三重県の日本酒おすすめ10選 5,000種以上きき酒した日本酒王子が忖度なしで厳選!

三重県といえば、魚介やブランド牛など、美味しい名産品がたくさん思い浮かぶと思いますが、日本酒も素晴らしいお酒がたくさん造られています。作、而今、寒紅梅などなど、今や世界で注目されているこれらのお酒も三重県産です。そんなわけで、今回は三重県のおすすめしたい日本酒10選を、 これまで5,000種類以上を唎き酒してきた私、日本酒王子・近藤悠一が忖度なしでご紹介していきます。

三重県の日本酒の特徴は?

  • ガラス製のお猪口2つにガラスの徳利からお酒を注ぐ

三重県の日本酒の特徴を一言で言えば、多様性です。

三重県は南北に長く、西側は山脈、東側は平野と海に面しているので、地域によって気候の差が大きく、食文化も異なるため、様々な味わいの日本酒が生み出されています。

内陸で造られる日本酒は旨味がしっかりとあってどっしり系で、肉料理や山菜などに合わせやすい味わいものが多くあります。一方で、海に近いところで造られる日本酒は爽やかですっきりしており、魚や出汁の効いた料理に合わせやすいものが多い、という印象です。

本当に飲んで欲しい!三重県のおすすめの日本酒10選

今回も私が忖度なしでぜひお試しいただきたいと思う10本をお選びしました。ぜひこちらを参考に三重のうまい日本酒をお楽しみください。

①作 竒瑞 KIZUI 純米大吟醸【清水清三郎商店/鈴鹿市】

  • 日本酒の瓶

2016年に開催された伊勢志摩サミットでの乾杯酒に選ばれ、一躍人気蔵になった清水清三郎商店は、「味酒鈴鹿國(うまさけすずかのくに)」と呼ばれ、酒造りが盛んであった鈴鹿市に唯一残る酒蔵として高品質な日本酒を造り続けています。

数ある「作(ざく)」の中でも、今回は山田錦を30%まで磨き、メロンの様な穏やかな吟醸香が特長的な「竒瑞 KIZUI 純米大吟醸」をご紹介します。「竒瑞(きずい)」とは、何か良いことが起こる前兆の意味。まさしく、ハレの日に飲むのにぴったりなお酒とも言えそうです。

10℃程度に冷やして、大きなワイングラスに注ぎ、和洋中のあらゆる前菜や、魚料理に合わせてお楽しみください。

②寒紅梅 純米吟醸 山田錦55%【寒紅梅酒造/津市】

  • 日本酒の瓶

津市の寒紅梅酒造は安政元年(1854年)創業。家族の手造りから生まれる寒紅梅は、その名の通り梅酒が主力商品でした。

しかし、2010年、現蔵元の増田明弘氏が、全国の数多くの蔵元から先生と慕われる、元「東一」蔵元の醸造責任者・勝木慶一郎氏の技術指導を受けたことで、日本酒の芽が一気に開花しました。海外での人気も年々高まっている寒紅梅酒造のなかで、最もスタンダードで最も飲んでいただきたい一本がこの「純米吟醸 山田錦 55%」。

青々としたもぎたての果実のようなフレッシュさと弾けるガス感が爽快な一本です。

③KINO 2【元坂酒造/多気郡大台町】

  • 日本酒の瓶

日本最古の酒米といわれながら長らく絶えて栽培されることのなかった「伊勢錦」を復活栽培させたことで知られる元坂酒造。

柳原集落で農業放棄地となっている田んぼを少しずつ譲り受けて拡張し、今では自営田で無農薬無化学肥料で育てる「伊勢錦」のみを使用した新ブランド「KINO(帰農)」が注目されています。

芯の通った旨味がありながら、スっと消えてくれるキレの良さが特長的で、冷酒で良し、お燗でなお良しの純米酒です。

④天遊琳 特別純米【タカハシ酒造/四日市市】

1862年創業の天遊琳を造るタカハシ酒造店は、伊勢神宮に奉納する御神酒(おみき)を70年以上にも渡って造り続けてきた酒蔵です。

現在の蔵元兼杜氏の高橋氏は京都大学出身。緻密な計算と大胆な仕込みによって生み出される「天遊琳」は、複雑味と透明感が折り重なった個性ある食中酒。

伊勢湾近海でとれる蛤や車海老などの魚介類との相性がとても良いのでぜひお試しください。

⑤而今 純米吟醸 山田錦【木屋正酒造/名張市】

丁寧な手造りにこだわり江戸時代から伝統製法を受け継ぐ老舗酒、木屋正酒造(きやしょうしゅぞう)の生み出すこの而今(じこん)は、「全国新酒鑑評会」「SAKE COMPETITION」などいくつもの賞の常連でもある銘酒です。今や三重県の日本酒の中でも最も入手困難なお酒の一つ。

日本酒の発酵を止める火入れを職人技の絶妙なタイミングでおこなうことで、生のフレッシュ感をそのままに、酸味を抑えた甘味のあるフルーティな味わいが楽しめる而今ですが、超人気銘柄である「十四代」のような華やかで甘みのある日本酒を理想としつつ、独自の味わいを追求しています。

⑥半蔵 & 吟風【大田酒造/伊賀市】

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2016年の伊勢志摩サミットで乾杯酒に選ばれるなど、様々なコンペティションでも受賞を重ねる大田酒造。

2019年に三重県内で当時最年少の杜氏になった大田氏は、三重県の酒造業界にも新しい風を吹き込むような存在。

北海道産の吟風で造られるお酒といえば、芳醇な香りが特徴ですが、大田杜氏ならではの純米吟醸の爽やかさは一度は飲んで欲しい味わいです。

林檎のような香りと穏やかな酸味、キレのあるボディが楽しめる一本。

⑦英 特別純米【森喜酒造場/伊賀市】

  • 日本酒の瓶

「るみ子の酒」で知られる森喜酒造場。漫画「夏子の酒」の作者・尾瀬あきら氏のラベルデザインで馴染み深い方も多いかもしれません。

年間の生産量も少なく、近代的な設備はほとんど持たずに一本一本を昔ながらの手造りで醸している本蔵元のもう一つの代表銘柄「英(はなぶさ)」は、無農薬無化学肥料で育てられた山田錦を使用した一本。蔵元の森喜さんも地元の契約農家と一緒になって、自営田で育てておられます。

落ち着いた香味と若干の渋みを伴ったシャープなキレが素晴らしいクラシックスタイル。肉付きの少ないボディながらも骨格は太く、どこまで行ってもキリっと硬派な印象を受けます。

⑧義左衛門 ブラック 純米吟醸 三重山田錦【若戎酒造/伊賀市】

1853年創業の若戎酒造の代表銘柄である義左衛門の「ブラック」は通称「義黒」と呼ばれ愛されています。

「義左衛門(ぎざえもん) 」は、奇をてらわない王道の純米吟醸。
中でも、ブラックの特徴は、5代目蔵元・重藤久一氏と、地元の篤農家によって復活した三重山田錦を60%まで磨いた限定流通品で、瓜のような香りとボリュームのある旨味、キレの良さが特長的です。

⑨田光 特別純米 雄町【早川酒造/菰野町】

一般米を使用して地元のみに流通していた早春で知られる早川酒造。2009年に4代目蔵元の早川俊人氏が酒米『備前雄町』を使用して醸した酒「田光(たびか)」をリリースし、一躍全国的に知られるようになりました。たった3人の蔵人で営まれているのも有名な話。

仕込み水には、鈴鹿山脈釈迦ヶ岳の伏流水が使われる田光の中でも、バナナ、洋梨、マスカットのような香りと膨らみのある雄町の旨味、後味を引き締める酸味が特長的な一本です。

⑩颯 純米吟醸 神の穂【後藤酒造場/桑名市】

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三重県産の山田錦や五百万石など単一の酒米で造られる「颯(はやて)」ですが、今回は三重県独自の酒米である「神の穂」で造られた純米吟醸をセレクトしました。

「神の穂」の純米吟醸は、ライチのような華やかな香りとすっきりとした甘みが特長的です。

ここまでご紹介した「作」や「半蔵」など三重県の銘柄には、「神の穂」で造られたお酒が多くありますので、そういった飲み比べも、三重の日本酒を味わい尽くす上では、楽しい試みかもしれません。

最後に: マリアージュ会でKIZUIを提供

  • マリアージュ会の様子

こちらの画像は私がライフワークにしている日本酒のマリアージュ会の様子です。

会場は笠原マスターでお馴染みの賛否両論・恵比寿様。今回の記事で一つ目にご紹介した「作 竒瑞 KIZUI」を笠原マスターの八寸に合わせてご提供したところ、「色々な味わいのお料理にも合わせられて、すごいです」と嬉しいお言葉をいただきました。皆様もよろしければ、お好きな料理に合わせて堪能してみてください。今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。