよね。

今回は、にごり酒の特徴やどぶろくとの違い、おすすめのアレンジ方法などをご紹介します。

冬になるとよく見かける「にごり酒」ってどんなお酒?

  • 升の中に置いたグラスに瓶から白く濁ったお酒を注いでいる

冬になると見かける機会が多くなる「にごり酒」。にごり酒とは、白くにごった日本酒のことを指します。

一般的な透き通った日本酒とは異なり、まろやかでとろみのある口当たり、コクのある味わいが特徴です。通常の日本酒とは異なる魅力があり、根強いファンも多いです。

どうして日本酒がにごるの?にごり酒が白濁している理由

日本酒といえば、透き通った透明の液体を想像しますよね。にごり酒が白濁している理由は、お酒の製造工程にあります。

日本酒の原料である「もろみ」。日本酒を造る工程では、そのもろみを搾る「上槽(じょうそう)」と呼ばれる作業をおこないます。通常の日本酒の場合は、おりもしっかりと取り除く「おり引き」という作業をおこなうため、透明の液体になります。

一方、にごり酒はもろみを目の粗い布に入れて搾り、もろみに含まれる「おり」という固形成分をお酒のなかに残すため、白く濁ったお酒になるのです。

「にごり酒」はひとつじゃない!意外とたくさんある、にごりの種類

  • 薄い青色の布巾の上に置かれたグラス グラスの中に白く濁ったお酒が入っている

ひと口に「にごり酒」といっても、実はいろいろな種類があるのです。にごり具合だけでなく飲み心地も種類によって異なるので、ぜひ違いを知ってお好みのにごり酒を探してみてくださいね。

しゅわっと爽やかな「活性にごり酒」

しゅわっと軽快な微炭酸を感じられる「活性にごり酒」

日本酒造りの過程では、貯蔵前と出荷前の計2回、60〜65℃に湯煎する「火入れ」という作業をおこないます。火入れをおこなう目的は、酵母の働きによってさらに発酵が進んでお酒の味わいが変化したり、日本酒の味に悪影響を及ぼす菌を消滅させたりして、品質を一定に保つことです。
しかし、活性にごり酒の場合は火入れをおこなっていないためお酒のなかで弱い発酵が続いており、炭酸ガスが発生しています。これによって、活性にごり酒はしゅわしゅわとした爽やかな飲み心地を楽しめるのです。

とろみを感じる「おりがらみ」

おりが多くて酸味が強いお酒が「おりがらみ」。「おり酒」と呼ばれることもあります。

日本酒造りの過程でおこなわれる「おり引き」という作業をおこなわなかったり、あえておりを混ぜて造ったりすることで、とろみを感じる味わいに。日本酒を貯蔵するタンクには2つの呑口(のみくち)があり、上澄みの部分を貯蔵する「上呑み」と、沈殿したおりが含まれる「下呑み」に分かれています。通常の日本酒の場合は上澄みからお酒を取り出しますが、それに対して下呑みから取り出したお酒をおり酒と呼ぶことも。
おりがらみは酸味が強く、濃厚なお米の旨味が感じられるのが特徴です。

さらりとした飲み口の「うすににごり」や「ささにごり」

にごりの度合いが薄いものを「うすにごり」「ささにごり」と呼びます。一般的なにごり酒よりもお酒の色が透明に近く、クセが少ないため飲みやすいのが特徴です。

なお、このふたつに明確な定義はなく、「おりがらみ」と同義として使われることもあります。にごり具合についてはおりの沈殿具合を見たり、瓶を透かしておりの量を確認したりしてみてくださいね。

よく似た見た目の「どぶろく」とはなにが違う?にごり酒とどぶろくに違いについて

  • 陶器のお猪口に入ったどぶろく

にごり酒と間違いやすいお酒が「どぶろく」。どちらも白くにごったお酒という点は共通していますが、実はこのふたつはまったく違うお酒なのです。

決定的な違いは、お酒の製造方法にあります。もろみを濾す「上槽」のあと、濾しきれなかったおりをそのまま残すのが、にごり酒です。

対してどぶろくは、そもそも「濾す」という工程をおこないません。そのため米の粒がそのまま残っていることもあり、にごり酒よりもさらに濃厚でとろみのある質感を味わえます。

どぶろくも米を原料に造られるお酒であることから日本酒の一種だと思われがちですが、実は日本酒には分類されません。酒税法で清酒(日本酒)は「濾す」という工程が必須とされており、もろみを濾さないどぶろくは「その他の醸造酒」に分類されています。

このように、どぶろくとにごり酒(日本酒)は、まったく別のお酒なのです。

割ってもOK!にごり酒を美味しくいただくアレンジ3選

  • にごり酒、ラベルに書かれた日本酒瓶のイラスト

にごり酒は、そのまま飲むのはもちろん、アレンジを加えることでさらに美味しくいただけます。ここでは、特におすすめなアレンジ方法を3つご紹介!お好みに合わせて、ぜひ試してみてくださいね。

炭酸で割って爽やかに

とろりとした質感のにごり酒を炭酸で割ることで、さっぱりと清涼感のある味わいに!まろやかな口当たりを残しつつも後味はスッキリとしており、クセを抑えて飲みやすい印象になります。

お好みで柚子やレモンを少し搾ってみると柑橘の爽やかな香りが加わり、よりさっぱりといただけますよ。

ヨーグルトで割ってデザート風に

まろやかなにごり酒をヨーグルトで割ることで、さらにまったりと濃厚な味わいに。少し意外な組み合わせに感じるかもしれませんが、ヨーグルトも日本酒もどちらも同じ発酵食品であることから、実は相性抜群なのです!ヨーグルトマッコリのような味わいになり、甘いお酒がお好きな方には特におすすめです。冷凍フルーツを入れると、デザートのようにいただけますよ。

サラッとした飲み口がお好みの方は、通常のヨーグルトではなく飲むヨーグルトを使用することで軽めの飲み心地になります。

ほっこり気分を味わえる、ホットにごり酒

にごり酒は冷やして飲むのはもちろん、温めても美味しくいただけます。優しい飲み心地になりほっこりと身体が温まるので、寒い季節には特におすすめです。

はちみつを入れて少し甘めにしたり、生姜を入れてピリッとアクセントを加えたり、お好みに合わせてさらにアレンジするのもよいでしょう。

はじめてのにごり酒に!おすすめの銘柄をご紹介

ここまでの内容を通して「にごり酒、飲んだことないけど挑戦してみたい」と感じた人もいるのではないでしょうか?そんな皆さんに向けて、はじめてのにごり酒におすすめの銘柄を3種ご紹介します。どれもにごり酒ならではのまろやかで濃厚な味わいを感じられるお酒なので、ぜひ試してみてくださいね。

三輪酒造(岐阜県)「純米にごり酒 白川郷」

  • にごり酒

三輪酒造の純米にごり酒 白川郷は一般的な日本酒に使用するよりも多くの量の米を使って造られている、非常に濃厚なにごり酒。

分類としては清酒(日本酒)であるものの、もろみをそのままに近い状態で含んでおり、どぶろくを思わせるような味わいです。甘味と酸味のバランスがよく、お米本来の美味しさを感じられるお酒が好きな人におすすめです。

中埜酒造(愛知県)「國盛 にごり酒」

  • にごり酒

本来、蔵元でしか味わうことができなかったもろみ独特の素朴な風味が特徴の、中埜酒造國盛 にごり酒。まろやかな舌触り、喉越しと、フレッシュな香りが魅力の1本です。

常温でもOKですが、5℃前後に冷やすことでより美味しくいただけます。おりが沈殿しているので、しっかりと振っておりを混ぜて飲むのがおすすめです。

株式会社増田德兵衛商店(京都府)「月の桂 純米中汲にごり酒 スパークリング生酒」

  • 緑色の瓶に入ったにごり酒とにごり酒が入ったグラス

月の桂のにごり酒に、さらにお米の旨味を加えてリニューアルされた月の桂 純米中汲にごり酒 スパークリング生酒。にごり酒独特の甘いコクと苦みに、発泡性のきめ細かい泡が絡み合います。ひと口飲んだ瞬間にフルーティーな香りが口内や鼻腔内にいっぱいに広がり、極上の味わいです。

お刺身や冷や奴などの素材そのものの味を楽しむお料理はもちろん、中華料理や揚げ物などとも相性抜群です。

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この冬はにごり酒をじっくり味わってみて

  • 陶器のお猪口に注がれた白く濁ったお酒

通常の日本酒とはまた違った味わいが楽しめるにごり酒。特に冬の時期は、さまざまな酒蔵からにごり酒が販売されています。ぜひお好きなアレンジ方法で、にごり酒を楽しんでみてくださいね。

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